今朝NHKの漢詩の番組を見ていましたら、明の高啓という人の詩で、「水を渡りまた水を渡り」という繰り返しのフレーズが出ていました。そういえば俳句にもあるな、と思って書いています。

詩の作り方で繰り返し、畳語といいますが、音楽にもありますね。英語がそのまま日本語になって、一つの用法となっています。「リフレイン」(refrain)ですね。

 refrain from smoking (喫煙を差し控える)のリフレインとは同音(同スペル)異義です。


  春の海ひねもすのたりのたりかな    蕪村

  ひやひやと壁をふまえて昼寝哉     芭蕉   というようなものもありますし、


  鰯雲ひろがりひろがり創痛む    石田波郷

  一月の川一月の谷の中     飯田龍太   というような副詞、名詞、あるいは形容詞の繰り返しで様々な使い方があります。

  寒からう痒からう人に逢ひたからう    正岡子規

  物の芽のほぐれほぐるる朝寝かな    松本たかし  というようなリフレイン形式もあります。


いずれのものもリフレインは、同じ言葉、音の繰り返しによって意味の強調、リズムの生まれ、

などとなって印象深く、調子も残ります。蕪村、芭蕉、一茶など多用しています。俳句もそこを

見逃すはずもなく先達の句の中にうまく使われているものがあります。

  笛ふきて夏終わらしむ笛ふきて    金子兜太

  羽子日和続き続けり続けかし    松本たかし

こんなのもリフレインといえるかも。僕の好きな句です。

  しぐるるや駅に西口東口   安住 敦

    (しぐれが冬の季語です)

恥ずかしながら

  潮騒の響き響きて春隣    春行士

     春隣(はるどなり)が季語です。