薄桜鬼6 | ぶーさーのつやつやブログ

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艶が2次小説と薄桜鬼ドラマCD風小説かいてます。


都内某所、撮影スタジオ。


カメラマンが切るシャッターのタイミングに合わせてストロボが激しく閃光を放つ。

今日は3カ月後にリリースするシングルのジャケット撮影だ。
正午から始まった撮影は順調に進み、斉藤のソロカットを終えて今は沖田のソロカットの撮影中だった。

斉藤はいつも空き時間をそうしているように、スタジオ内のテーブルで読書をして時間を潰す。

原田、藤堂、永倉は控室で衣装に着替え、メイクをしてソロカット撮影の準備をしていた。





「んもぅ、左之ちゃんたら髪のびるの早いわよぉ」

ヘアメイクの伊東がメイク台の鏡越しに原田にナイロンケープを着用させながら話かける。

「えー、そうかぁ?」

首を左右に捻って自分の後ろ髪の長さをチェックするように見ていると、

「左之さんエロいからなぁ、そりゃ髪もぐんぐん伸びるはずだぜ」
「なんだ、平助?自分の背が伸びないからって俺の髪が伸びるのをひがむんじゃねえよ」
「あぁぁあああっ!!左之さんそれ言わない約束だろぉ?なんだよぉ、ひっでぇなー」
「うっふ、相変わらず仲がいいわね」
「もしかして、左之と平助デキてんじゃねえのかぁ?」

ソファで競馬新聞を読みながら着替えもメイクも済ませ、順番待ちしていた永倉が口を挟んだ。

「あらやっだ!?そうなの?ちょっとぉ、そうなの左之ちゃん?」
「あっほかぁ!ふざけんな新八!よりによって平助なんてごめんだね」
「それはこっちのセリフだっつーーーーーーのっ!」
「なによ、新八ちゃんの想像?」

伊東は不機嫌そうに頬を膨らませて、アトマイザーの水で原田の髪に水を吹き付ける。

「なぁにガッカリしてんだよ・・・もしそうだとしても、伊東さんとはナイから」
「えっ?左之ちゃん何か言った?」
「あぁああ、いやいや、何にも言ってねえよ」
「あら、そぉ?」

永倉と藤堂は顔を見合わせくっくと笑った。



「総司さん終わりましたんで、次は新八さんお願いします」

山崎が控室に永倉を呼びにやって来た。

「おぅ、今行くぜ」

スタイリストの山南も山崎に続いて控室に戻って来た。

「永倉くん、靴はまたスタジオ内で履き替えて下さい」

立っている場所で永倉が脱いだブーツをアシスタントの島田がさっと手に取り、代わりにスリッパをそこに置く。

「伊東さん、永倉さんと藤堂さんのソロ終わったら原田さんソロ行きますので」
「わかってるわ、1時間あれば終わるわよぉ」
「お願いしますね」

山崎はペコっと頭を下げて、永倉と山南と共に控室を出て行った。
入れ違いで総司がスタジオから戻った。

総司は大きく伸びをしながらソファにどかっと寝転がる。

「あああ、もう疲れちゃったよー。これから2時間ぐらい空いて集合だよねえ?僕ちょっと寝ててもいいかなぁ」
「いいわよ、総ちゃんは集合カットで少し前髪のセット変えるし、寝起きで崩れても私が直してあ・げ・るっ」

バチン!と音が聞こえそうなぐらい伊東の大袈裟なウインクを受けて、総司はぶるっと身震いする。

「あれれ、やだなぁ。僕風邪ひいちゃったかも・・・おやすみなさーい」

着ていた上着を布団代わりにかけて横になると、沖田はすぐに小さな寝息をたて始めた。




―――2時間後、集合写真の撮影が始まった。

白ホリゾントの前でポーズを決めて立ち位置に佇むメンバーにレンズを向けたカメラマン、雪村鋼道は連続でシャッターを切り続ける。

「雪村先生、今日はなんだかすごくノッてますね」

真剣な眼差しでメンバーの方を見つめ、衣装の乱れをチェックしている山南に、島田がこっそりと声をかけた。

「そうですね・・・先生が連写するとは・・・珍しいですね」

山南もやはりそう感じていたのだ。
すると横で腕組みをして立っていた土方も頷いた。

「今度のシングルはでっけえタイアップもついてるし、今までの枚数を遥かに超えるセールスを見込んでるんだ。こいつらは見た目だけじゃねえって、楽曲のパワーがちゃんとあって売れてるんだって日本中に知って貰わねえとな」
「土方くん・・・そうですね、私もそう思いますよ」

