コラムーー台灣之光 第36回「殺」 | 台湾観光のブログ

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みなさんこんにちは。このコラムでは、台湾常連観光客である私(胖太子)の目線から見た台湾のよいところや面白いものなどを「台湾の光」として読者の皆様にお届けしています。

 

皆さんご存知の通り、日本と台湾は漢字の文化を共有しています。私たちは、はじめて台湾を訪れたときでも、漢字を見ることで、完全に意味は分からないまでも、なんとなくその意味を理解できることも多いかと思います。ところが、実際には中国語で「汽車」が「自動車」を意味するように、台湾では日本で使われている意味とは違う意味で使われている漢字も少なくありません。

 

私が今までで一番驚いたのは、「殺很大」という表現です。この表現を私が初めて見たのは、2009 年の高雄で行われた旅行関係の展示会だったかと思います。いくつもの旅行会社のブースに「殺很大」と書かれた看板があり、「殺」と書かれたうちわを持った旅行会社の社員もいましたし、別のブースでは社員が「殺~~」と連呼をしています。さらには「老闆發瘋了(社長は気が狂いましたの意)!」の文字も。まさか、本当に人を殺すわけではないのでしょうが、前年にこの展示会へ来た時にはこうした表現はなく、安い旅行商品を作るために誰か首を吊ったのか、それともサービス残業で死人が出たからなのか、私の頭の中ではブラックな想像が膨らみ、時期としても新型インフルエンザが流行の兆しを見せ始めていた頃だったこともあり、高雄は死神に支配されてしまったのかと一人不気味な思いを抱いて見学をしたものです。展示会の後で、台湾人の友人に意味を尋ねたところ、「殺很大」は「殺價很大」、つまり価格を殺す=大安売りの意味だということを知り、大笑いをしました。

 

「殺」を使った表現でもう一つ驚いたのが、「殺魚」という表現です。台湾の漁港のおじさんから聞いたのなら何も感じなかったかもしれませんが、初めてこの表現を聞いたのが若い女性からだったもので、びっくりしてしまいました。普段の穏やかで優しい表情の彼女がから一変し、包丁を何度も魚に突き刺し、腸をえぐる…そんなシーンを想像してしまい、一瞬彼女の猟奇的一面を知ってしまったか(?)と思ったのですが、よくよく聞いてみると、「魚をさばく」の意味だとのこと。この時もあとから意味を聞いて大笑いしたものです。

 

日本と台湾はこうした漢字の意味の違い以外にも「同じようで違う」「違うようで同じ」そんな側面がたくさんあります。こうした経験は文化の一部を共有している日本人だからこそ感じられる台湾ならではの体験かと思います。昔のコーヒーの CM ではありませんが、「違いが分かる人」になったその時からあなたもきっと「台湾通」の仲間入りをしていることでしょう。

 

 

胖太子(ぱんたいず)
仕事で台湾を訪れるうちに、いつしか仕事を忘れて台湾を訪れるようになった日本人。最近は季節に 1 回どころか月に 1 回台湾を訪れないと発作が起きる。外見は「電音三太子」にそっくりとかなんとか…。

 

 

 

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