プラネテス | 日刊タカナリ

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おすすめの映画やマンガ、製作したプラモ、イラストを紹介していきます。
※あくまで個人的な感想なので、参考程度にご覧ください。

ネジ1本で、宇宙船は沈む。



「プラネテス」



2003年~2004年放送。全26話。

原作:幸村誠。

監督:谷口悟朗。

シリーズ構成・脚本:大河内一楼。


宇宙開発によって生まれたスペースデブリ(宇宙ごみ)の回収業者が主役の作品。

時代は2070年代。宇宙開発は進んでいて、人類は月だけでなく、火星にまで行く事が可能になってます。木星や土星にも行こうと計画もされています。

一方で廃棄された人工衛星やロケットの残骸が軌道上に溢れてしまった事により、旅客機などの衝突事故が発生。社会問題となっています。



主人公は、そのデブリを回収するテクノーラ社デブリ課の星野八郎太。そして新人の田名部愛。

二人が所属するデブリ課が、様々なデブリ回収を行います。しかし、他の課からはお荷物扱い、邪険にされています。
田名部に関しては、他の課で使い物にならないからデブリ課に回されています。語られていませんが、八郎太含め、他のメンバーも同じような感じだと思います。

夢いっぱいで入社した田名部は、なんとかデブリ課の良い部分を自分に言い聞かせながらも、友人の仕事と比較してショックを受けてましたね。
そりゃそうだ。



疑問だったのが、デブリ課の重要性を会社全体で理解していないこと。

ゴミ回収業者がいないと街がゴミで溢れてしまい、事故・悪臭・環境汚染の原因となります。
同じようにデブリ課がいなければ、宇宙はデブリで溢れてしまい、ロケットを打ち上げる事も出来なくなってしまいます。事故も多発するでしょう。
それなのに、一般社員だけでなく上層部のお偉いさんまでデブリ課の必要性を理解していないのが不思議でなりません。

もっと待遇改善すべき。
仕事出来るのは、デブリ課がデブリを日々回収しているおかげ。



描かれるのはデブリ課の仕事だけでなく、宇宙開発に反対している“宇宙解放戦線”によるテロ活動、宇宙開発による各国の格差と激化する紛争など、宇宙開発によって世界がどうなったかも細かく描かれています。

利益を得る国と損をする国。
それによって引き起こされる紛争。宇宙の仕事をしたくても相手にされず、安い仕事でなんとか生きる貧しい人々。募る宇宙への不満、利益を得ている国への不満。
こういう『実際に宇宙開発が進んだら、世界はどうなってしまうのか』というのがしっかり考えられています。格差による紛争や不平等な利益分配など実際にありますから、この作品はフィクションですが、本当にこんな事が起きるかもしれません。“宇宙解放戦線”も生まれてしまうのも納得です。

宇宙へ進出したとしても、人間という生き物自体は変わらないのかもしれない。

宇宙服のテストに来ていたあの企業には頑張ってほしい。



田名部に関してなんですが、正直最初から苦手でした。

全てを知ってるかのごとく頻繁に“愛”を訴え、なにかと八郎太のやり方や考え方に突っ掛かる。
仕事中に別の事を考えて注意散漫。
後先考えずに感情で動く。
会社にとっては迷惑でしかない彼女の言動にとにかくイライラしながら見てました。最初からだったので、全26話見れるか不安になりました。

ですが中盤からはそれも少し落ち着き(多少はある)、見易くなりました。八郎太との関係が親密になったせいでしょうね。
この展開は意外でした。まさか八郎太と恋仲になるとは。正直どこがいいのか分かりませんが、お互いに惹かれたなら良いと思います。2人にしか分からないものがあるのでしょうね。

最後、八郎太は田名部の言っていた“愛”の意味について一つの結論に達しますが、田名部はそんな難しい事考えずに言ってると思う。おそらく終盤のテロ事件まで。

最後はいい感じになり、いい感じで終わりましたが、田名部だけは好きになれませんでした。



全体的にキャラクターに対して少し不満が生まれましたが、デブリ回収作業や宇宙解放戦線による事件、木星往環船乗組員への挑戦は非常に面白かったです。

あとで漫画も読んでみようと思います。