棺桶島 (三十の棺桶に囲まれた島) / M.ルブラン | カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

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電光影裏斬春風

知っているようで知らない歴史の裏側をそっと、

御朱印帳をたずさえぶらり、ふらり、、つれづれに、、、

日々徒然に

A.ルパンもので一番好きなのは、813 と 続813 、なんと言っても犯人の造形がいいんだなぁ

で、二番目は?


ルパンものとしては異色にして、レオナルド藤田とも交友があったという堀口大學氏の訳がまたよいのだ


 すると後はまた、身じろぐすべてのもの、怯えるすべてのもの、
 わななくすべてのもの、天地の間に生を享けているすべてのものが混じり合う、
 あの大きな沈黙の領土となった。
P164


乱歩も 悪魔の紋章 で参考にしたのではないかと想像もさせられるプロットは、ここらへんが 「モンテ・クリスト伯」 にみられるフランスもの冒険小説の流れなのかなぁ... 再読の際もついつい感動してしまったよ (泣)


さて

A.ルパンにちなんで、ひととおり 「カリオストロの城」 を俯瞰しておこう

M.ルブランの原作にみる各パーツを、うまーく縫い合わせているなぁとすごく感動したのを覚えているしね
ここらへんは、原作を読んでいたご褒美的なところで

・クラリスは、ルパンの最初の結婚相手 (死別) の名前
・カリオストロもジョドーという名前も原作にでてくる
・伯爵の影たちは「813」がモチーフであろう
・湖底に眠る古代遺跡はとある原作にそっくりそのまま出てくる
・劇中にチラッと見える 「カリオストロ」 の綴りが原作と違っていた記憶があるが、... 意図してのこと?

エトセトラ、エトセトラ、、


 そしてその時、君はよりよく、美というものが、光明というものが、
 人生の楽しさというものが、ものを見たり、賞讃したりするということが、
 どのようなものであるかを、理解するはずだ。
P182


棺桶島 (三十の棺桶に囲まれた島) / M.ルブラン


初版の刊行は1919年で、物語の始まりは1902年6月とある、日本で云えば明治35年第一次桂内閣の時期にあたる、そんな時代の海を隔てた先にある物語

本作棺桶島のネタは、ルパン三世テレビ版 (2時間もの) にも流用されていたと記憶


** エピローグ **

 「助けるって何を?」老女が不安げに尋ねた。「生きることをさ……」
 続813 / M.ルブラン

今読み返すと、喪失と復活の物語だったんだなぁ... まさか涙が待ってるとは、、物語が、事件が、最後の数十ページのためだけにあるようにも


読む、観る、聴く、

それまでの経験によって感じかたは変わってくるし、つまりはその時の、過去の自分とは違うであろう今の自分と対話してるわけだ

京極さんのいう 「ツボ」 が、様々な経験によって変わりもし、増えもしたってことだろう

神社やお寺にしたって、再訪した時は新たな発見があるし、最初に訪れた時には気が付かなかったことに気付き、新たな視点を得て新たな発見をする


最初に観た 「ゴッドファーザーPART3」 と、娘が出来た後に観たそれとは明らかに違う映画になったし、
「ブレードランナー」 も 「戦場のメリークリスマス」 も、過去に観たそれとは別の深みのある映画に変わっていく
いまだに 「ブレードランナー」 をカルトSFって紹介する記事を読むことがあるけど (苦笑) 、... おいおいこれはラヴストーリィだろ、、「戦メリ」 は最期には別れがくることが決まっていた友情と心の絆の物語だろ、、

とまぁ思ったりもしながら、...

思考は宙をさまよい、着地点をさがし得ぬままに、...