特別企画ーー南投県「竹山・鹿谷」 | 台湾観光のブログ

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南投県「竹山・鹿谷」
台湾中部の森林美を探訪



文/楊善文  写真/張晉瑞

台湾中部「南投県」の鹿谷郷と竹山鎮は広大な山稜と森林が、美しい渓流や豊かな生態系を形成している。峡谷美を誇る「天梯」、竹林が名物の「小半天」、幻想的な佇まいの「忘憂森林」のほか標高1600メートルに達する「杉林渓森林パーク」は動植物の宝庫と言われている。本号は皆さんを秘境の旅にご案内する。

 



お薦めルート:  (   )は滞在時間
一日目:天梯風景区(4時間)→渓頭自然教育パーク(3時間) 
二日目:忘憂森林(1.5時間)→ 杉林渓森林生態パーク(6時間)
三日目:孟宗竹林古戦場(1時間)→長源圳生態歩道(0.5時間)→徳興瀑布(1.5時間)

渓頭自然教育パーク


かつて東京帝国大学農学部の演習林だった場所で、現在は国立台湾大学の実験林となっている。範囲は2500ヘクタールに及び、標高は800-2000メートル。渓頭(シートウ)は1970年に森林遊楽区の指定を受け、往時は台湾三大風景区(国定公園)の一つと称された。1999年の中部大地震で甚大な被害を被ったが、奇跡の復興を遂げ、近年はかつての人出が回復しつつある。園内では網の目のような歩道を巡りながら、多様な景観を楽しむことができる。展示館や竹類標本園・大学池のほか植物や野鳥の観察スポットも豊富だ。



Add: 南投県鹿谷郷森林巷9号
Web: www.exfo.ntu.edu.tw

ルミディホテル渓頭

 

欧風の宮廷を思わせる外観を有し、インテリアと家具はすべてヨーロッパから調達。スパや文化センター・シアター・カラオケルームを具えた渓頭を代表する高級ホテルであり、親子ゲームルームなど家族連れに配慮したサービスも整える。標高が1000メートルを超え、周辺に渓頭実験林や竹林を擁し、無垢で清浄な空気に包まれている。

Add:南投県鹿谷郷内湖村米堤街1号 
Web:www.lemidi-hotel.com.tw


忘憂森林


南投の秘境とも呼ばれる忘憂森林。鬱蒼たる杉林に覆われていたが中部地震により、渓流がせき止められ、次第に沼沢化した。かつての杉林が水に浸かり、そのままの姿で枯れていくなかで、独特の景観が出現。周囲を山に囲まれたロケーションがより神秘的な趣きを演出する。「忘憂」(憂いを忘れられる)のスポットとして注目され、ウエディングフォトの名所にもなっている。

Add: 南投県鹿谷郷内湖村興産路12号付近 

森林の美景を堪能


 杉林渓(サンリンシー)は竹山(ツーサン)鎮と鹿谷(ルークー)郷にまたがり、加走寮渓の一角をなす。かつては阿里山林場の従業員宿舎があったエリアでもある。渓頭から阿里山に至るルートの途中に位置し、登山道の休憩ポイントで、宿泊するハイカーも少なくない。国有地であるが、民間業者が1973年に政府から借り受け、森林公園として開発して人気のスポットになった。地震のために四年間閉鎖されていたが、2003年に再開し、「杉林渓遊楽パーク」として多くの行楽客を集めるまでに回復した。


 園の敷地は34ヘクタールに達し、標高は1600-1800メートル。年平均気温は20度と、四季を通じ爽やかな気候である。松瀧岩・青龍瀑布・石井磯・杉林渓湖・薬花園のほか世界に誇る松瀧岩瀑布を擁する。滝の奥には幅68メートル、奥行き25メートル、高さ30メートルという洞穴があり、内部には鍾乳石やツバメの巣が展開する。崖沿いの遊歩道を進むと、マイナスイオンをたっぷりと浴びながら、滝の迫力と瑞々しい空気を体感できる。



 四季を通じてさまざまな草花を見ることができる薬花園。春はサクラとボタン、夏はアジサイとドウダンツヅジ、秋は紅葉、冬はハボタンと、折々の変化が美しい。宿泊施設も多彩で、ぜひ一泊して流れ星のようなホタルの群舞を観察したい。満天の星空とともに、都会では味わえない自然の魅力を堪能できるだろう。
 
DATA:
杉林渓森林生態リゾートパーク
Add: 南投県竹山鎮渓山路6号
Tel: +886-49-261-1217
Web:https://www.goto307.com.tw/
入場料: NT$300 (宿泊者は宿泊料に含まれる)

天空への架け橋


竹山鎮と鹿谷郷には、そのほかにも多彩な名勝が点在する。太極峡谷の名は、「S」の字に流れる渓流が道教のシンボルと言われる太極図に似ていることに由来する。勇壮な景観美は「西部の太魯閣」とも称えられる。峡谷の両岸は20メートルの落差がある。この困難な工事のために、南投県は2004年、日本から技術者を招き、当時としては台湾初、世界でも二番目となる「階段式の吊り橋」を構築した。長さ136メートルの吊り橋に208段の階段があり、深さ100メートルの峡谷を渡ることから「天梯=天へ昇る架け橋」と名付けられた。園内の遊歩道は総延長四キロ。沿路はバラエティに富んだ自然景観を楽しむことができる。切り立った岩壁や竹林、巨石の織り成す風景はまさに神業である。



 竹山鎮に隣接する鹿谷郷。こちらは「小半天」風景区がお薦めのスポットだ。孟宗竹の竹林に覆われたこの一帯では、かつて激しい戦闘が展開されたという。清代の乾隆年間にあたる1786年、清朝の圧政に住民が蜂起した「林爽文事件」。その最後の戦場となったのが当地であるという。

 


 2004年に遊歩道が完成すると、この土地の人々は大型の将棋盤を設置した。石造りの将棋盤は、対局が決着していない。これは林爽文の掲げた「義」が、いまだ成し遂げられていないことを示しており、「義」に生き「義」に殉じた林爽文を記念するものである。
 古戦場の遊歩道は長源圳生態歩道へと連なる。孟宗竹の広大な竹林には澄んだ渓流が流れ、行楽客は石板作りの階段を進みながら、ゆったりと竹林の風を楽しむことができる。運が良ければ、台湾固有種のキジの一種、サンケイの艶やかな姿を目にすることがあるという。

DATA:
天梯風景区
Add:南投県竹山鎮大鞍里
Tel:+886-49-2232380
Open:7:30-17:00 (入場は16時まで)
Ticket:NT$50

 

 

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。