「所有者不明土地の次は、共有者多数土地が問題になるね」 | 登記を、もっと、わかりやすく。

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ふだんなじみのない登記簿について、できるだけ、わかりやすく説明させていただきます。わかりにくいところは、遠慮なく質問してください。よろしくお願いします。

法務局の屋根裏には、

 

ねずみの兄弟が住んでいます。

 

 

 

「兄ちゃん」

 

「なんだよ」

 

「所有者不明土地問題、って知っ

 

てる?」

 

「知ってるもなにも、今さら何を

 

言ってるんだよ」

 

「相続登記が義務化になるって

 

 知ってる?」

 

「だから、何を今さら言ってるん

 

だよ。もうさんざんその話はした

 

じゃないか」

 

「相続登記義務化で、所有者不明

 

土地って解決するかな?」

 

「だから、解決するかどうかはわか

 

らないけど、何もしないわけには

 

いかないから、相続登記を義務化

 

するんだろ」

 

「僕、考えたんだ」

 

「何をだよ」

 

「所有者不明土地の次は、共有者
 
多数土地が問題になるね」
 
「何を言ってるんだよ」
 
「相続登記を義務化したら、相続登
 
記をしないと罰金になるんでしょ」
 
「過料、かな」
 
「その過料をみんな払いたくないか
 
らみんな急いで登記する」
 
「いいことじゃないか」
 
「でも、遺産分割協議がまとまらな
 
かったら?」
 
「誰かが反対したり、はんこを押さ
 
なかったら、ってことか」
 
「そう」
 
「登記をしないと過料、ってことに
 
なるととりあえず法定相続するか」
 
「でしょ」
 
「あ、そういうことか。
 
みんなのはんこを集めるのは面倒。
 
意見をまとめるのは大変。
 
でも、過料を払うのはイヤだから
 
とりあえず法定相続で、と」
 
「そう。でも、その後、誰もその土
 
地を引き取らなかったら、ずっと
 
共有のまま」
 
「さらに、共有者が高齢化し相続
 
が発生すると共有者は増えていく」
 
「誰かがほしいと思っても、もう手
 
をつけられなくなってしまう」
 
「塩漬けの土地が増えていく、って
 
ことか」
 
「所有者はわかっているけど、手が
 
つけられない土地、それが共有者
 
多数土地」
 
「なるほどね。
 
確かに、遺産分割がまとまらないと
 
法定相続でするしかない。法定相
 
続して、共有者が増えたら、不動産
 
は余計に動かなくなる」
 
「共有者多数土地問題、来ると思
 
うよ」
 
「相続登記義務化で喜ぶのは司
 
法書士だけかな」
 
「法務局も相続登記が大量に出さ
 
れたら処理が大変だからね」
 
「さらに、共有者が増えていくと
 
持分の分母の桁も増えていって、
 
相続登記はどんどん難解になって
 
無限の相続登記地獄に陥ってい
 
く」
 
「恐ろしいね」
 
「なんか希望の見えるシナリオは
 
ないの」
 
「国が、不要の土地を引き取って
 
必要としてる人に安く分けること
 
かな。でも、その人たちが土地を
 
きちんと管理するかどうかがわか
 
らない」
 
「この問題は終わらないね」
 
「うん。
 
でも、俺たちねずみには関係ない
 
けどな」
 
「脱炭素問題は」
 
「それも俺たちにはどうしようも
 
ない」