Just Transition(公正な移行)とは、気候変動や生物多様性などの環境問題の解決に取り組むにあたり、すべてのステークホルダーにとって公正かつ平等な方法により持続可能な社会への移行を目指す概念です。
公正な移行は、脱炭素社会への移行による経済や社会への負の影響を回避しながら、質の高い雇用を生み、持続可能な経済を築き、社会を繁栄させる機会を作り出そうとする考え方で、「パリ協定」や国連の「責任投資原則(PRI)」などにも言及されています。
公正な移行を確保するには、政府と企業間の協力が必要です。
実現可能な環境と規制の枠組みを促進することにより、政府こそが世界規模での変革の推進を支援できます。例えば、日本政府は「パートナーシップ構築宣言」の仕組みを導入し、大企業と中小企業の共存共栄の関係を構築することで合意しました。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、3,000兆円ともいわれる内外の環境投資資金を呼び込みます。
そのための金融市場の枠組みをつくり、脱炭素に向けた社債などの取引が活発に行われる「グリーン国際金融センター」を日本に。
自動車産業や石油産業も対象です。自動車産業は100年に一度の変化を迎えています。その変化のスピードは、COVID-19の世界的なパンデミックにより一層加速しています。
本レポートは、これから20年の間に自動車産業で起こる「変化の全貌」を明らかにします。
また、日本政府は自動車市場の活性化施策に取り組んでおり、近年は特にエネルギー・環境制約の高まりを受けて、次世代自動車など環境性能に優れた自動車の普及促進施策に力を入れています。
一方で、石油産業も重要です。国際的な原油価格は、リーマン・ショックの影響により2009年前後に一時的な急落を見せたものの、2004年以降は一貫して高止まりしており。
このような背景から、公正な移行へ向けた取り組みが求められます。