先週の金曜日だったか。
残業を終えて帰路へ。
会社から駅まで歩き、電車に乗る。
途中で乗り換えがあるので一旦降りて、再び電車に乗る。
その時目の前にオッサンが座った。
ピタッとした、ロードバイクに乗る人のような格好だった。
電車であまり見かけることはない格好だ。
まあそれはいいんだけど、オッサンはカバンと飲みかけのペットボトルを隣に置き、2席分のスペースを占領していた。
混み合ってるわけじゃないけど、立っている人もいたので、明らかに邪魔である。
しかしそんなことをする非常識さ、それになんだかソワソワして落ち着きがなく、変な人だということは一目瞭然。
迷惑だけどこういう人はほっとくのが懸命だ。
僕は一切そちらを見ないようにした。
電車が動き出し、そして次の駅に着いた。
何人かが立ち上がり、降りていく。
その中の1人のオッサンが、その変なオッサンの前を通り過ぎる時、
「邪魔やぞ」
と言った。
周りの人が全員思ってる心の声だったが、そのオッサンはそれを口に出して言ってしまったのだ。
そしてそのまま降りて行こうとした。
このオッサンをオッサンAとしよう。
嫌な予感しかしなかったが、案の定言われたオッサンは黙ってなかった。
こっちはオッサンBにしよう。
立ち上がって、Aを追いかけ、
「やかましいわコラ」
と言った。
それはスルーしてAには立ち去ってほしかったが、そんなことはなく、Aはクルッと振り返った。
そしてAとBが向かい合って口論が始まった。
めんどくさい。
周りの人は全員思ったであろう。
どっちかがさっさと引いてくれればいいんだろうけど、そんな気はなさそうだ。
最悪の事態にならないといいが。
そう思ってると、少し離れたところで、
「扉閉めて」
という声が聞こえた。
乗客の誰かが、車掌に言ったのだろうか。
その数秒後、ドアが閉まった。
立ち位置的に、Aはホームに降りていて、Bは車内だった。
閉まるドアは、文句を言い合う2人を遮った。
その光景は、なんともシュールであった。
閉めてと言った人、そしてすぐに閉めた車掌はナイス判断である。
ドアが閉まると、Aは立ち去っていった。
車内に残されたBは、
「二度と電車に乗るな!ボ◯ェッ!
ぶち◯すぞ!ク◯野郎が!」
と捨て台詞を吐いた。
そのまま10秒くらい立ち去るAの後ろ姿を睨みつけた後、鼻息を荒らしながら、元の位置、つまり僕の目の前に戻ってきた。
近くに居たくないので移動しようか迷ったが、それはそれで刺激してしまうかもしれない。
そのまま目を合わせないよう様子を伺っていたが、幸い何も言ってくることはなかった。
電車には一定数変な人がいる。
一番いいのは近寄らず、距離を取ること。
運悪く近くに居合わせた際は、離れられそうなら離れる。
厳しければ、一切そっちを見ないようにし、気配を消すことが重要である。
これからも気をつけようと思った。