「台湾で新型コロナウイルスに備える」
というタイトルで、本日オンライン講演させていただきました。
こちらに要旨をまとめておきます。
1)治療
新型コロナウイルス感染症の治療は日進月歩であるが、台湾でも治療の選択肢は多く、話題になった「抗体カクテル療法」などは日本より台湾で早く承認された。今後も、効果が認められる治療薬についてはスピーディーに認可されていくと推測できるが、大きな流行となった場合、全ての人が医療にアクセスできる保証はない(台湾でも、他の多くの国のように医療崩壊が起きる可能性はある)。基本的な予防対策を心がけたい。
2)ワクチン
台湾では現在4種類のワクチンがある。
・高端(メディゲン:組み替えタンパクワクチン。一番新しく市場に登場したが、ワクチンの種類としてはmRNAワクチン等より前からあるもの。効果や副反応はこれから検証されていく)
・BNT/輝瑞(ファイザー:mRNAワクチン。効果が高く、海外での使用実績もある。重大な副作用として心筋炎があるが、感染して心筋炎になる確率よりはずっと低い)
・AZ(アストラゼネカ:ウイルスベクターワクチン。現在、台湾で主流のワクチン。BNTやモデルナに比べて少しだけ効果が低いが、それでも打たないよりは十分効果がある。重大な副作用として血栓症があり、打った後には水分の摂取を)
・莫徳納(モデルナ:mRNAワクチン。効果が高く、海外での使用実績もある。重大な副作用として心筋炎があるが、感染して心筋炎になる確率よりはずっと低い)
3)台湾で具体的に準備できること
・信頼できる情報のフォロー(福利衛生部か疾管家(CDC)のLINEがお勧め。中国語だが、視覚的に分かりやすい)
・物品の準備(食品、日用品、解熱剤、体温計、パルスオキシメーター?(注))
・ワクチン接種の検討(特に、高齢の方やリスクの高い方は積極的に)
・感染予防行動(マスク、手洗い、換気)
(注:「パルスオキシメーター 」は、指先に挟むことで簡易に体内の酸素濃度を図ることができる小さな機器。日本円一万円を切るぐらいの価格で市販されている。感染時、肺炎が起きていないか推測する強力な助けとなる。病院や政府からの貸し出しもあり得るが、感染爆発となった時に十分な個数があるかは分からないため、個人で準備することも有益。中国語では「血氧偵測儀(血氧機)」などと表記。オンラインで購入可能。)
4)情報
ウイルスと人間は、これからもイタチごっこ。「現在の正しい考え方」も、変異株の出現によって「過去の考え方」となり得るので、状況に応じて正しい情報を選択し、知識を上書きしていけることが重要。
<<信頼できる・分かりやすい情報の紹介>>
<台湾に関する情報>
・台湾衛生福利部疾病管制署(LINEでのフォローがお勧め!「疾管家」で検索)
・HP「古関光浩の医療とナラティブ」(台南在住の日本人医師による記事。治療法やワクチンについて、台湾の情報を簡潔にまとめてくださっている)
https://tainan-jp.com/category/column/iryo/
<新型コロナウイルスの理解のために>
・忽那賢志医師(分かりやすい解説ニュースをYahoo!にタイムリーに投稿中)
https://twitter.com/kutsunasatoshi
・こびナビ(新型コロナウイルスに関する正確な情報を伝えるためのサイト。ワクチンの不安等に対する解説動画も)
・HP 「教えて!ドクター」(特に小児関連の情報。FB、ツイッターでフォロー可能)
・pdf「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」シリーズ(諏訪中央病院 玉井道裕医師によるコロナのイラスト解説。ワクチン編、デルタ株編などあり)
http://www.suwachuo.jp/info/2020/04/post-117.php
5)ウイルスと暮らし、世界
また、このパンデミックは単なる「ウイルス感染症」という「病気」ではなく、それが人々の「人生」に影響を与え、「歴史」や「世界」を変える。人類は多くの感染症と戦ってきた歴史があり、歴史や人文を紐解くことは、「パンデミックをどう生きるか」のヒント(あるいは友)となり得るかもしれない。(「感染症」と「歴史」のキーワードで、多くの書籍やYoutube動画があります。これなど分かりやすかったですhttps://youtu.be/QTqk1Wctyh0)
聞いていただいた皆様、ありがとうございました。