トラベル特集――そうだ。基隆、行こう!(後編) | 台湾観光のブログ

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企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/張晉瑞・季子弘





そうだ。
基隆 、行こう!

台湾本島東北部の基隆は、周囲を山に囲まれた海の街。深く入り込んだ天然の入り江を整備した基隆港は台湾第二の規模を誇り、古くから貿易・物流・軍事・漁業に重要な役割を果たしてきた。今回は港の東側の「東岸」や西側の「西岸」に足をのばして海岸線のユニークな地質景観や歴史スポットを訪ね、基隆港周辺では歴史建築や郷土グルメめぐりを満喫。台北から基隆へ鉄道やバスで1時間足らず。さあ、多彩な基隆の魅力にふれる旅に出かけよう!



おすすめコース
1日目:台湾鉄道基隆駅→東岸→基隆港
2日目:西岸→基隆港→台湾鉄道基隆駅

台湾好行バス
taiwantrip.com.tw

基隆市バス
klcba.gov.tw
 

 

 

西岸
海が作り上げた造形美を愛でる
基隆港西側の「西岸」エリアでは、東北季節風を受けて基隆沿岸に打ち寄せる荒波の浸食によりできた海蝕洞窟や岩礁など、変化に富んだ海岸線の風景を楽しもう。





西岸観光スポット
仙洞巌・佛手洞
「仙洞巌」は基隆最大の海蝕洞。仙人が修行して天に上ったという伝承があるため「仙洞」と呼ばれるようになったという。洞窟内部は、主洞、左洞、右洞の3つの空間に分かれている。

 

仙洞巌入口

 

主洞の「圓通宝殿」には観音菩薩が、右洞には三宝佛祖が祀られており、岩壁に彫られた観音菩薩像、文殊菩薩騎獅像などが荘厳な雰囲気を高めている。左洞は全長が80mもある、大人1人がやっと通れるほど狭い岩の隙間が続く神秘的な洞窟だ。身体を斜めにしたり屈んだりしながら進んでいくと、一番奥の小さな部屋のような空間にたどり着く。奥の祠前の四角いテーブルのような岩「仙卓」と両側の凹んだ岩壁がベッドのように見える「仙床」がこの場所の見どころだ。


右洞

 
狭くて細い左洞     


左洞奥の両側の凹みが「仙床」、中央の四角い岩が「仙卓」

仙洞巌を参観したら隣接する「仏手洞」へ。仙洞巌正門わきの歩道を3分ほど上ったところにある岩壁の割れ目が仏手洞の入口だ。こちらも天然の海蝕洞窟で、内部はいくつも分かれ道がある迷路のような空間。洞窟の中は岸壁からしみ出した水で湿っていて、外よりも気温が低く、静謐な空気が漂っている。

 

岩壁をくりぬいた凹みもある不思議な空間

 

標識に沿って進むと、洞窟の一番奥の岩壁に大きな手のひらと指のような形をした模様が現れる。これがまるで仏の手形に見えることから、洞窟を「仏手洞」と呼ぶようになったという。仙洞巌と仏手洞は、ふたつとも大自然が作り上げた不思議な地形が楽しめる場所。外の世界からしばし離れて、小さな冒険の旅に出かけてみよう。


見るものを包み込む大きな仏の手


戦時中は防空壕となり近隣住民が生活していたこともあったという

Add:基隆市中山区仁安街1号
Open:8:00-17:00
Access:台湾鉄道基隆駅から市バス301で「仙洞巌」下車


基隆灯台
1900年(明治33年)に竣工した「基隆灯台」は、基隆港西岸に突き出た萬人堆鼻にたっている。日本時代に3番目に建造された灯台で、設計は日本人技師の大澤正業氏。当時としては初となる煉瓦造りで、設置された灯台の回転式灯器が現在も残っている。歴史的価値が高いだけでなく、灯台としても現役でもある文化遺産だ。

 

 

内部は公開していないが、周囲に景観歩道が整備されており、塀の外から建物を見学できる。眼下に広がる大量のコンテナが整然と並ぶ基隆港の風景も圧巻。基隆市定古跡。


Add:基隆市中山区光華路51号
Access:台湾鉄道基隆駅から市バス301で「太白荘」下車、徒歩5分
※内部非公開のため「遊客止歩」の看板から先は立入禁止


白米甕砲台
基隆灯台に近接する砲台跡。300年あまり前のスペイン・オランダ時代に建設されたと伝わることから「オランダ砲台」とも呼ばれている。現在の姿は、日本時代に日露戦争に備えるために改修したもので、北の海に面して並ぶ4基の砲座跡のほかに、指揮所や観測台などが残っている。標高約70mの丘の上に位置しているため眺望が非常に素晴らしく、どこまでも続く大海原の風景を満喫できる。白米甕砲台から自然歩道が「基隆灯台」に続いているので、あわせてハイキングを楽しむのもおすすめ。基隆市定古跡。


