質問:帰国のための検査として、PCRの他に、安い「抗原定量検査」というものがあると聞いたのですが、

どこで受けられますか?

 

厚生労働省のホームページには、PCRの他に「抗原定量検査(Quantitative Antigen Test (CELIA, ECLIA))」も有効であると記されています。

 

 

 

これは、抗原定性検査(いわゆる「快篩」「ラピッドチェック」)とは異なるものです。

 

(妊娠検査薬で例えると、

 自分で尿を取って検査スティックを浸し、「線が2本で陽性!」となるのが定性

 その後病院で採血して「5000mIU/mlになってますね、しっかりと着床していますね」というのが定量です)

 

実は、この「抗原定量検査(Quantitative Antigen Test (CELIA, ECLIA))」、

コロナの検査として唾液やぬぐい液検体に対して行うのはかなり稀であり、

台湾でも、諸外国でも、検査できる医療機関は稀です。

実は私も、PCRより安くていいな、と思って台北市内の大きな病院に問い合わせしましたが、抗原定量検査は行っているものの、厚生労働省指定の「CELIA, ECLIA」という検査法ではない、とのことでした。

間違ってこちらで検査していたら、入国できなくなるところでした。

 

ですので、抗原定量検査を受けようとされている方は、しっかりと病院とコミュニケーションを取り

 

・それが定性でなくて定量検査であること、

・しかも「CELIA, ECLIA」という検査法であること

 

をよくご確認ください。

もしも検査法が間違っていると、出国・入国できなくなるリスクもあることを念頭に入れていただく必要があるかと思います。

(上記をしっかりと確認できない場合には、PCRにて証明書を取得する方が確実かと思います。

 現時点で、台湾で抗原定量検査(CELIA, ECLIA)可能な医療機関は存じ上げませんが、

 もしご存知でしたら追記しますので、ぜひお知らせください)

 

交流協会からアナウンスされているこちらの検査可能医療機関リストもご活用ください。

https://www.koryu.or.jp/news/?itemid=2279&dispmid=5287

PCR検査は、2500〜4000元程度のようです。

 

早く入国に陰性証明不要になる日が来ると良いですね…!

 

もし内容に間違いなどありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

それでは皆様、良い夏をお過ごしください。

ご質問

帰国前のPCRで陽性になってしまった。

(または、帰国直前にコロナに感染してしまった)

どうすればいい? 

陰性証明がないと帰れないの?

 

 

まずは、感染してしまった場合、指定された隔離期間はしっかりと台湾で療養しましょう。

ただし、その後、台湾で隔離が解除されても(他の人へ感染させない程度にウィルスが減少した頃になっても)、

PCRでは「陽性」の結果が出続けることがあります

 

これは、PCRという検査では、「ウイルスの残骸」のようなものに反応して陽性と判定されてしまうことがあるためです。

ウイルス自体は、発症日前後2〜3日をピークとして、量がだんだんと減っていき、

1週間程度経過した頃には(咳などの症状がまだ残っているとしても)、

他の人に感染させる可能性は大きく減っています。

 

ですので、医学的には、コロナ回復後にPCRをする意義は低いと考えられています。

(日本でも、今の台湾でも、回復後のPCRはありませんね)

 

ただし、渡航用の陰性証明というただ1点において、このことが問題になってきます。

 

感染後どのぐらいで陰性になるか、ということについては、個人差があると考えられます。

古い(オミクロン以前の)論文では数十日と記載されているものもありますが、

経験的には発症から1週間の(規定の)療養の後、すんなり陰性になる方もおられますし、

2週間程度経過すれば陰性になる方が多いなと感じています

(もしオミクロン以降での論文などご存知の方おられましたらご教授ください)。

 

帰国前の検査で陽性になったけれど無症状、という場合、可能性としては

・発症前の潜伏期間である

・無症状の陽性である

という2つの可能性があります。

この場合も、他の人にうつす可能性がある状態ということですので、もちろんすぐには飛行機には搭乗できません。

規定の期間、台湾でご療養いただいた後、再度検査をしてご帰国という流れになります。

 

