辛崎の松は花より朧にて     芭蕉

朧(おぼろ)とはよくいったものですね。ぼや~と霞んでいる様、それも宵、夜。

春ならではの気象でしょうか。気温の適度なこともあるのでしょう。

からさきの松は琵琶湖西岸の近江八景の一つだそうです。

僕はまだ見たことがありません。

花(桜)より綺麗だと言ったのでしょう?芭蕉は。

春の夜、ぼうっと霞んで、松が花の美しさより朧という状態でなんともいえない

美しさだったのでしょうね。朧とはそういうものだと教えているようです。


  夕朧、朧月、朧月夜とか、またなんと鐘の音もこの頃聞くと違って聞こえて、それを鐘朧(かねおぼろ)といいます。

  公園の木立も人も月おぼろ    武原 はん

 源氏物語の昔から春の宵に感ずる日本人の琴線でしょうか。英語に訳すと単に

spring evening じゃあつまんないですね。なにか修飾語を使うしかないでしょう。ほのかにとか、ほんのりとか、かすんで、とかhazy , faintly とかありますが全然訳せていませんね。やはり日本に住んでもらわないと(外人にはたとえ日本に住んでもこの感覚になることはむりでしょうか、

でも小泉八雲の例もありますね。)。

 今夜あたりの隅田川は、下弦の半月が岸を照らし、桜の木は葉と花が混じって朧に浮かんでいる、きっとそれに違いない(^0^)

  それを見ながら一献かたむけたくなりました。そして1句作ることにしましょう。

春行士