法務局の屋根裏には、
ねずみの兄弟が住んでいます。
「ねえ、兄ちゃん」
「なんだよ」
「共同人名票って、
どの順番に綴るんだったっけ?」
「共同人名票?」
「うん」
「懐かしいな~、
今はもうないだろ」
「そうだね~。
コンピュータ化の時に
なくなっちゃったから」
「なんでそんなこと聞いてくるんだ」
「いや、共同人名票って、
甲区の一番後ろに
綴るんだったっけ、って」
「誰が言ってるんだ」
「いや...」
「そもそも、共同人名票は
甲区とは限らないだろ」
「え?
乙区で共同人名票なんて
あるの?」
「俺も見たことないけど、
根拠条文見てみろよ」
「根拠条文って...。
旧不動産登記法だよね」
「不動産登記法にはないかな~」
「意地悪だな~、
じゃ、どこに出てくるのよ」
「細則かな」
「不動産登記法施行細則、ね。
何条かな~」
「第52条」
「表題部二記載スベキ所有者又ハ
登記権利者ガ多数ナルトキハ
其一人ノ氏名、住所及ビ他ノ人員ヲ
登記用紙中表題部又ハ相当区
事項欄二記載シ...」
「ほらな」
「..共同人名票ヲ
追加編綴スルコトヲ得。
なるほど、追加編綴だから
一番最後?
でも、甲区や乙区、
それぞれの一番最後に、って
いう考え方もあるよね」
「細則の第4条も読んでみろ」
「登記用紙ハ表題部、甲区、
乙区、共同人名票ノ順序二従ヒ
登記簿二之ヲ編綴スベシ」
「な」
「なんだよ、知ってるんだったら
最初からここを教えてくれれば
よかったのに」
「まず、乙区に共同人名票なんか
あるのか、って言うからだろ」
「ちぇっ。
参りました」