昨年の夏は、乳癌の治療のために抗癌剤を始め、脱毛が始まって、辛いく悲しい時期だった。
死が間近に迫っているように感じ、不安でたまらなかった。
そんな頃、日テレで〇〇時間テレビ、をやっていた。
それまで熱心に見たことはなかったのだが、癌になって、支援する側から、支援される側に回ったような気分になって、番組を観てみた。
「健常者じゃなくても、がんばって、こんなに素晴らしい人生を送っています」というような、前向きなパワーを貰えることを期待していたのだ。
私が見た時に、ちょうど乳癌の患者さんが何人か登場されていた。
ところが。
治療を進め、職場復帰を果たしたけれど再発して、亡くなられた方。
自分の死後、子供が寂しい思いをしなくて済むように、絵本を読んであげているところをビデオに沢山録画して、小さな子供を残して亡くなられた方。
これを観て、しばらくの間、と~っても落ち込んだ。
全部観たわけではないが、乳癌患者を励ますための内容ではなかった。
乳癌=死という図式が刷り込まれてしまった。
治療なんかしても、抗癌剤をがんばっても、小さな子供がいても、死ぬのか・・・。
「乳癌になっても、こんなに前向きに、以前と変わらず元気に過ごしています。
治療は辛いけれど、癌=死ではないんですよ!」という情報発信をしてほしかった。
しかしながら、テレビは「募金をたくさん集める」ことが目的。
そのためには、悲しい物語の方がいいんだろう。
「病気を乗り越え、がんばっている人が沢山います」という内容では、募金も集まらないんだろう。
健康な人をターゲットにした番組なんだろう。
この番組以降、落ち込みからなかなか上がって来られなかった。
今年は観たくない。
私が観ていなかった時間帯に、乳癌患者へのエールや励みになる内容があったのかもしれないけれど。