「早く陰性にする方法とか、薬とかはないの?」

と聞かれることがありますが、基本的にはありません

しっかりと水分を取って、ゆっくり休んで回復を待ちましょう。

 

隔離後、どうしても陰性になるのを待てず、日本に帰国しなければいけない急な事情がある場合、

厚生労働省のホームページには

検査証明書の取得が困難かつ真にやむを得ない場合には、出発地の在外公館にご相談ください。」

と記載があります。

 

 

台湾ですので、台湾での在外公館に相当する交流協会にご相談いただくと、

個別に対処してくださった(所定の手続きを経て陽性でも出入国できた)という事例があると聞いておりますが、

日常業務でお忙しい交流協会のお仕事を増やしてしまうことにもなると思いますので、

「困難かつ真にやむを得ない場合」であるかどうか、各自でご判断ください。

 

もし内容に間違いなどありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

それでは皆様、良い夏をお過ごしください。

「台湾で新型コロナウイルスに備える」

というタイトルで、本日オンライン講演させていただきました。

 

こちらに要旨をまとめておきます。

 

1)治療

 

新型コロナウイルス感染症の治療は日進月歩であるが、台湾でも治療の選択肢は多く、話題になった「抗体カクテル療法」などは日本より台湾で早く承認された。今後も、効果が認められる治療薬についてはスピーディーに認可されていくと推測できるが、大きな流行となった場合、全ての人が医療にアクセスできる保証はない(台湾でも、他の多くの国のように医療崩壊が起きる可能性はある)。基本的な予防対策を心がけたい。

 

2)ワクチン

 

台湾では現在4種類のワクチンがある。

 

高端(メディゲン:組み替えタンパクワクチン。一番新しく市場に登場したが、ワクチンの種類としてはmRNAワクチン等より前からあるもの。効果や副反応はこれから検証されていく)

BNT/輝瑞(ファイザー:mRNAワクチン。効果が高く、海外での使用実績もある。重大な副作用として心筋炎があるが、感染して心筋炎になる確率よりはずっと低い)

AZ(アストラゼネカ:ウイルスベクターワクチン。現在、台湾で主流のワクチン。BNTやモデルナに比べて少しだけ効果が低いが、それでも打たないよりは十分効果がある。重大な副作用として血栓症があり、打った後には水分の摂取を)

莫徳納(モデルナ:mRNAワクチン。効果が高く、海外での使用実績もある。重大な副作用として心筋炎があるが、感染して心筋炎になる確率よりはずっと低い)

 

 

3)台湾で具体的に準備できること

 

・信頼できる情報のフォロー(福利衛生部か疾管家(CDC)のLINEがお勧め。中国語だが、視覚的に分かりやすい)

・物品の準備(食品、日用品、解熱剤、体温計、パルスオキシメーター?(注))

・ワクチン接種の検討(特に、高齢の方やリスクの高い方は積極的に)

・感染予防行動(マスク、手洗い、換気)

 

(注:「パルスオキシメーター 」は、指先に挟むことで簡易に体内の酸素濃度を図ることができる小さな機器。日本円一万円を切るぐらいの価格で市販されている。感染時、肺炎が起きていないか推測する強力な助けとなる。病院や政府からの貸し出しもあり得るが、感染爆発となった時に十分な個数があるかは分からないため、個人で準備することも有益。中国語では「血氧偵測儀(血氧機)」などと表記。オンラインで購入可能。)

 

4)情報

 

ウイルスと人間は、これからもイタチごっこ。「現在の正しい考え方」も、変異株の出現によって「過去の考え方」となり得るので、状況に応じて正しい情報を選択し、知識を上書きしていけることが重要

 

<<信頼できる・分かりやすい情報の紹介>>

 

