タミヤ1/35「道標セット」のパッケージ裏には、道路標識や立て看板、ポスターなどが印刷されています。


その中でもひときわ印象的なのが「重要!補給路。花嫁を扱うように大切に!」の立て看板ではないでしょうか。

今回はこの立て看板について考察したいと思います。

看板に書かれた文字を原語に近く訳すとこんな感じです。
 

「重要な補給路。だから、兵士の花嫁と同じ愛情をもって扱え」

この立て看板はどこの戦域で使われていたのでしょうか?
そして、「大切に扱え」とは、誰に対してのメッセージでしょうか?

結論から言いますと、この立て看板が使われたのは、東部戦線、北方軍集団戦区のレニングラード地方のようです。

こちらのサイトでこの看板を撮影した当時の写真を見つけることができました。

 

 

ロシア語の記事タイトルには、「軍用道路の維持をうながす道路沿いのポスター」とありますが、軍用道路の中でも補給部隊が使う戦略上、非常に重要な道路ですね。

 

解説文を翻訳すると

「重要な補給路。兵士のガールフレンドのように扱え」。
道路標識から判断して、写真はレニングラード州で撮影された。

ムガ村まで25キロ、シュリュッセルブルクへの道標が見える。

 

ドイツ語で「braut」はガールフレンドではなく、「花嫁」です(笑)

たぶん記事の筆者がドイツ語をよく知らなくて、立て看板のイラストからガールフレンドとデート中のドイツ兵士と判断したのでしょう。

 

また立て看板の左側にある標識群の中には、「軍需品、弾薬の支給所」を示す標識もあることから、すぐ近くに補給部隊の物資集積所があるようです。


したがって、この立て看板のメッセージ「重要!補給路。花嫁を扱うように大切に!」は、補給部隊の車両を運転するドライバーに対してのものではないかと思われます。

あるいは、RADのような軍用道路の維持を担う部隊の隊員への啓発かもしれません。

 

ちなみに「ムガ村まで25キロ」「シュリュッセルブルク」「軍需品、弾薬の支給所」も、タミヤ1/35「道標セット」のパッケージ裏に印刷されています。
「Bhf.」はBahnhof (バーンホフ)の略で、鉄道、停車場の意味です。

 

 

 


「重要!補給路。花嫁を扱うように大切に!」の立て看板が、他の戦線(西部戦線やイタリア、北アフリカなど)でも使われていたのかは不明です。
私は現地の兵士(補給部隊かRADの)によるオリジナルではないかと思っています。

 

でも、模型製作においては、史実に囚われず、フィクション設定でどの戦場の情景に使ってもいいと思いますよ。

あくまで趣味の世界ですから。

さすがに太平洋戦域で使うと「えっ!?」ってなりますが(笑)