建物は耐用年数があり定期的な建て替えが必要です。

一般住宅は木造住宅では法律で22年と定められています。

木造住宅に22年以上住めないという意味ではありませんが、建て替えの目安にはなります。

お寺の本堂も一定期間を経たら建て替えの必要があります。

本堂の建て替えサイクルは100年から150年ぐらいでしょうか。地盤が固い、風雪被害が少ないなど、条件が整っていれば300年以上メンテナンスだけで建て替えの必要がない場合もあります。

 

觀音寺は平成19年(2007)に先代住職によって建て替えられました。

檀家数の少ない寺院ですが、協力して寄付を集めて建て替え費用を捻出してくださいました。

寄付者の芳名は金額とともに石碑に刻んでいます。「恩は石に刻め」ですね。

 

本堂建替に伴い、本堂内の仏具も修理や新調をしました。

新調したものの中に東寺曼荼羅のレプリカがあります。

空海は遣唐船に乗り、留学生として中国へ渡りました。中国で隆盛を極めていた最新の仏教である「密教」を学ぶためでした。

中国で師匠となる恵果和尚から第8番目の正統な密教後継者として指名を受け、密教のすべてを受け継いで日本へ帰りました。

空海が日本へ持ち帰ったものには、膨大な教典や仏具とともに密教の曼荼羅が描かれた掛け軸もありました。

 

曼荼羅が描かれた掛け軸は東寺(京都市)に保管され、国宝に指定されています。

たまたま平成19年に国宝である東寺曼荼羅が修復され、レプリカ(コピーされたもの)を300部だけ限定販売されました。

先代住職は、これを買い取り建て替えた本堂に奉納しました。

東寺曼荼羅(レプリカ)の裏を見ると、シリアルナンバーが振ってありました。
限定品の証明書です。

 

こういう限定品と出会えることは有り難いです。
全く縁のない人もいるわけですから。

空海は「必要な時期に、必要とすべき人を待っているものだ」と説きました。

觀音寺にとって東寺曼荼羅のレプリカは本堂の建て替えという必要な時期に、本堂に奉納するために必要な先代住職を待っていたのでしょう。

 

13年経った今でも本堂で大切に保管されています。

 

合掌

 

仏教の知恵で心豊かに過ごせますように祈念しております。

 

 

 

Kindle本を出しています。

Q.教えを広めるために必要なことは何ですか?

A.空海は「道を弘めようと思うならば、必ずその人に飲食を与えなくてはいけない」と答えた。

 まずは生活の安定が必要と説いたのです。