NHKの大河ドラマ「平清盛」の放送回数も後僅かとなり、今週28日は平家打倒を企てた1177年(治承1)の「鹿ヶ谷(ししがたに)の陰謀」。この陰謀の中心人物は、後白河上皇、藤原成親及び西光等で、その舞台となったのが僧・俊寛の鹿ヶ谷山荘とされている。この企ては密告により発覚し失敗に終わる。後白河上皇を除き、この謀議に加わった人物は処刑または喜界島(奄美大島の東方)に流された。中でも、僧・俊寛一人だけは許されず、喜界島で没。
□ 鹿ケ谷と地名の由来
京都市左京区の東山山麓一帯に、鹿ヶ谷の地名が残されている。この地名は、滋賀県にある園城寺(三井寺)を再興した天台宗の高僧・円珍(智証大師)がこの地を訪れた時、一頭の鹿が現れ円珍を導いてこのあたりを案内したという伝承に由来するという。
□ 僧・俊寛の山荘跡地を石碑で巡る
勿論、およそ840年程前の事件の舞台となった山荘は跡形もなくなっており、伝承に基づき建てられたであろう石碑にその面影をみることができる。哲学の道から離れ、歴代皇女が入寺され谷の御所と呼ばれる「霊鑑寺(れいかんじ)」の山門に着くと、その右手の道路脇に「此奥 俊寛山荘地」の石碑が建っている。
霊鑑寺は通常は非公開であるが、今年の秋は特別公開される(11月17日~12月2日)。
霊鑑寺横を東山の大文字山(標高465m)に向かう道は、「京都一周トレイル東山コース」。この坂道を10分程上ると東山の山中に入る。営業日・時間限定の割烹らしき「鹿ヶ谷山荘」の案内板を左に見た後に、少し山道を上ると「俊寛僧都旧跡道 八町」の石碑に遭遇。八町と言えば約900m弱の距離。夕方が迫る時間帯に更に奥に入ることの探索は止め、この石碑から市街地に引き返した。
なお、京都一周トレイルコースは、京都の三方を囲む東山・北山・西山に散在する有名な社寺、名所及びビユーポイントをつなぎ、具体的には京阪電車の伏見稲荷駅から東山三十六峰を経て比叡山から北山へ至り、江文峠・京見峠などの北山各所を通って高雄・清滝へ入り、阪急電車の上桂駅へと続く全長約70kmのハイキングコース。
【 プラスα:鹿ヶ谷かぼちゃ 】
京都の伝統野菜の一つで、ひょうたん形で2~4キロにもなる大型のかぼちゃ。江戸時代に津軽(青森県)から伝わった菊座かぼちゃを鹿ヶ谷で栽培するうちに、現在の形になったと伝わる。淡泊な味で甘味は少なく水気が多いのが特徴。毎年7月25日には鹿ヶ谷にある安楽寺で、かぼちゃ供養が行われ中風除けに、このかぼちゃがふるまわれる。



