特別企劃ーー冷えた体を温める 冬の定番  鍋 | 台湾観光のブログ

台湾観光のブログ

「台湾観光」は台湾の観光地・文化を始め、
イベントや業界情報まで富んだインフォメーションをお届けしております。



文/編集部 写真/宋育玫、陳瑞和

 涼風が吹き始めると台湾の街道には火鍋の看板が目立つ。台湾でも冬はやっぱり「鍋」。台湾の火鍋は養生鍋・激辛「麻辣鍋」・エスニック鍋など多士済々。お一人様の「個人小火鍋」もあるので安心。火鍋で台湾の冬も温かく過ごしたい。



孫羊正店
隠れ家的鍋屋

 「孫羊正店」は宋朝清明上河図に由来する。酒造許可も得ていた大規模な料理屋で、夜を徹して賑わいが絶えなかったという。現代版の孫羊正店は北投の路地裏にひっそりと潜み、古典的で優雅な佇まいをみせる。精選した食材を一人一つの個人鍋でいただくのが特徴だ。


 加熱後赤外線を放つ黒陶鍋はスープの甘味を加増するという。中国養生飲食文化に沿った食事の順序はまず胃を覚醒させるところから出発し、しだいに佳境へと導くのが王道。前菜になるのは季節の野菜で、本番のスープは二種ある。一つは羊肉と漢方を組み合わせた「羊肉高湯」。羊の大骨、30種の漢方、白甘蔗、そして6種の野菜・米酒・ショウガを6時間煮込んで仕上げる。もう一つは金華高湯。トンソク・金華火腿・昆布・鶏のあばら骨・リンゴ・玉ねぎを24時間以上煮こみ、海鮮・霜降牛肉・松阪豚をとりあわせる豪華版だ。


 孫羊正店は台湾原生のヤギを採用。毎日彰化県渓湖からさばかれたばかりの新鮮な肉塊が送られてきて調理するので生臭さがない。海鮮は基隆和平島漁港から仕入れるロブスター・イカ・エビ・ホタテ・帝王蜆・ハタなど。季節に応じて食材は調整されるのでぜひ予約をお薦めする。


 野菜は花蓮の農場と提携し、有機認証を受けた小白菜・青江菜・フルーツコーン・トマト・シイタケ・黒キクラゲなどの有機野菜を使用している。主食は台東の池上米、あるいは金門ソーメンに羊油と宜蘭ネギを散らしたもの。シンプルこそ美味の秘訣。最初にいただく青草茶から緑豆糕の茶菓子までマスターの心づくしが感じられる。孫羊正店では暮らしに根付いた食の在り方を改めて学ぶことができる。視覚と味覚の饗宴とともに人情味にも満腹。


孫羊正店
Add:台北市北投区大業路65巷1弄1号
Tel:(02)2897-0762
Open: 11:30-14:30 17:30-22:00 
Web:http://www.eatfun.com.tw/
※日本語メニューあり

   

齊民市集 
無添加・自然育成食材の有機鍋

 有機野菜の宅配業を営む「永豊余生技」が2007年に台北市東区に開設した火鍋レストラン。有機食材の火鍋として名声を博したが、2012年に大鍋スタイルから価格を抑えた小鍋に転換し、台湾伝統の市場をイメージした「齊民市集」をスタートさせた。直接客と対話し、物が行き交う市場の雰囲気を参考に、オーナーはコックをレストラン中央に配置して客の面前で調理させる。客と対面しながらカウンター上の食材をサービスするという台湾では斬新なスタイルを生み出した。農場直送の有機野菜をお持ちかえりすることもできる。さらに夜八時半になるとロブスターやビールが当たるサイコロゲームが始まる。



 齊民有機火鍋はスープ・肉の種類・野菜から小皿料理まで個人の好みでセレクトできる。食材はいずれも自家農場が栽培した有機野菜で、メニューも旬の食材を中心に季節ごとに入れ替わる。スープは6種から選ぶ。比較的濃厚な蕃茄牛小排湯は骨つき牛肉とトマトの風味がコラボ。あっさり味がお好みの場合は健康野菜精力鶏湯がお薦め。野菜そのままの風味が楽しめる。肉もすべて天然育成で、飼育過程で抗生物質やホルモン剤を使用していない。特に豚は、益生菌と海草で育てたものでほんのり甘く、備長炭を飼料に加えているため臭みがない。鍋には欠かせない練り物もその場で新鮮な魚や烏賊を材料に手作りしている。自分でつくるエビ団子や有機野菜バスケットも人気商品だ。



齊民民生市集
Add:台北市松山区民生東路四段67号
Tel:(02)2546-4136
Open:平日11:30-14:30・17:00-22:00
     休日11:30-22:00
Web: www.facebook.com/qiminmarket




蜀辣
巴蜀冷鍋魚・正宗四川風味温潤入口

 蜀辣は四川料理と四川風味の激辛「麻辣鍋」が売り物、店内はまさに熱気に包まれている。店主自身が四川の出身で、12歳の時に成都から台湾に移住した。台湾でレストランを開いたあと、コックを成都に逆派遣して本場の四川料理を台湾に持ち込んだ。


 蜀辣の目玉商品は何と言っても成都発の「巴蜀冷鍋魚」。中国宋代の文人「蘇東坡」が発明したという名物料理で、魚肉を処理したあとたっぷりのスープの中に沈めておくと味が染みわたるという。鍋は冷たいままなので、この名があるが、蜀辣ではもちろんこの冷鍋魚火鍋を現代的にリニューアルしている。二種のスープを同時に楽しむ鴛鴦鍋、激辛の麻辣などお好み次第。


 巴蜀冷鍋魚はスープが決め手。まず四川到来の豆板醤に花椒・辣椒・八角など20種の漢方と辛香料およびラー油を加え2時間弱火で炒める。一日おいて香料を足しミキサーで粉砕する。これを「老料」と称する。鶏骨と豚骨からとった出汁にこの老料を加えると「紅湯」が出来上がる。好みに応じて小辣・中辣・大辣の三種からセレクトできる。「白湯」は蝦米・酸菜・ニンニクから作ったスープでやはり濃厚な風味がある。


 もう一つの特徴は魚肉にある。蜀辣では上質の台湾鯛魚(養殖)を採用し、味付けをしたあと蛋白を塗っておくとばらけないという。一般の麻辣火鍋と違って、冷鍋魚の紅湯は一定比例の漢方が入っているため、決して激辛が売りではない。食しているうちにゆっくりと旨味と辛味が全身に広がっていく深みが特徴だ。ちょっと台湾では比類がない。注文すると、紅湯と白湯を問わず鍋の中は魚肉で満たされている。煮過ぎないようにまずこれらを平らげてしまうのが美味しく食べる秘訣とか。


蜀辣
Add:台北市大安区市民大道四段114号
Tel:(02)2771-9962
Open:17:30-2:00
Web:www.sula.com.tw