15代 永楽善五郎(正全)作
朝晩は随分と冷え込んでまいりました。
今年も後、一ヶ月余りとなりましたね。
新聞やニュースで紅葉の情報をよく目にしますが
年々紅葉も遅くなっているように思います。
最近の大観展期間中には、余り紅葉していなくて、
10年程前までは、期間中に雪がチラチラする事があるくらい
冷え込んだのを思い出します。
これも温暖化の影響でしょうね。
そのうちに12月にならないと
紅葉しなくなる日が来るのでしょうか
15代 永楽善五郎 (正全)作
「黄交趾松葉唐草紋丸」
永楽の鉢は数が少なく、珍しいです。
美術品を作る作家さんは、
植木鉢などの土を入れる器を
作るのを嫌がられるそうです。
その様な物を作ると名声に
傷が付くとされていることが原因のようです。
当園のお客様で浅蔵五十吉 の鉢を
所蔵しておられる方がいました。
その鉢は美術商が持って来られたそうで、
話を聞くと浅蔵五十吉が亡くなった後に、
親族の方が蔵を整理した際に15個発見されたそうです。
製作したけれど、評判が悪くなるのを恐れて
出さなかったのでしょうか?
持って来た美術商も銅製の落とし(小さな器)を中に入れ
花瓶として使えるようにしていたそうです。
では、なぜ?
美術作家で有名な永楽は鉢を作ったのでしょうか
それは永楽と茶道が深く係わっているからです
永楽は千家十職 の一人で
お茶会などで使う物を作っています。
その中で福寿草を入れて飾る”福寿草鉢”があるのです。
形も大きさもある程度決まった物で、
平たくて浅く、縁があります。
永楽が作っただけあって薄引きで
非常に出来が良かったです。
永楽正全の鉢は”福寿草鉢”としてではなく、
サイズも大きく植木鉢として作られており、珍しい作品です。
箱書きにも”植木鉢”と書かれています。
貴重な物だったので長年古美術商が
非売品で所蔵していました。
前に先代の14代室 妙全の
福寿草鉢を扱った事もあるのですが
面白いことに焼き物で出来た水石(永楽の落款あり)が二つと
鉢底に敷く厚紙(穴を塞ぐため)と敷砂が付いており、
水石飾りとして飾れるようになっていました。
正全もそれを真似て作ったのでしょうか、
同じ様な水石が付いていました。
永楽は落款や書体で何代目の作か判ります。
遊び心のある面白い作品ですよね