最後まで息切れしない。

これはスポーツでも習い事でも仕事でも隠れた成功の秘密。

昔話のうさぎとかめみたいだ。

 

始めにバーッと行くのはある程度やれば出来る。

格闘技でも初めは怖いから前に出れない。

そして覚えて来ると力負任せに前に出るようになる。

 

この段階はまだ初心者に毛が生えたような段階。

そこから余計な力を抜いてペース配分を覚えていく。

 

ここから先が強さに繋がってゆく。

力加減とスタミナ配分そして心の持ち方。

普通はこれが個人差になっている。

 

カーリーは具体的につきっきりでこのコツを教えてくれた。

1月にサンディエゴに行った時にもこの練習の話が出た。

 

「いっぱいビーチまで行って走ったな。」

「あれ良い思い出だ。」

「あんなにわざわざ遠いビーチまで連れて行った選手はいない。」

 

「あれは特別な時間だった。」

「リオで柔術をやった頃のように教えたかったんだ。」

 

そばにいたクラークが笑顔で聞いてる。

 

午前のアカデミーで練習が終わったらそのまま車でビーチに向かう。

練習で疲れた体のままビーチに移動する。

ビーチまでは1時間弱かかる。

 

車の中で少しリラックスして

ビーチでのトレーニングに備えながら移動する。

 

ビーチに着いたら裸足になってすぐに走る。

長い時間走る訳でもない。

30分とか走る。

 

ジョギングの感覚で少しずつスピードを上げる。

闘いはどんなに上手くなっても相手のペースになることがある。

 

ペースが変われば動きも乱れて呼吸も乱れる。

だから同じ安定した呼吸で早さを変えて走る。

目的は早さじゃない、いつでも安定した呼吸が出来ること。

 

ダッシュもたまにする。

ダッシュが目的ではない。

ダッシュして乱れた呼吸を走りながら戻す

 

そしてそのまま安定した状態で走る。

始めはゆっくり走って呼吸を安定させる。

安定した呼吸を覚えたら。

 

今度は走り方を変える。

走り方が変わっても呼吸が変わらないように走る。

呼吸が乱れたら元に戻すことも練習する。

 

グレイシー柔術の特徴に

闘いながら呼吸を戻すというテクニックがある。

どんなに頑張っても呼吸が乱れる時がある。

 

これは生きる時間、人生にもきっと繋がる。

いつも平穏に暮らすのが良い。

ところが色々なことが人生には起きる。

 

その時にどうやって戻すのか?

困った時に人は深呼吸したりする。

 

カーリーが教えてくれたのは深呼吸のやり方じゃなかった。

最高の呼吸を経験するような練習だった。

 

走る時そしてスパーリングの時

良い動きになると呼吸も良い呼吸になる。

 

そして体の動きも良くなる。

 

最高に良くなった時にはカーリーは必ず言う。

そばで笑顔でこう言う。

 

「このフィーリングを覚えるんだ。」

「このフィーリングにいつでもなれるように。」

「最高は経験したら必ず覚える。」

 

「覚えるのはやり方じゃない。」

「その時のフィーリング(感覚)」

 

「覚えるのはフィーリングさ」

「最高の感覚を知っていれば。」

「それを探すようにいつもやっていれば」

 

「いつの間にか向こうからやって来てくれる」

 

そばで聞いていたクラークが喋り出した。

クラークも覚えていたんだ。

 

「そういえばあれはきつかったよね。」

「ブラジルのビーチで走るんじゃなく。」

「泳いだ時は本当にきつかった。」

 

明日に続く。

 

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