この日、私と息子は修行の山として知られる山上ヶ岳に向かったのであります。
山上ヶ岳はいまだに女人禁制で、行者さんが修行を行っているのであります。油こぼしとか鐘掛岩とか西の覗といった修業の場があり、普通の登山とはひと味ちがうスパイスの効いた山なのであります。
うちの息子は以前からたまに私の登山につきあっておりましたが、登山靴を持っていないので、これまでは私がだいぶ以前に買ったやや大きめのものを履いて登っていました。
その靴が経年劣化してきていたので、今回は20年ほど前に北海道に行ったときに私が買った冬用ブーツを持参してきていたのであります。
山上ヶ岳は運動靴でも登れるような山なのでありますが、その冬用ブーツがサイズ的にも息子の足にしっくりきたのと、厚底だったことから、これがいいだろうということになったのであります。
が、これがのちのちの大惨事を引き起こすとは、このときはなにもわかっていなかったのであります‥‥。
ということで、女人結界の門をくぐったわれわれは神秘的な森の中に入っていったのであります。
そして、1時間ほど歩いたのち、一本松茶屋とよばれるところでしばしの休憩をとったのであります。
この修行の山には“茶屋”と呼ばれるちょっとした小屋があります。喫茶店のようにお茶を出してくれることはもちろんなく、座って休憩できる椅子とテーブルがあるような場所なのであります。
その後も順調に登山をつづけていたのでありますが、いきなり息子が言うのであります。
「なにか足がヘン‥‥」
どうしたと思って足を見てみると、なんと、片足のソールがペロンとめくれているのであります!!
本などでは見たことのある状態‥‥。しかし、まさか一度しか履いていないブーツがこうなるとは‥‥!
「といっても、このブーツは20年も前に買ったのであったなぁ‥‥」
で、すぐさま登山は中止し、下山することにしたのであります。
ソールは一部が剥がれるとその剥がれがどんどん広がっていき、最後には取れてしまうということを知識としてはもっていたからなのであります。
問題の靴はヒモをほどき、そのヒモでソールとかかとを縛って留めたのでありますが、なんと歩くたびに、ソールだけでなく靴自体がボロボロと壊れだしたのであります。
それはもう、ほんとうにびっくりするぐらいの壊れ方‥‥;; ボロボロボロボロと崩れていき、最後はなんとソール以外はすべて崩壊したといっても過言ではないほどの状態だったのであります。
そうなると、もはや息子の足にヒモでソールをくくりつけたような状態で、ほぼすり足のようにして歩くしかないのであります。
息子の車には運動靴があったので、「ここで待っていたら、おとうさん、ひと汗かいて持ってきてやるよ」とピストンで往復することを提案したのですが、「なんとか歩いてみるよ」と、そのまますり足で下山してくれたのであります。
そんなこんなで、山頂で食べるために宿でつくってもらった行者弁当は駐車場で食べるハメに‥‥。
そして、登山を中止した私たちはきゅうにヒマになり、洞川温泉をあちこち観光してまわることにしたのであります。
洞川温泉は温泉だけでなく名水の里としても有名で、“ごろごろ水”という名水が湧いているのであります。五代松鐘乳洞で磨かれ、半世紀の時をかけて湧出するといわれているのであります。
駐車料金400円を払えば、水は汲み放題。まわりのみなさんも10リットルとか20リットルのポリタンクを持参し、名水を汲んでおられるのであります。
私たちも負けじとペットボトルに7本分、「ママへのお土産にしよう」と汲んだのであります(もらってもうれしくないかもしれませんが‥‥)。
そして、宿のチェックインにはまだ早かったので、名水コーヒーを飲んだり、お寺をまわったりしながら時間をつぶし、そして、その日のお宿『花屋徳兵衛』に到着したのであります。
この宿は玄関に広い縁側があり、そこでコーヒーなんかを飲んだりできるのであります。
この地域の宿の建物はみなこのようなつくりなのですが、それは昔、行者さんがここで草履を脱ぎ履きするのでこのような広い縁側が必要になったということなのであります。
ということで、私の長い秋休み‥‥♡
ここまで書いてきたように、当初、予定していた3つの山のうち1つにしか登れなかったわけですが、ハプニングも満載で心から楽しめる休暇になったのでありました。
おしまい(^_^)/~
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