東電が「再エネ、本当はもっと入る」、新試算の驚き | shuuei太陽光発電

shuuei太陽光発電

太陽のめぐみをありがたくいただく。
太陽光発電の日記です。

東電が「再エネ、本当はもっと入る」、新試算の驚き
2019/8/1 朝日新聞

竹内敬二の「e潮流」

 再生可能エネルギー業界に大きな驚きが広がっている。再エネの導入可能量について、送配電会社の東京電力パワーグリッドが、あっと驚く試算を公表したからだ。

 東電の管内である千葉県の房総地域には、太陽光や風力など再エネ発電所の新設構想が多い。しかし、東電はこれまで「送電線の空きはゼロ」と答えていた。「送電線増強には800億~1300億円のお金と、9~13年の時間が必要」としていたので導入は進まなかった。

 ところが5月、新しい方法で試算し、「少しの出力抑制を考えれば、送電線の増強なしでも約500万キロワットの再エネが入る」と主張を変えたのだ。

 電力業界ではこれまで、送電線の空きは最も混み合う過酷なケースで考えてきた。その状況で混雑となれば、混雑の頻度などは調べず、1年中「空き容量ゼロ」としてしまう。

 新しい方法は、実際の電力需要に、計画中の500万キロワットの再エネ発電所も加えて、送電線に流れる実際の電気(実潮流)を1時間刻みで1年間(8760回)シミュレーションする。結果は、99%の時間は送電線に余裕があり、1%ほど(年間90時間)は少し混雑した。

 この90時間だけ、どこかの発電所の出力を少し抑制すれば問題ない、ということになる。「空き容量ゼロ」の送電線が「500万キロワット接続可能」になった。1千億円前後のお金も不要。

 マジックではない。このやり方は「実潮流での送電管理」と呼ばれ、欧州、米国では実施されている。日本の従来法より明らかに合理的だ。

 日本では「送電線が満杯」を理由に再エネ導入が足踏みしているところがいくつもある。「実はガラガラ」という研究もあったが、再エネ業者はあきらめてきた。自分で計算する技術もデータも持たないからだ。

 今後は状況が一変するだろう。まず、新しい方法で空き容量をチェックしてみることだ。無駄な送電線の増強をしなくて済むかもしれない。これは間違いなく日本の再エネ論議の大転換だ。(元朝日新聞編集委員・竹内敬二)