どうも、からだのエンジニア 藤井崇次です。
ええと、今日はメルマガ発行日ですね。
メルマガは今のところ週一回の発行で、準備ができたら毎日ネタを配信しようと思っています。

さて、今日はあっさりと治療関連の話に行きましょう。

美容鍼灸をやっていると、顎関節症のお話をよく聞きます。
端的に言ってしまえば、顎関節症だったと知らない人と鍼灸で顎関節症のが治るということを知らない人とが『美容』のキーワードを通じて来院されるようになったということです。

さて、まずは鍼灸でどうにもならない顎関節症のパターンのおはなし。

骨の変形を伴うもの

ええ、これは無理です。骨がかけていたり、長すぎたり短すぎたりという骨の問題の場合、骨を削るなどの整形外科領域の話になりますので鍼灸師ではできません。

ただ、このパターンは全体の3割もないのです。

では、治療可能な顎関節症は?というと『筋腱の問題』です。
筋腱の問題は、筋自体の過緊張・過弛緩により筋が収縮・伸張し関節の隙間が不揃いになったことで起こるものです。
これには筋運動の問題と神経の問題が絡みますが、どちらも刺激を通じて自ずと調整されるのが対応可ということになります。

さて、この場合、パターン的には不正咬合の結果、頭蓋骨に歪みが、あるいは頚椎に歪みが・・・とかいう話になるわけです。

で、治療が一つは歯列矯正、マウスピース(医療用矯正テンプレート)を利用した噛み合わせの調整と噛むことによる頚椎のテンション変化を期待し頚椎の調整を図る。

問題はですね、緊張に対して緊張を強いるという治療法なわけで、治療期間はかなりの長期、高頻度になるもののあまり効果を感じられないひとが多いということです。

第X歯に対して何度、何mm調整したらいいかという方法論が未だに確立しているわけではないということ。これも一つの問題です。
もし、『骨の見かけ上の歪み』がカラダの病気を作るというのが真だとした場合、調整のズレは新たな歪みを作るのであって、新たな疾患の発生の可能性が高くなる。

ま、実際のところ、身体など生活に合わせてある程度見かけ上、歪むものです。その歪みがその身体にとって許容範囲であれば、特に際立った影響はありません。
例えば、鍛冶職人さんなんかで、片腕だけえらい発達している人がたまにいますが、あれはあれで正常なんです。

ただ、現象として整った身体は『力み』が取れ、『たるみ』が締まり、ほどほどに『緩んだ』状態になり、自然と収まりの良い位置に骨が収まるものです。
なので一つの目安にはなるでしょう。

さて、では東洋医学鍼灸的にどのように考えて治療するかですが・・・
まずは、カラダの問題があるでしょう。

つまり、顎関節に影響を及ぼすカラダの問題が根底にあって、その結果、顎関節症が発生していると考えます。

であれば、顎関節症が改善 ならば カラダの問題も改善が期待でき、カラダの問題の改善 ならば 顎関節症の改善が期待できます。

この二つの局面に対して一回の施術の中で同時にアプローチしていくのが泰心堂はりきゅう院方式。

配穴などは流派や治療家ごとの癖がありますので割愛して、考え方のみのお話をしましょう。

まず、『筋腱』の問題ですので、蔵府経絡を肯定した考え方に基づくと、肝之蔵之気の問題-足之厥陰肝経の問題がありそうです。同時に表裏関係ですから、足之少陽胆経の問題もあるでしょう。定番の難経69難からは母子関係で、腎経、膀胱経の問題も考えられます。それから表裏共軛関係(補完する関係)では三焦経、心包経あるいは大腸経、肺経之問題も疑うことができます。

一体いずれから波及したカラダの状態なのかを診、一経絡の問題か複数の経絡の問題かを判断し、必要に応じたツボに必要な手技を加え、カラダの調整を行う。

同時に、顎関節症を引き起こしている直接的な因果関係を持つ部位、ツボはどれかを診る。特に関節に注目すると、顎関節や頭蓋骨の平面関節、それから後頭頚椎関節、頚椎の平面関節などのどこから異常が発生しているのかを探り、比較的直接的なアプローチをする。

意外な部位が影響を与えていることもあるので可能性を探る作業が大切。

うちの治療院の例だが、

30代女性、中背痩せタイプ、開口時クリック音、顎のラインが右上がり、口角も右が上がる。
脈は肝虚、L曲泉、圧痛反応、陰谷、陰陵泉ともになし。

当院の処方に従って手足と頭に鍼+美顔鍼。

ええ、そうなんです。この方、顎関節症の治療に来たのではなく、美容鍼灸体験会のお客様。

気になるところはは口-顎あたりのニキビ。(尋常性褥瘡)

顎関節の話は私が気づいたので「もしかして顎関節症とか言われてませんか?」と聞いたら「なんで分かるんですか?」となりお話いただいたもの。

この方の場合は、多分、リフトアップ目的で頬に刺した鍼がクリティカルヒット!だったようで、バシッと打ち込んだ瞬間に、こめかみがぴくぴくっと動いた。

15分ほどおいて、施術終了となった。
治療後のお話をしている最中に、「ところで、今、クリック音気になりますか?」と一言。
「え、あ、はい。・・・あれ?」
「あれ?」
「ありません!」
だそうです。

もっとも今回は美容鍼灸が目的だったので特に顎関節症の処方(秘鍼?)は用いず、たまたまこの人の顎関節症治療点が美容鍼灸の施術箇所と重なったというだけなんですけどね。

ちなみに、美容鍼体験会の方も高評価で、翌日のお昼にお電話いただきました。
「先生が言ったとおり、手触りが全然違います!次はいつ行ってもいいですか」ですって。

この方はその後1ヶ月で3回ほどの施術をしたら翌月にはにきびが完全に消えていました。なかなかの回復力ですね。その間のクリック音が気になった日は一日もなかったそうです。

と、今日はこのへんで。