自分の人生を振り返ってみると、じつにほんとうにツイていた人生だと思うのである。
何度も何度もピンチに見舞われながらも、ギリギリのところでいつもギリ神様に救われるというラッキーな人生であった。
しかしながら、ちょっとばかり欲をもって言わせていただくならば、そのラッキーさをもう少し豊かさのほうに使うことができたなら、わが家、そして、当社は、少しはラグジュアリーな生活を送れていたのではないかと思う。
貯金が貯まらないおうちを調査すると、たいてい「些細なムダづかいが多い」という結果が出るらしい。「まあ、いいか‥‥」とか「ちょっとぐらい‥‥」というかんじで、なにに使ったかよくわからないけれども、塵も積もれば山となる‥‥という状況になっているという。
そして、そんな視点で私の日常を検証してみたところ、やはりというか、やっぱりというか、奇跡のムダづかいが多いことに気づいたのである。
最近でいえば、まずは12月。
出張族にとって、師走の東京出張は鬼門である。例月に比べ、飛行機の予約がものすごくとりづらいのである。
しかも、私の愛用のJALは、需要が多い朝・夜は大型機、昼間は中型機・小型機にして、どの便も満席になるよう、ムダのない運航を心がけていらっしゃる。
よって、12月は早めに予約をしておかなければ、キャンセル待ちになることが多い。
そして、この12月の東京出張の際、いつもなかなか取れぬホテルは早めに押さえておいたのだが、いつものことながら飛行機を取るのを忘れていたのである。
しかも、当日まで気づかなかったのである。
とりあえず、予約センターに電話してみた。
私の場合、ビジネス切符という、当日でも格安切符並みの値段の航空券を利用することができるのだが、乗りたい飛行機はほぼ満席であったにもかかわらず、1席だけ空いていたのである。
「おお、ラッキー!」
と、またまた非常にツイていたのであるが、なんと空港に向かう道路が、事故渋滞でまったく動かなかったのである。
それを避けるために脇道に入ったところ、みな同じことを考えるようで、にっちもさっちもの状態に陥った。
そして、空港に着いたときは、すでに離陸の時間‥‥。
それ以降の便はすべて満席‥‥。
「絶体絶命か」
と思った矢先、搭乗予定の飛行機の到着が30分遅れているということがわかり、無事、この便で東京に行くことができたのである。ラッキーであった。
それからまた何日か経ったころのことである。
東京の研修生が、「25日に忘年会をするので、肉を送れ」と恐喝してきたのである。
カウンセリングサービス感謝祭の景品の牛肉などは、私はいつも家の近所の山垣畜産というところで調達する。
が、注文が殺到するお歳暮シーズンは、毎日、クール宅急便のトラックがいっぱいになったところで締切にするそうで、出荷量には制限があるのである。
よって、心配だったので電話で問い合わせてみたところ、バイトと思われるおばちゃんが、「ええ、発送できますよ」と答えてくれた。
なんかアヤしいと思いながらも、おばちゃんの名前を確認し、店頭に出向いたところ、「なにを言っているんですか。25日お届け分なんて、もう2週間前に締め切ってますよ」とつれない返事。
で、「だってー、××さんがいけるって言ったから〜」とかわいらしくたてついてみたところ、そばにいた××さんが、「え、私、いけると思って言いました」と言ってくれた。そのおかげで特別に発送してもらえることになったのである。これまたラッキーであった。
さらに、である。
奇跡の極めつけはこの年明け。
美味い肉を食いながら新年を祝おうと、メンタルの肉の目利きナンバーワンの和美ちゃんが新年会を企画してくれたのである。
メンタルの“ガッキー”ことみずがきトレーナーのご夫妻と、うちの師範代のやなぎ家、研修生OBの真弓ちゃんとテーブルに着いたところ、いきなり、それはそれはおいしい刺身が出てきたのである。
さっそく、一同、おいしくいただいたのであるが、そこに係の人が真っ青な顔でやってきたのである。
「申しわけありません。ミニステーキ・コースでご予約を承っていたのですが、誤って刺身を出してしまいました。すぐにステーキをお持ちいたします」
というわけで、両方いただいちゃったのである。
ビバ 奇跡のムダづかい
このように、日々、ムダづかいをしているおかげで、10億円の宝くじに当たるというような奇跡からは、遠ざかっている模様なのであります。