<台湾に関する情報>

・台湾衛生福利部疾病管制署(LINEでのフォローがお勧め!「疾管家」で検索)

https://www.cdc.gov.tw

 

・HP「古関光浩の医療とナラティブ」(台南在住の日本人医師による記事。治療法やワクチンについて、台湾の情報を簡潔にまとめてくださっている)

https://tainan-jp.com/category/column/iryo/

 

 

<新型コロナウイルスの理解のために>

 

・忽那賢志医師(分かりやすい解説ニュースをYahoo!にタイムリーに投稿中)

https://twitter.com/kutsunasatoshi

 

・こびナビ(新型コロナウイルスに関する正確な情報を伝えるためのサイト。ワクチンの不安等に対する解説動画も)

https://covnavi.jp

 

・HP 「教えて!ドクター」(特に小児関連の情報。FB、ツイッターでフォロー可能)

https://oshiete-dr.net

 

・pdf「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」シリーズ(諏訪中央病院 玉井道裕医師によるコロナのイラスト解説。ワクチン編、デルタ株編などあり)

http://www.suwachuo.jp/info/2020/04/post-117.php

 

 

5)ウイルスと暮らし、世界

 

また、このパンデミックは単なる「ウイルス感染症」という「病気」ではなく、それが人々の「人生」に影響を与え、「歴史」や「世界」を変える。人類は多くの感染症と戦ってきた歴史があり、歴史や人文を紐解くことは、「パンデミックをどう生きるか」のヒント(あるいは友)となり得るかもしれない。(「感染症」と「歴史」のキーワードで、多くの書籍やYoutube動画があります。これなど分かりやすかったですhttps://youtu.be/QTqk1Wctyh0

 

 

聞いていただいた皆様、ありがとうございました。

こんにちは。

 

「ワクチンどうしたらいいのかな?」

とご相談いただく機会が増えてきましたので、

ここに私の意見をまとめておきます。

 

 

◇ワクチン接種は自分の意思で

 

基本的には、ワクチン接種は自分の意見で行うものであって、だれかに強制されるものではありません。

打つ場合には、打つリスクを理解して

打たない場合には、打たないリスクを理解して

打つか打たないか、選択する必要があります。

 

とは言うものの、ワクチン接種、海外に住む私たちにとっては、

 

ほとんどの人にとって打つほうがメリットが大きいし、

打つかどうか「迷える」状況にある今打っておくのがお得である

 

と言うのが私の考えです。どうぞ最後までお読みください。

 

 

◇重症化リスクを持つ方は、明らかに打ったほうがいい

 

迷う余地がなく、絶対に打ったほうが良い方は、「重症化リスクを持つ方」(かかった場合に、命に関わる可能性がある方)です。

 

<主な重症化リスク>

・腎臓の病気

・肺の病気

・糖尿病

・高血圧

・心臓の病気

・肥満

・喫煙

・高齢

 

これらの方は、自分の命を守る行動として、ワクチン接種が強く推奨されます。

 

 

◇重症化リスクはないけれど…という場合も、打つことのメリットは大きい

 

上に書いたような重症かリスクがなく、年齢が比較的若ければ、「重症化して死亡する」可能性は低いですが、ただし、若くてリスクのない方でも肺炎の症状が出たり、その後遺症が出たりすることはあります。(肺の後遺症でしばらく運動ができなくなることもありますし、地味に思える脱毛や嗅覚障害の後遺症も、ご本人にとってはつらいものです)

総合的に見ると、「ワクチンを打って出るかもしれない副反応」よりも、「かかって苦しむ症状、後遺症」の方がつらいと考えます。

 

 

◇「他の人を守る行動である」という意義

 

また、若い方が接種することは、

=社会でのウイルスの流行を抑え

=どこかで死ぬかもしれない人(それは、だれかの大切な人です)の命を救う行動

でもあります。

 

(ちょっと想像していただきたいのですが…、ワクチンを打たず、新型コロナウイルスに感染してしまい、そして軽症だった自分が友人にうつしてしまい、その友人のご高齢のご家族が亡くなってしまう…などという結果になったら、「ああ、ワクチンを打っておけば…。打つチャンスはあったのに…。」って後悔すると思いませんか?)

