またセブに台風がやって来た。
コロナ渦真っ最中の2021年12月にやって来たフィリピン名「オデット」以来。
いやね・・・
元々、フィリピンは、台風の発生する地域にあるけど、その多くは発達しながら北上するので、実は、大きな台風というのは、セブにはあまり来ない、ということになってた。
実際、1999年に移住してから、それほど大きな台風というのは、ほとんど経験がなかったりする。
2013年のレイテ島で甚大な被害をもたらした「ヨランダ」は、セブ島の北でも、被害が大きかったようだけど、実はその時、私は仕事で、ミンダナオ島のカガヤンデオロに行っており、予定の飛行機が欠航し足止めをされ、経験はしていない。
帰って来た時には、確かに庭の木が倒れていて、景色がちがっていたけど、留守番をしていた子供たちは、風は強かったけど、それほどでも?みたいな感想だった気がする。
加えて、セブには、マゼランがセブの女王に送ったとされる「サントニーニョ(幼きイエス像)」の加護があるから、大きな自然災害には遭わない、という思い込みも強く、どこまでも他人事のような雰囲気があった。
ちなみに、サントニーニョの加護、というのは、スペイン植民地時代の戦禍の中、像が無傷で発見されたことに由来されているとかなんとか・・・
知らんけど。
しかし、私がセブに移住して、四半世紀以上経つが、その私ですら、移住当時との気象の変化には気付いているけどね・・・
台風が来る、という一報は、こちらのお盆の真っ最中の10月31日。
フェイスブックで、新たに台風が発生した、というフィリピンの気象庁のようなところからの発表だった。
別に、フィリピンの情報を疑っているわけではないけど、ここはやっぱり日本の方が信頼度があるので、日本の気象庁の台風情報をチェックしたが、まだ台風とは呼べない「熱帯低気圧」の状態だった。
しかし、すぐに台風に昇格(?)され、予想進路なるものが発表された。
それによると、確かにセブを横断する・・・
セブ島の北の方を通過する感じだったので、まぁ、大丈夫かな、と、楽観していたのだけど、「オデット」の時には、オタク活動に集中していて、事前情報もまったく知らなかったので、気象庁の情報をこまめにチェックはしていた。
翌日の11月1日には、市長などのお偉いさん方が、台風に備えるようにと、警告を発信するようになった。
気象庁情報でも、進路はわずかに南下している・・・?
しかし、台風の強さは「強い」。
以前のスーパー台風クラスではない。
別にそんなでもないんではないか?
と、思っていたが、我らの市長のフェイスブックには、次々と警告が上がってくる。
しかも、緊急対策会議なんかも、フィリピン人の大切な「お盆」の時期にしていたり・・・
ちょっと大袈裟なのでは?と思いつつも、やはり前回の「オデット」のトラウマが私にもある・・・
まぁ、備えだけはしておくか。
お盆の真っ最中であり、店も休みのところが多いので、翌日の11月2日に、スーパーに行って、インスタントラーメンや缶詰を買ってきた。
水も、備蓄はそれなりにあったんだけど、やはり一番大切だよなぁ、と、隣の叔父さんに頼んで追加で2ガロン購入。
最近、このガロンで買う水がちょっと臭い時があって、直接、飲む水は、お高いやつをわざわざ配達してもらっているのだが、それは日程的に間に合いそうもなかったので、近所のコリアンスーパーで、10リットルを2個、買ってきた。
距離的には近いが、グルリと回って行かねばたどり着けない場所で、これがかなり重くて大変だった。
重いからわざわざ近所にしたんだけど、これならバスでスーパーに行った方が楽だったかも・・・
停電は絶対になるだろうなぁ・・・
ウチの生活水は、井戸なんだけど、電気で汲み上げているから、停電になると地味につらい・・・
まぁ、バケツでえっちらおっちら汲み上げればいいだけなんだけどぉ・・・
前回の際は、次男がいたので、力仕事は全て任せていたが、今回は一人だしな。
ありったけのバケツに、予め汲みおいておく。
ああ、あと、ルーバー窓のガラスがないところに段ボールを貼っておかねば。
当初の予定より、速度が早くなっていて、どうやら11月3日の夜から4日の朝にかけて通過するらしい。
11月3日の日中は、朝から雨が降っていたけど、特に風もなく、雨の降り方も決して強くはなかった。
フェイスブックでは、スーパーや、水屋、ガソリンスタンドに、すごい人が押し寄せている、というニュースがあった。
2日前に、難なく準備を終了していた私は、やはり情報というものが重要である、ということを実感した。
夜までに、スマホやタブレットの充電もして、寝床へ・・・
普通に寝ていたんだけど、バコンバコンという音で目が覚めた。
隣のトタン屋根が、風にあおられ音がしているみたい・・・
あと、ブルーシートみたいなものが風であおられる音もしている。
時刻は深夜2時半。
雨も風もどんどん強くなってきていた。
まぁ、「オデット」ほどではないけど、雨も強く、予想以上に強い台風だったみたい・・・
それより、隣の家の屋根が飛んでくるんじゃないかと、ヒヤヒヤしたよ・・・
そのうちに停電。
ここでヤキモキしていても、どうにもならん、と、腹を括り、そのまま横になっていたら、いつの間にか眠っていたようで、夜が明けていた。
台風情報では、すでにセブを通過したはずなのだが、まだ雨も降っており、風も強い。
台風一過の晴れを予想していたけど、まだまだなの?
