おかげさまで「はじめての仏教講座〜空海散歩でお大師さまを知る〜」が好評だったので4回目を開催することができました。

まったくの偶然に出会うことができた二人の方がはじめての仏教講座に来てくださり、うれしかったです。

令和5年は弘法大師誕生1250年記念です。高野山でお世話になった法話の先生をはじめとして企画グループ「白象の会」が、令和5年までにお大師さまの名言2,180句すべてに法話を付けることを発願しました。

膨大な手間が必要になることは容易に想像がつきましたが、お大師さまを敬愛する先生の決意は揺るがず企画は決行されました。令和5年3月に第10巻が完結し、お大師さまが生まれた香川県の善通寺に奉納されました。

私も御縁があり法話の寄稿者に名を連ねることになりました。せっかくに御縁をいただき、弘法大師誕生1250年記念なので法話会を企画してみました。

12月11日(月)に開催した第4回「はじめての仏教講座〜空海散歩でお大師さまを知る〜」は空海名言法話集 空海散歩第7巻をテキストにしました。

私が寄稿した名言の法話について周辺情報などを含めて紹介しました。

例えば、空海上人が高野山の地を朝廷から譲り受けたいと申し出た手紙の一説が名言となっています。「残念なことだが、静かな場所で瞑想をしようと考える人は少ないものだ」という内容があります。これだけでは空海上人の意図が分からないので、原文を参照しました。

漢文そのままでは私は理解できないので現代語訳が書かれた参考書を頼りに読み進めます。

前半では、「豊かな自然に豊かな生き物が生息するように、観音さまのいるといわれる山では仏教の教えが絶え間なく伝えられている」と書き出し、高野山の魅力を綴ります。

そして、「仏教を実践する場所として高野山は最適なのだ」と続けます。けれど残念なことだが静かな場所で瞑想をしようとする者は少ないのだと残念な現状を嘆くのです。

空海上人が嘆きの言葉を発した背景には、仏教が学問として議論することに熱心になるあまり、実践が疎かになっていることがあります。師匠から弟子へと受け継ぐ密教の実践者だった空海上人にとって、学問に終始している現状を憂いたのです。

こういう手紙から当時の仏教がどのように扱われていたのかを垣間見ることができます。


名言だけではお大師さまの言いたかった意図を汲み取ることは難しいものです。私が寄稿するときはなるべく前後の文章に書かれていることを紹介します。

今回は「はじめての仏教講座」と銘打っているので、仏教の始まりから日本への伝来、空海上人が日本に伝えた密教を説明しました。

「空海上人は実践家なので、自分と合っている気がする」という感想をいただきました。有り難し!です。

たまたま、話しの流れで戦没者慰霊の話になりました。参加者のひとりが、「昨夜に戦争体験に関するYouTubeのインタビュー番組を見ていた。きっとつながっているに違いない」と語ってくれました。戦後80年が過ぎて戦争が起こっていない奇跡の時代に生きています。

話題が拡がって楽しい時間でした。

次回は令和6年1月に企画しようと思います。

合掌

仏教の知恵で心豊かに過ごせますよう祈念しております。

空海上人に関する質問や不動護摩祈祷の申し込みなど法話と天井絵の寺 観音寺 ホームページにて受け付けています。

公式LINEも始めました。NHK番組にて紹介されたアプリを使って毎日寺みくじなど楽しいコンテンツが利用できます。