杉並区民の皆さまへ
このたび杉並区長を辞任させていただくことになりました。
昨日午後1時、富本区議会議長に「区長辞職願い」を提出いたしました。
区民の皆さまには、3期11年1ヶ月にわたり、杉並区長としての私へのご理解と温かいご支援をいただきましたことに心から感謝いたします。また長きにわたって、政策実現のためにご協力くださった議員や職員を始め関係者の皆さまに、厚く御礼申し上げます。
至らぬ私でしたので、区長在任中はさぞかしご不満やご苦労があったのではないかと思います。心からお詫び申し上げます。
思えば11年前、「杉並を日本のモデルに!」と志して区長選挙に立候補いたしました。そして、「区民と一緒に日本一住みやすい街をつくっていきたい」という一心で皆さんと共に街づくりをおこなってまいりました。
しかしながらこの11年間、日本を取り巻く、世界の情勢は一変しました。
混乱する日本にあって、「このような国家経営を続けていけば、日本は2、3年で破綻する。国が破綻すれば、国民生活も杉並区の改革など自治体経営も、すべて水泡に帰してしまう」そんな強い危機感のもと、私は志ある国民の皆さんと先月18日「日本創新党」を設立し、日本の本格改革のために、杉並から、地方から大きな波を起こしていくことを決意しました。
そして日本創新党党首に就任し、永田町の「順列組み合わせの政党づくりでは、何にも変わらない!」と考え、区長としての仕事の少ない土日を使って、全国各地に回って日本創新党の思いを訴えました。
そして本当に多くの国民の皆さんが、私たちと同じ思いであることを直接肌で感じ取ることができました。「杉並モデル」を、疲弊する国政の場にどうしても活かしたいという私の思いは日々強まっています。皆さんにはどうかご理解賜りたいと思います。
そんな中、今月31日には新議長選出のための臨時区議会が開かれることが決まり、また6月4日からの区議会定例会の開催に伴う議案検討などの時間を考え、そして今月30日に予定されている日本創新党の結党大会に臨むにあたり、区長と党首の両者を兼ねることは、必ず弊害が生まれ、「皆さんにご迷惑をおかけすることになる」との結論に至り、23日の日曜日に辞任を決意し、昨日の辞任表明に至った次第です。
私は区長就任一期目に、自らの公約通り「区長多選自粛条例」を全国で初めて制定し、区長は3期12年を越えて務めることができない旨定めました。したがって、私の任期は来年4月で終りを迎えます。今回の辞任により、約1年の任期を残しての退任は私としても断腸の思いであります。区民の皆さまには心からお詫び申し上げます。
しかし11年間の「杉並改革」で財政再建のめどもつき、また全国初の「減税自治体構想」のスタートも切ることができました。そしてさまざまな杉並ならではのサービスも充実させることができました。私がお示しした、大方の公約は実現できたものと考えております。
確かに、残された1年弱の区長の任期を全うすることは大切な責任のとり方ではありますが、今日の状況を考えるとき、日本そのものが直面している危機を回避させることも、杉並区長として仕事をしてきた私の責任であると思います。
今の日本にとっては、この先数年はその進路選択や具体的処方箋づくり、そしてその実行が極めて重要となっています。まさに切羽詰まった状況にあります。
「長州だけの安泰を考えていてもダメ。日本国全体の改革を進めるとき」という、幕末の志士たちの思いが伝わってきます。
区政の発展には終りはありません。今後も私は一区民として、できうる限りの力で「住みよい杉並区」づくりに向けてどのような協力も惜しまない決意です。
どうか皆さま、今回の私の決断にご理解くださいますようお願い申し上げます。国政での仕事は多くの困難を伴なうものと考えています。今後も皆さんのご支援を賜わることを心より願っております。
本当に本当にお世話になりました。ありがとうございました。
平成22年5月26日
杉並区長 山田宏