冴え渡る玄人好み。 | 長楽未央「楽しみの盆栽」

冴え渡る玄人好み。

第39回日本盆栽大観展11月22日(金)~25日(月)の

開催まで一月を切りました。

 

今回のチケットです。

掲載されている黒松は

大隈重信旧蔵の黒松(銘「大隈」)だそうです。

 

 

時代乗りも発色も良く出来栄えが素晴らしい

「白交趾外縁切足短冊楕円」です。

古い中国鉢なので当然登り窯で焼成されており、

温度調整が難しい上に、

置く場所によって釉薬の発色なども変わり

出来栄えが様々です。

 

その中でもこの鉢は出来栄えが良いです。

 

白交趾特有の黄乳白色の釉薬が美しく、

単色でありながら、微妙な発色の変化が魅力的です。

 

厚めに掛かった釉薬に“まったり”とした風合いが

温かみを感じさせますが

野暮ったい感じは微塵も感じさせず

スッキリと垢抜けた印象がします。

 

その要因の一つが素地(釉薬を掛ける前)の造形が

シャープで出来栄えが良いからです。

 

 

 

 

シンプルな切足を見ても

シャープでエッジが効いていると思いませんか。

 

もう一つ注目して頂きたいのが

釉薬と素地の境目です。

 

線を引いたかの様に綺麗だと思いませんか。

 

釉薬が流れて玉になったり、波打つ物などが多い中で、

ここまで綺麗な物は少ないと思います。

 

とは言うものの

玉になった物や波打った物も趣があったりして、

それが故に良かったりします。

 

 

 

素地と釉薬の境目の切れと共に、

下紐の様な薬溜まりも均一な直線で美しく

釉薬の大らかさと造形的な鋭さとの対比が魅力的です。

 

 

一見すると気付かないかも知れませんが、

随所に冴えわたった見所がある

玄人好みの出来栄えが良い

「白交趾外縁切足短冊楕円」

ホームページに掲載しています。