二人が顔を見合わせて笑うと、休憩入りまーすと山崎の声がスタジオ内に響き、暗くなっていたスタジオ天井の蛍光灯が一斉に点灯した。

今撮影したばかりの写真が、雪村の機材モニターに映し出される。
アシスタントがカラーを微調整する。

「うん、いいじゃねえか」

画面を見ながら土方が満足そうに言った。

「総ちゃん、ちょっと汗が浮いてるから少し直すわ」

伊東が手招きで沖田を呼んで椅子に座らせ、ウエストバッグの中からパウダーとパフを取り出して、ティッシュオフした沖田の顔に丁寧にパフを押し当てる。

「この様子じゃあと1時間ぐらいで終わりそうだな」

土方が腕時計を一瞥してから山崎に尋ねると

「そうですね、これならオープニングから間に会いそうですね」

小脇に抱えた大きなスケジュール手帳を開いて何かを確認すると、そう土方に返した。

そのやりとりを察知して、藤堂が言った。

「あれぇ?今日って撮影だけじゃねえの?」

永倉もそれに続いた。

「俺、夕方からジム入れちゃってんだけどよぉ」
「まったく、お前はそれ以上鍛えてどーすんだっつーの!」
「るせぇ!左之!」
「何を目指しておるのだ、新八」
「斉藤までなんだよ、いいじゃねえかよ、ほっといてくれよ」

賑やかになり始めたところへ、山南の冷やかな一言。
「どんどんムキムキになられても、毎回サイズが変わっては私が困るのですよ?永倉くん・・・」
「ぅぐっ・・・山南さん・・・」
「ん、まぁ、いい。予定があるものは無理に来なくても、な」

窘めるように土方が言うと

「ところで、オープニングがどうのって言ってたけど何があるんですかぁ?」

メイク直しを終えた沖田が座ったまま横に立つ土方を見上げた。

「ん?あ、ああ・・・今日はだな、その・・・なんだ・・・なぁ、山崎」
「えっ!?あっ、は、はい・・・」
「なんだよ、二人して歯切れ悪ぃな」
「何か仕事なんだろ?さくっと言ってくれよ、何なんだ?」

藤堂・原田の二人に責め出された土方と山崎が押し黙ると、タイミングよくスタジオの入り口から近藤が現れた。

「よぉおお、みんなお疲れさん!」

大きな手を広げて満面の笑みで輪の中へ歩み寄る。

「近藤さん!」

ぱあっと表情を明るくさせた沖田が椅子から立ち上がると

「で、歳。この撮影後はみんなdevilの武道館公演に一緒に行くんだろ?」

近藤がにこにこしながら土方に聞いた。


「あー・・・っと、その・・・」

返答に困って視線を宙で泳がせる。

「ん?どうした、歳。みんな行かんのか?」

近藤は土方に向けていた視線を、メンバー全員に向けた。

「この間のうちのアリーナの時にdevilのメンバーも来てくれただろう?・・・その時に約束してしまったんだ、向こうの社長と」

まったく悪びれずに近藤は目を細めて笑っていた。

「聞くところによると、ボーカルの風間くんの妹さんがこの間の当選者だったと言うじゃないか、奇遇な事もあるもんだなぁー、なぁ?歳」
「えっ?あ、まぁ・・・な」
「別に強制的ではないが・・・ライバルバンドのLIVEを観ておくのもマイナスになる事ではなかろう・・・正直、彼らの演奏テクニックは相当なもんだしな。現状ではひいき目に見てもお前たちが彼らに勝っているとは、言えないしな」

近藤の冷静な発言に、その場の誰もが喉元で言葉を飲み込んだ。

それは自分達だって分かっている事なのだ。
風間、不知火、天霧の3人の演奏は本物だった。
海外アーティストと並んでフェスに出てもまったくひけを取らない。
それどころか、圧倒的なその技術とパフォーマンスを見込まれてアジアやヨーロッパだけでなく、アメリカからもフェスの出演依頼が次々に舞い込んでいるのだという。




すると、メンバーの一人がすっと黙って手を上げた。





【攻略キャラ別ルート】
・総司ルート
・特別ルート 新八編