 

(そこまでじゃないとしても、現状ではPCR陰性証明がないと飛行機に乗れないので(軽傷でも、発症してから陰性になるまで数週間かかる場合があります)、例えば、自分を経由して感染したかもしれない誰かのお子さんが飛行機に乗れず、受験ができなかった…などとなれば後悔は大きいですよね)

 

 

◇社会的なメリットがあるかもしれない

 

また、海外に在住の身としては、いつでも「突然日本に帰国しなければいけない」というような事態が起きる可能性があります。

現在では「ワクチンパスポート」はまだ実働していませんが、将来的には「2回目のワクチン接種から⚪︎日経っている人は隔離を免除/短縮」などが可能になる可能性があります。

そうなった時、ワクチンを打っていることは有利です。

 

 

◇打てる今がチャンス!

 

今、台湾は流行がだいぶ沈静化して、「ワクチンの接種、様子を見ようかな」という人もいると思いますが、その時が逆にチャンスかと思います。

順番が来たら、打っておくのが吉、と、私は思いますし、自分も打ちます。

 

(今後、若い人でも重症化する変異株が出てくるような可能性もあります。その時慌てて打とうとしても、打って抗体ができるまでには時間がかかります)

 

 

◇アストラゼネカとモデルナ、どちらがいいの?

 

現在、台湾で申し込み可能なのは、アストラゼネカとモデルナのワクチンですが、(中国製のワクチンしか選択肢が無い、という他の国に比べると)、どちらのワクチンも信頼性の高い良いワクチンであると思います。

個人的には、日本でも広く接種されているモデルナを打っておく方が、日本でワクチンの接種歴を確認されたり、何らかの理由で2回目以降を日本で打たなければいけなくなった場合に有利かな、と思い、個人的には、モデルナの方が若干良いかな、と思っています。

もちろん、早く打てる方を接種する、という考え方も良いと思います。

 

 

 

以上、台湾に住む日本人としてどう考えるべきか、ということについて私見を述べましたが、打つにしても打たないにしても、大きな判断ですよね。

 

厚生労働省なども詳しく解説していますので、いろいろな資料をご覧になって、後悔のない判断をされますよう、そして皆様が健康に暮らしていかれますようお祈り申し上げます。

 

参考:

厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

 

国立循環器病研究センター 健康サポートセンター「新型コロナワクチン打つべきか打たざるべきか? 2021.7.13

http://www.ncvc.go.jp/kenkou/topics20210713.html

2月22日に「台湾コロナウイルス医師ボランティア相談」のアカウントを設置し、

2月に2件、3月に8件、4月に3件のご相談をいただきました。

内容としては(一部をこちらのブログに公開していますが)、「風邪のような症状があるが、受診するべきか、どのように行動するべきか」というものが大半でした。

 

その後、台湾での流行が落ち着くに従って(本当に素晴らしい!)、相談はなくなり、現在に至ります。

 

今後台湾での流行の可能性が否定できないため、念のためこちらのアカウントは残してありますが、このウイルスの実態が分からなかった2月に比べると、ずっと気持ちに余裕を持っていただけていることかと思います。

 

また、ご存知の通り、台湾の行政や各病院レベルでの準備も着々と進んでいます。

このままコロナ禍を乗り切り、安心して暮らせる日が来ることを心から祈っております。

 

 

🍀  🍀  🍀

 

このサイトは、台湾に住む日本人の方向けに、

医師が新型コロナウイルスについての相談や情報の紹介を行っているページです。

具体的な相談をご希望の場合には、こちらのページをご参照ください。

https://ameblo.jp/taiwancorona/entry-12577020463.html