今年のお盆休みはどこに行くわけもなく

実家で草取りしたり片付けしたりして過ごしました。


娘は久しぶりにお兄ちゃんに遊んでもらって嬉しそうです。

まあ、相変わらずゲームばっかりですがw


僕は本を読んでゴロゴロしてました。(至福w)


面白かった本は



高瀬隼子さん 「おいしいごはんが食べられますように」


息子をバイト先(イオン)に送ったついでに

本屋に寄って目について買った本のうちの1冊。

内容はといえば

「同じ会社の同じ部署の男女3人と同僚達の織りなす

恋愛模様」というとドラマにでもなりそうですが

まあ、これは絶対ドラマにはならないだろうなと思う。

主人公(?)の冷めた感覚が妙にリアルなのもあり

帯の宣伝文句通り心がざわつく作品でした。

何よりこの作品が芥川賞に選ばれること自体が

僕にとっては1番の衝撃です。






桐野夏生さん 「燕は戻ってこない」


450ページの大作です。

途中まで読んでてよかったので

Facebookに上げていて


女性に「面白いです。是非」みたいなコメントを返してて

読み終わった後めちゃめちゃ後悔しました。

いや「面白くなかった」わけではなくて

男が表現として「面白い」と言うのは

この作品を表するにあたってはとても頭悪いと気がついたから。


子供がどうしても欲しい人が

お金がほしい人を探して代理母になってもらうというお話。

そこにはどうしても自分の遺伝子を残したいエゴ。

不妊治療の苦しみ。

何かに対しての果てしない忖度。

などがグチャグチャに入り乱れて

感情はその度に右に左に振れる。

男は一貫して子供が欲しいバカな雄として

そこに鎮座している様は滑稽にさえ見える。


女性は出産に際して身体的、肉体的、社会的に苛まれる


それを少しはわかってるつもりだったけど

実は全くわかってない(わかるわけない)

と思い知らされました。


男が出産という一大事業に関われる部分は

極めて極めて少ない。


それは多分、人間の男なんかに種として

一番大切な繁殖という事業に

関わらせてやるものかという

神からのメッセージにも思える程です。


この物語の結末を読んで

女性は様々な感想を得ると思いますが

多分男性陣の感想は一つだけかもしれません。

「女(性)はすごい。」





紗倉まなさん 「春、死なん」


この夏、僕が1番よかった小説はこれです。

彼女のデビュー作「最低」でも思ったのですが

文章のそこかしこに漂っている不思議な切なさ。

それは「切ない」に内包される弱さとは

真逆な何か。

三振覚悟で バットを振り切った後

バッターアウトを告げられた時の感覚に近いと

思いました。(野球したことないけどw)


男女の特に「欲望」に対する感情を炙り出した上で

その感情をシーソーのように交互に描く。

でもいつのまにか

そこには男性性も女性性も無くなってきて

やがてひとつになる。


もしかして作者が文学というフィールドでやりたかったのは

そういうことなのかと僕が勘違いしてしまうのは

やはり余計な

でも刺激的な情報が邪魔をするから。

150ページを一気に読ませる筆力はさすがで

紗倉 まな という名前でなくても売れたと思う。


ある友達は

「この人(作者)は狂っている。」と言ったけど、

たぶん、それは褒め言葉として適切な表現だと思いました。




ビジネス本を読むのをやめたので

本は小説とドキュメンタリーが多くなりました。

老眼になったら読むのが億劫になるそうなので

なるべくならないといいな(笑)