古い洋館をリノベートした創作和食。
味はもちろんのこと、そのコンセプトから以前より行きたかった店である。
美食への追求は、すなわち常に革新を求めるところにある、
と言ってもある過言では無い。
常に新しい食を求める人類の永々たる営みによって、
味だけにとどまらない美食の完成度を高めて来たと言っても良い。
他に類を見ないコンセプトのこの店に美食の可能性を感じたのである。

歴史を感じさせる洋館であるが、残念なことに傍らに廃材が
積まれており、それが景観を損ねてしまっている。
建物前方には広いオープンテラスが設けてあり、重厚な建物とは対照的に
開放的な印象を受ける。

壁一面のグリーンのロゴもインパクトがある。料理への期待が膨らむ。

一品目。期待を裏切らないインパクトのある演出であった。
中央からスモークが吹き出ており、料理全体が霧に包まれている。
そして霧のベールを脱いで現れたのはチーズ豆腐と呼ばれる
極めて控えめな前菜であった。霧の中で鰹節が舞っており、
霧の中から姿を表すその様は飾り付けの花と太陽の光に輝く
氷とも相まって神々しさすら感じる。
味はと言うと、チーズのコクを感じさせながらも、
大豆の風味もしっかりと残っており、また醤油と鰹節とも良く合う。
しかし、写真を見てもお分かりのように豪華な演出によって供されるのは
ごく少量のチーズ豆腐である。料理に対して演出の度が過ぎている
のではないだろうか?料理の内容に相応しくないあまりにも華美な
演出ではいけない。味・見た目が完全に調和してこそ美食と呼べる。
味こそ美味しいものの、このような素朴な料理に相応しい
演出だったのかは甚だ疑問である。

サーモンのカルパッチョのような料理。
サワークリームが盛りつけられており、マヨネーズベースのソースの中に
爽やかな酸味が走り抜け、山芋のシャキシャキとした食感とも良く合う。

茶碗蒸しの後のメイン。確かクリームコロッケのような料理だったと
記憶しているが、これまでの料理とは一転して、我々の認知する
クリームコロッケとは似ても似つかないお粗末な味であった。
衣はサクッとした歯ごたえがあったが、中身が何故か粉っぽい。
お好み焼きに衣を付けて揚げた感じだろうか。
何故このような仕上がりになってしまったのか理解に苦しむが、
肝心のメインがこの有様とはまさに画竜点睛を欠くとはこのことである。

続いて巻物。見てお分かりになると思うが、色彩豊かな演出が成され、
巻物にも関わらず、いくらやとびこ、サーモンも盛られており、
意外と贅沢な一品である。マヨネーズベースのソースが添えられており、
サラダ巻きのような味かと思いきや、意外とあっさりしており、
そこに爽やかな潮風が吹き込んだかのような、海鮮による程良い
塩味が全体としてバランスの良い味に仕上げている。
もちろん海鮮も新鮮であり、米の握り具合も丁度良い。
〆にふさわしい華やかな演出ではあるが寿司の基本を押さえており、
決して味が浮つくことは無い。見た目、中身ともに完成度が高い。

まさか、上海でぜんざいが味わえるとは思わなかった。
〆の一品である。抹茶アイスクリームとセットになっている。
甘いアイスクリームの一方でぜんざいは甘さを抑えた味になっており、
バランスにも十分な配慮がなされている。
悔やむべきはぜんざいの白玉である。これが焼き餅であれば、
味に香ばしさがプラスされ、さらに完成度の高い一品となっていただろう。
以上でRMB128。CPにも優れている。
また店内の雰囲気も非常に良いし、音楽のセンスも抜群である。
店を出る時にこの店のCreative Directerの方と話す機会があった。
聞けば、アメリカでホテルのプロデュースをしていた経験があり、
店で流していた音楽もアメリカで収集した曲のようである。
店を訪れたのは2月であったが、3月に京都の板前を迎えて、
純和食の店へとコンセプトが変わるとのこと。
この店の斬新さに惹かれていただけに、準和食と聞いて残念な気もしたが、
庭のテラスでDJパーティー等の新しいイベントも企画されているようで
まだまだ今後の展開が楽しみな店である。
評価
味★★★☆☆
内装★★★★☆
サービス★★★☆☆
コスパ★★★★☆
SHARI SHANGHAI SUSHI BAR
永嘉路630号
021-5466-0320