Add:基隆市中山区光華路37巷の突き当たり
Access:台湾鉄道基隆駅から市バス301で「太白荘」下車、徒歩20分


外木山濱海風景区
外木山海岸は基隆市でもっとも距離が長い天然海岸。高い断崖と広い海にはさまれた美しい景色が楽しめるエリアで、休日ともなると沿岸の外木山情人湖濱海大道に多くの観光客が訪れる。

 

 

沿道には外木山漁港から新北市萬里の獅子公園まで全長約5㎞にわたって「外木山自転車道」が整備されており、サイクリングや散策を楽しむ人も多い。東屋や歩道から青い海と空や、遠く海上に浮かぶ小島の基隆嶼、海上を行き交う船舶を眺めれば、日常の疲れもすっかり遠ざかっていくことだろう。


写真/北海岸および観音山国家風景区管理処

Add:基隆市中山区湖海路一段
Access:台湾好行バス濱海奇基線で「外木山」下車(散策後は元のバス停へ)
※サイクリングは台湾鉄道基隆駅から市バス790で「野柳地質公園」下車後、公共レンタサイクルでの往復がおすすめ

新北市youbike
ntpc.youbike.com.tw



基隆港
港町の歴史建築&グルメ探訪
清代から重要な貿易港として発展してきた基隆港周辺には、徒歩圏内に魅力的な歴史建築やご当地グルメが密集している。のんびり歩きながら、基隆のお気に入りを見つけよう!


Access:台湾鉄道基隆駅から徒歩で各スポットへ



基隆港観光スポット
基隆地標公園
台湾鉄道基隆駅南駅舎北側の虎仔山に位置する公園。駅前の「KEELUNG地標登山歩道」を上がっていくと10分ほどで到着できる。小学校跡の校庭に公園の入口があるので、うっかり見過ごさないように注意しよう。

 

 

校庭から海側の展望台に出ると「KEELUNG」の文字が並んでいる。2006年に設置されるや、ハリウッドサインを真似たユニークなデザインが人気を呼び、いまでは基隆を代表するランドマークとなっている。基隆港の眺望を余すところなく満喫できる絶景スポットとしても人気を集めている。駅から気軽なプチハイキングに出かけてみよう。


Add:基隆市中山区中山一路217巷


基隆海洋広場
台湾鉄道基隆駅にほど近い、基隆港観賞のベストスポット。広場は広々としたウッドデッキになっており、港を眺めながらのんびり散策が楽しめる。広場の東側は港めぐりのクルーズ船が出航する小型船埠頭で、西側は大型クルーズ船が寄港する国際クルーズターミナルになっている。大型クルーズ船の入港時は迫力のある風景を近くで眺めることができる。駅後方の虎仔山に掲げられた「KEELUNG」の文字もよく見える。ライトアップされる夜の風景も美しい。


Add:基隆市仁愛区忠一路


海港大楼
1934年(昭和9年)に「基隆港合同庁舎」として建てられた建物で、現在も基隆港関連の公務機関が集まる総合庁舎として利用されている。台湾総督府交通局の技師だった鈴置良一氏が設計したビルは、T字路の角に向かって曲線を描くファサードを配しており、優美な外観は日本の銀座のビルを思わせる。玄関の柱のタイル、円柱が並ぶ1階ホール、ドアのレトロなガラス、日本時代から使われている銅製のポストなど、細部にわたって見どころが多い。隣接する陽明海洋文化芸術館とともに基隆の歴史を見守ってきた重要な建築物だ。基隆市歴史建築。


Add:基隆市仁愛区港西街6号
Open:9:00-18:00、土曜・日曜休館
※見学は公共スペースのみ


陽明海洋文化芸術館
海港大楼の向かいにたつ文化施設。前身は1915年(大正4年)に落成した日本郵船株式会社基隆出張所。アーチの連なるアーケードが特徴的な建物は日本時代の台湾の官公庁を多く設計した森山松之助氏と井出薫氏の手によるもの。もとは通りの角に面したビルの正面上部に尖塔があったが、戦時中の空襲により損壊している。戦後は長く陽明海運の事務所として使われ、2004年に陽明海洋文化芸術館として開館した。館内では海に関する常設展や体験コーナーなどを開催しており、家族連れに最適のスポットになっている。基隆市歴史建築。


