5月の上旬から、農家では草刈りシーズンがはじまるのであります。
働き者の農家のみなさんは、すでに4月後半のGW前からせっせと刈っておられるのですが、私のようなナマケモノ農家のみなさんは、「どうせ刈るなら草を伸ばしに伸ばして、それから刈って、草刈りの回数を減らしたい」と考えるのであります。
わが家は農家といえども、ほとんどの畑や田んぼを近所のおじさまたちに小作に出し、農作物を作っていただき、土地の管理もお願いしています。
しかし、家のまわりにある畑や田んぼはわが家で管理せねばならないので、草刈りだけは小まめにする必要があるのであります。
草刈りのときは、草刈り機を使ってバッサバッサと草を刈っていくのであります。草刈り機にはエンジンがついていて、先端の円盤形のカッターをまわしながら草を刈るのであります。
この円盤にはチップソーという刃がついており、新品のころは、それはもう、カミソリのようにスパスパと草が刈れて気持ちいいことこの上ありません。
しかし、このチップソーも小石などに当たって、だんだん欠けたり、チビたりしていき、しばらくしてすべての刃が取れてしまうと、もうまったく草は刈れなくなるのであります。
そうすると円盤を買い替えに行くのですが、これでなかなか種類があり、「竹が切れる！」、「小石に強い！」など、農家のおじさんたちのハートをわしづかみにする宣伝文句がついており、どれにしようか悩むのであります。
お値段は1枚1,000〜3,000円ぐらいまでとさまざまなのですが、近所のベテランのお百姓さんに聞いてみたところ、どれも性能はほとんど変わらないとか。しかし、私はいちおう、石に強いという1,800円のものを使っておるのであります。
この草刈りシーズンになると、「お、久しぶり！」というお友だちにもよく出逢います。それは、マムシさんなのであります。
マムシさんの棲処は水場に近いところにあり、だいたい毎年、同じところにいるのであります。
たいがい草刈り機のエンジンの音で逃げていくのでありますが、子どもを産んだらしき時期は逃げず、威嚇してくるのであります。
そうすると、こっちもにらみつけながら、「きょうはこのへんにしといたるわー」と草刈りをやめるのであります。
そうして、次の日あたりにまた刈ると、「どうも、このエリアはヤバいようだ‥‥」と引っ越していただけるようで、以降はお姿が見えなくなるのであります。
ときには、「きょうはいないな‥‥」と思いながら草を刈っていると、知らぬうちに草刈り機で首をはねていたりするのでありますが、ご遺族様に恨まれたりしたら怖いので、できるかぎり逃げていただくよう、努力して仕向けているのであります。
それから、不思議なことに、草刈りをしておりますと、カラスが寄ってくるのであります。草刈りをすると、なにか植物の実や種が飛散するのでしょうか、それをつつきにくるようなのであります。
草刈り機のエンジンを動かす燃料は、満タンにしても1時間少々で空っぽになるのであります。だいたいそれを目安にその日の作業を終えるのであります。
しかし、けっこうなおトシになってきた私は、1時間近くも重い草刈り機をビュンビュン振り回すと、肩や腰がキツくなってくるのであります。
斜面で草を刈るとなれば、足にもだいぶ負担がくるので、アミノ酸とクエン酸のサプリメントをいつもとっているのであります。登山で学んだのですが、アミノ酸とクエン酸をとれば筋肉痛にならないのであります。
だいたいがんばって1週間から10日間でうちのまわりの草はすべて刈り取れるのですが、その後もひと雨ごとに雑草はぐんぐんと伸びていき、3週間も経てばまたふりだしに戻り、草刈りをせねばならないのであります。
つまり、1カ月のうち10日間は草刈り、20日間はお休みして、月が変わってまた10日間の草刈り、20日間のお休み‥‥というサイクルを10月半ばまで繰り返すのであります。
昔は9月いっぱいぐらいで草刈りシーズンは終了していたのですが、最近は地球温暖化のせいで、10月になってもまだまだ草が生えるのであります。
にっくき、温暖化！！
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