塾が日本社会で、これほどまでに広まり、大きな産業になったのには、大きな原因があると思います。

その大きな原因は、塾と学校の基本的教育方針の違いにあります。

 

皆さんも経験があると思いますが、

学校では、夏休みや冬休みなど、特に長期の休みの前にはプリントが配布されます。

「夏休みの過ごし方」なんてプリントです。

そのプリントには、

「○○は、してはいけません」

禁止事項がびっしりと書かれています。

当たり前のことから、ご丁寧に細部にわたり、事細かに書かれています。

真剣に読んで

「はい、禁止事項は絶対に守ります」

なんて思っている人は少ないと思われます。

「はいはい、わかりまし~た、やれやれ細かいことまで、いちいち書かないといけないものなんでしょうか」

こう思っていると考えます。

とにかく、休み中に問題を起こさないでもらいたい、

だから、プリントで重々くぎを刺しておこう。問題が起きれば

対処しなければならないから、せっかくの生徒や児童のいない休みが台無しになるからね。

 

教師の本音はこのあたりにあるかと思います。

ですから、禁止事項プリントは

「既に生徒や保護者には、注意喚起しています」

万一問題が起きた時には、重々事前に注意していたというアリバイ作り、

十分注意したのに禁止事項を破った者がわるい。責任逃れとも言えるわけです。

 

 

それに対して、塾はどうでしょうか。

「やってみるか、挑戦してみよう」

勉強する場ですから、やる気で取り組む子供であれば、禁止教育は基本有りません。

まずはやらせてみる、挑戦教育です。

挑戦ですから、前向きなプラス思考です。だから、すんなり受け入れることができる。

 

すべてがうまくいくわけではないですが、挑戦してうまくいくことも結構ある。

それが自信となり楽しくなる。だから、そういう塾へ行くことが楽しくなる。

 

学校の教師と塾と両方やった私の経験から言わせていただきますが、

私も学校の教師時代は生徒をよく注意しました。

「○○は禁止」よく言っていました。

ところが、塾をやるようになって

「とにかくやってみよう、何とかなる」

こう変わりましたね。

塾は民間で自由、学校は公で法令の規制ありということになりますから、仕方ないのかもしれないですが

塾が完全に社会に浸透している現状を、改めて学校関係者はしっかりと受け止めていく必要があると思います。