法務局の屋根裏には、ねずみの兄弟が住んでいます。
「兄ちゃん」
「なんだよ」
「所有権って何」
「何を今さらそんな事を言ってんだよ」
「いや、なんとなくはわかってるんだけど、突っ込んで聞かれるとよくわからないところがあるなと思って」
「たとえば?」
「所有権って、その不動産を売ったり、使ったりできる権利だよね」
「そうだな」
「たとえば」
「うん」
「お父さんの所有してた土地を、長男が相続登記をしたら、その土地はもう長男の所有になってるから、長男は誰の同意も必要なく自由に売買できるんだよね」
「そうだな」
「いや、兄弟にも相続権があるから、兄弟の同意とか必要かなと思って」
「相続登記をする前でお父さんの名義のままだったら、たしかに他の兄弟にも相続権があるから、相続人全員の同意が必要だけれど、相続登記をしてしまったら、もうそれは長男の土地だから、他の兄弟は誰も口出しできないな」
「もともとお父さんの土地でもね」
「今は長男の土地だからね、誰の同意も必要ない」
「わかった、じゃもう一つ」
「なんだよ」
「隣の家の人が亡くなられて、その長男が土地と家を売ろうとしてるんだって」
「ああ、誰も住んでなかったらそうなるね」
「それって、隣の人に許可なく売ってもいいの」
「当たり前じゃないか」
「まあ、そうだと思うんだけど、変な人が引っ越してきたら困るじゃない」
「それもそうだけど、逆に、隣の人の許可が必要だったら、土地なんて永久に売れない可能性もあるぞ」
「それもそうだね」
「だから、申し訳ないけれども、隣の人が土地や家を売却することについて、残念ながら一切口出しはできない」
「隣の人は選べない、ということだね」
「そういうこと。変な人が引っ越してこないことを祈るしかない」
「人間って大変だね」
「なんでおまえがそんな事心配してんだよ」
「なんとなくね、法務局の窓口から聞こえてくる声を聞いてると」
「心配しているような悪いことは起きない、って言うよ」
「それもそうだね」
「ちなみに、乙号事務オンラインは4月から月2000円に値上げするらしいぞ」
「なんの話」
「3月末までに入会すれば、ずっと月500円のままだって」
「だから、何の話なの」
「宣伝だよ」
「宣伝かあ」