Add:基隆市仁愛区港西街4号
Tel:02-2421-5681
Open:9:00-17:00、月曜・旧暦大晦日・旧暦元旦休館(最終入場16:30)
Ticket:NT$200 (チケットでDIY、ドリンク、ショップなどでの優待あり)
Web:facebook.com/ymocam1915



基隆港ご当地グルメ
阿本焼邁
1940年創業の老舗。看板メニューは基隆名物の「焼邁(焼売)」だ。魚のすり身、豚肉、油で揚げたネギなどをこねた餡を薄いワンタンのような皮で包んで蒸しあげた焼売は、ふわふわの軽い食感。5種類の調味料をブレンドしているという店特製の甘辛い唐辛子だれが、あっさりした餡の味わいにぴったり。おなかのすき具合を見て、吉古拉(竹輪)やスープを合わせていただこう。



朝食やおやつにもおすすめ



Add:基隆市仁愛区忠二路63号
Tel:02-2423-2861
Open:7:00-20:00、月曜定休


汕頭沙茶麺
「沙茶醤」は東南アジアの「サテ」を中華風にアレンジした調味料。一般に沙茶醤で調味した料理は干しエビなどの風味が感じられる香ばしい辛さとなるが、基隆ではカレー味になることが多い。広東省汕頭市出身者が台湾に持ち込んだ沙茶醤とカレーの出合いが生み出したもので、基隆独特の味だ。「汕頭沙茶麵」の麺も、もちろんカレー風味の「沙茶麺」だ。香ばしいソースをまとった麺をすすると、ほど良い辛さが口の中を抜けていく。粉唐辛子を振りかけると、全体の味の輪郭がより際立つ。

上:猪血湯、左:沙茶粿仔、右:沙茶烏龍麺

 


休日は昼過ぎに売り切れることも

Add:基隆市仁愛区愛一路21号
Tel:02-2427-7405
Open:11:00-20:00(売切れ次第終了)、日曜定休


天天鮮排骨飯  
細い路地の奥にありながら、休日には長い行列ができる人気食堂。豚スペアリブ、鶏腿肉、エビ、魚の4種類の唐揚げをメインにした定食を提供しており、一番人気は豚肉とエビが同時に味わえる「排骨蝦仁飯」。キャベツと高菜をのせたご飯とおかずが別盛りで出てくるので、全部乗せして丼飯にしてワイルドにかきこもう。甘めの特製だれをまとった豚とエビの唐揚げと半熟卵が絶妙な組み合わせで、白いご飯に非常に合う。


野菜をのせたご飯とおかず、スープが基本セット


おかずを全部乗せして特製丼完成!


Add:基隆市仁愛区孝三路42巷4号
Tel:02-2425-2108
Open:11:00-20:00



基隆港の隠れ家カフェ
曙‧初見咖啡 Chujian Café
港から続く大通りに面した古い雑居ビルの2階にひっそり佇む香港風カフェ。香港出身のオーナー夫人は、この場所の雰囲気が故郷香港の重慶大厦などの雑居ビルに似ているのに惹かれ、日本語歌謡曲専門のカラオケ店だった店舗を改装して、『恋する惑星』や『天使の涙』など、大好きな1990年代の香港映画のエッセンスを詰め込んだカフェを創り上げた。

 

 

店内に入ると、やや薄暗い照明の中でピンクのネオンサインが輝き、カウンターや家具のあちこちにレトロな雑貨や食器が置かれている。まるで雑居ビルの探検の果てに香港映画の世界に入り込んだかのような不思議な感覚だ。店の隅々まで、どこも絵になるので結婚写真などの撮影スポットとしても人気がある。

 

 

メニューはもちろん香港スタイルで、エッグタルト「蛋塔」やフレンチトースト「西多士」などの香港名物がそろっている。ゆったり音楽に身を任せながら、異国情緒漂う午後のティータイムを楽しもう。


熱々のエッグタルトに冷たいクリームソーダがぴったり


Add:基隆市仁愛区愛一路103-1号2F
Tel:02-2427-1882
Open:12:30-20:00(18:00以降は予約のみ)、火曜定休
Ticket:ミニマムチャージ1人ドリンク1杯
Web:facebook.com/chujiancafe
※オーナー夫人は簡単な日本語可



※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。