ウイルスは細胞内寄生体であり細胞内でのみ増殖可能ですが、単独では増殖できません。
細胞内寄生体にはウイルス以外にもリケッチア、クラミジアなどがあります。
ミトコンドリアの祖先は呼吸によるエネルギー産生能を持っているリケッチアです。また葉緑体の祖先は光合成を行う藍藻ではないかと考えられており、それらは細胞内寄生から共生へと進化してきました。
分子生物学黎明期によく研究されたのは細菌に感染するウイルスです。細菌や古細菌に感染して複製するウイルスはファージ (正式にはバクテリオファージ) と呼ばれます。ファージは生物圏で最も一般的で主要なバイオマスの構成要素であり、ファージは極めて多様です。
例えばラムダファージのDNAは市販されているものです。ラムダファージを大腸菌に感染させる事でファージウイルス粒子を量産する事が可能です。
ウイルスとエクソソーム
ウイルスもエクソソームも細胞よりはるかに小さいもので、ウイルスの直径は20~300 nm (ナノメートル) 程度です。エンベロープウイルスはエクソソームと同様、脂質二重膜で遺伝物質とタンパク質を包んでいます。ウイルスもエクソソームも細胞間でタンパク質、脂質、核酸を伝達します。
では、ウイルスとエクソソームは同じものでしょうか?つまり、ウイルスはエクソソームを誤認したものなのでしょうか?
エクソソームとは似ても似つかないウイルスもある
抗ウイルス免疫機構
制限酵素はファージの感染を「制限」する酵素として発見されたもの。制限酵素は細菌にとっての自然免疫であり、CRISPRは獲得免疫です。これらはプラスミドやファージに対する細菌の防衛システムです。
抗体やT細胞は細胞外の物質やウイルス感染細胞に対する免疫を担当しますが、細胞内に侵入したウイルスに対する免疫の仕組みも存在します。
ウイルスベクター
ウイルスは人工的に合成可能である
ウイルスベクターは遺伝子クローニングや遺伝子の細胞への導入のためにデザインされたものであり、目的に応じてウイルスを簡略化したものです。そうしたウイルスベクターをリバースエンジニアリングすれば、その元となったウイルスを再現する事ができます。
まとめ
そもそもエクソソームと類似の大きさの小胞をなんとなくウイルスと呼んでいるわけではありません。ウイルスの研究には長い歴史があり、ウイルス由来の遺伝子や酵素、制御領域、ベクターなどは研究の現場で汎用されています。またデータベースに登録されているウイルスの配列も多様であり、配列の中には機能を同定されて応用されているものも多々あります。もし「ウイルスが存在しない」ならば、そうしたものの由来を否定する根拠が必要となり、少なくとも「辻褄の合う説明」が求められます。
現時点では手元に存在しないウイルスでもその配列が既知であれば、分子生物学の技術でウイルスを作成する事も可能です。また、ウイルスが存在しないという仮説に基づくならば、ウイルスを悪用したバイオテロの想定もできません。「ウイルスは存在しないのでウイルスを用いたテロなど起こるわけがない」と考えるなら、強毒性のウイルスを用いたテロに対しても対策の取りようがなくなってしまうのです。
実際、コロナパンデミックには多くの嘘がありました。コロナ騒動におけるPCR検査や抗原検査の適用方法は信頼に値しないものですし、コロナ感染者と判断された人の症状の全てがコロナウイルス感染によるものとも限らないのが実情です。けれども特定のウイルスが特定の病気の原因である事の証明とそのウイルスが存在するしないはまた別の問題です。ウイルス研究には歴史があり、また自分自身の研究現場での経験からも「ウイルスが存在しない」という極論には私は賛同できかねます。
空気感染する感染症は昔からあり、多くの人が人生の中で実際に経験してきたはずです。例えば家族の誰かが風邪を引いて別の家族の誰かがさらに感染し、熱、鼻水、咳の症状を伴う病状を共有する事態は私自身も何度も経験してきました。そして私が研究経験で学んできたウイルス感染症と免疫系に関する知識ではこうしたものに関しても説明できるのです。