気が付けば、夜中にまでは使えていたスマホの電波がなくなっていた。
すでに停電しており、WIFIは使えない。
それでも電波があれば、データ通信でネットの情報は見れるのに・・・
そういえば、「オデット」の時も、そうだったよな。
とりあえず、雨も小降りになったので、外に出てみた。
テラスまで浸水していた。
まぁ、これは、ゲリラ豪雨でも時々あることなので、通販で買ったスクレイパーで水を出した。
外は木の枝や葉っぱが散乱していた。
道路には、どこからか飛ばされてきたサリサリ(雑貨屋)の看板が・・・
しかし、前回のように電柱が軒並み倒されていることはなく、車なども普通に通っていた。
隣の息子がいたので、
「電波がないんだけど?」
と、聞いたら、
「停電だからね。」
と、当たり前のように言われたが、停電で使えなくなる電波ってどうなの?
と、思わざるを得ない。
しかも、電波がないはずなのに、通知がきたから、何かと思ってみたら、私の利用している電話会社のプロモのテキスト・・・
電波ないのに、これは届くんか~い!
と、突っ込まずにはいられなかった・・・
とりあえず、ご飯だな。
冷蔵庫は死んでるが、停電中は開けてはならぬ、が常識。
もともと、たいしたものは入っていないが、ここは先日、買ってきたインスタントラーメンを作って食べた。
いろいろと情報を知りたいが、電波ないし。
前回は、マクタンニュータウンまでわざわざ行ったけど・・・
と、ハタと思い出した。
ウチの隣は、コリアンタウン。
ある時、隣のコリアンカジノのフリーWIFIの電波があることに気付いた。
停電中ではあるが、家のすぐ向こうからは、クーラーの室外機が、ゴーゴーとうねりをあげている。
そういえば、ここは、この辺一帯が停電でも、発電機があるようで、お構いなく常にクーラーの室外機が動いていて、いつも「チッ!」と、思っていた・・・
といっても、今まで、繋いだことはなかったけど、試しに繋いでみたら・・・
繋がったよ。
まぁ、不安定ではあったんだけど、なるべく隣の近くの家の隅に行ったら、何とか繋がる。
で、ニュースを見れば、セブ島の方では、洪水で死者も出ているとか。
住宅地も一階が隠れるほどの水が押し寄せ、高そうな自動車が積み重なっていた・・・
え?かなりヤバい感じだったのか・・・
私が普段、セブに行くときに使う第2の橋の下も、すごいことになっていた。
ここって、私が働いていた3年くらい前は、古い橋の下がゲリラ豪雨で冠水した時も普通に通れていたんだけどね・・・
洪水対策の予算をどこぞのお偉いさんたちが使い込んだ、みたいなニュースがあって、問題になっていたけど、死者も出たみたいで、これはもう人災だよな。
私の予想以上に被害は大きく、これは、しばらく停電も続くか・・・
と、冷蔵庫の中身を早めに消費しなくては、と、思ったのだが、我らの市長が、電気は「なるはやで復旧するから」、と、声明を出していた。
電力会社のフェイスブックにも、ウチらへんは、被害も最小限だったから、そのうち復旧します、と、書いてあったので、もうしばらく開けずに我慢することにした。
とはいえ、暗くなってからも電気は復旧せず。
まぁ、そんなもんだよな、フィリピンだし?
と、予めタブレットにダウンロードしていたアニメを観ながら横になっていたら・・・
近所で歓声があがり、電気が復旧した。
午後11時。
え?すごい。
前回の2カ月の停電というのは、さすがにない、とは思ったけど、数日はかかると思っていたけど、なにこれ、マジですごい。
朝になって、次男に「電気がついたよ!」と、連絡をしたんだけど、子供らの幼馴染に、この電力会社に就職したのがいてね。
停電は予め予想されており、いろいろと対策を立てていたそう・・・
彼は36時間勤務だったらしいが・・・
電気も電波もWIFIも戻ったので、とりあえずセブの被害の多かった地域に住む知り合いに安否確認をしたのだったが、皆、無事であった。
が、未だ停電中と・・・
すばらしいよ、マクタンエレクトリックカンパニー(略してMECO)!!
停電前に電気代請求のテキストが来ていたので、早速、送金しておいた。
何なら、少し多めに送金したかったよね。
システム上、できないけど。
といわけで。
今回は雨台風ということで、洪水で死者も出ていたようだけど、マクタン島は比較的被害も少なく、私は無事です。
ちなみに。
ウチと隣の家の間の鶏やアヒル(カモ?)がワラワラと飼育されているエリアには、いつの間にか結構な大きさに成長した木があって、落ち葉が我が家のテラスにも落ちてきていたのだが、それを3日の午後に、隣の息子が近所の若いもんを引き連れて、雨の中だったけど、切り倒してくれていた。
私も、その数日前に、雨が降ると盛大に水が貯まるところを耕していたので、4日の午後には、水が引いていた。
備えあれば憂いなし。