5月の第一日曜日は、毎年、私の住む集落の祭りである。

 

で、今年も無事に5月3日に行われた・・・

 

 

祭りといえば・・・

 

ただただ脂っこい豚料理を食べまくり、騒ぐだけ・・・

 

というイメージしかない。

 

 

特にズンドコズンドコと窓を揺らすほどの重低音の野外ディスコは、人がいてもいなくても明け方まで続く、マジで迷惑だったが、ここ数年、野外ディスコを開く空き地もなく、割と静かになってきている。

 

とはいえ、祭りの一週間前くらいからはじまる教会でのお祈りみたいなのは相変わらずだった。

 

まぁ、これくらいはぜんぜんいーんだけどね・・・

 

と、ある日、ゴミ捨ての時に教会の前を通ったら・・・

 

 

マイクを大音量で賑やかにしているわりに、実際、教会の中に集っているのは、数名で・・・

 

 

いや、祭りじゃー!と、盛り上がるなら、ちゃんとこういうことしようよ、って思ったよね。

 

 

 

ま、この辺の人たちは、「カトリック教徒だ!」と、ドヤ顔で言うけど、教会に毎週行っている人なんてほとんどいないし、イースターの時期だって豚肉を食べる。

 

そんな風習があるってことは、橋を渡ってセブに働きに行くようになってから知ったくらいだしね。

 

 

 

祭りとは、本来、何らかの聖人を祭っている小さな教会での宗教行事なのであろうが、ただ豚肉を潰し、ご馳走を振る舞い、騒ぐ日になっているのだ。

 

 

そんなよそ者の私にとっては、騒がしいだけの日で、親戚連中に、ご馳走を食べに来い、と言われるのも、本当に迷惑な話だったりして、何とかそういう義理事を回避できないものかと、ここ数年は抗ってみたが・・・

 

 

 

今年は、もう開き直って、お誘いに応じることにした。

 

 

 

 

まず、ママが生前は、いろいろと世話をしてくれた叔母さんが、祭りの前日にメッセージを送ってきた。

 

「明日の夕方、ご馳走を食べに来てください。」

 

「ありがとう、伺います!」

 

 

 

返事を送ってから、あれ?と思った・・・

 

 

ここのウチで、ご馳走を振る舞うことあったか・・・?

 

 

 

夫は基本、無職。(大工仕事ができるので、何かあれば呼んでいる。去年は屋根の修理を依頼したが、えらい目にあった。)

 

叔母さんは、数年前まで日系企業で働いていたが、体を壊したことを期に退職。

 

 

3人の子供たちは、皆、大学を出て、働いているようだが、わざわざご馳走を振る舞うようなこと、してたっけ???

 

 

 

祭りの日の午後になり、今度は、近所のクソガキちゃんが、

 

「ダレソレさんの家にご馳走を食べに来てください!」

 

と、わざわざ家まで言いに来た。

 

 

「はい、わかりました!」

 

 

ここは、招待された叔母さんの姉の家。

 

場所も隣だ。

 

 

数年前に夫は病死。

 

息子の一人は船乗りになり、去年、胆石で入院した際に、手術費を貸し、先日、返してもらったばかりだ。

 

 

 

しばらくすると、隣の叔母さんが、

 

「ご馳走を食べに来い!」

 

と、誘いに来てくれた。

 

 

 

朝の6時から、ウチのリビングの窓のすぐ向こうで、ブタ料理を開始し、家の中は煙で燻され、我が家のテラスに、調味料が並べられ、一段落すると、雇われた料理人たちの酒盛りが、これまた窓のすぐ向こうで始まり、ようやく静かになった頃に・・・

 

 

 

「う、うん、あとでね。」

 

 

3軒、はしごか・・・

 

 

 

とりあえず、最初に呼ばれた叔母さんの家に向かう。

 

家の中に入って、まず目に入ったのは、大きなテレビ。

 

 

60インチは軽くある感じ。

 

いや、家の中にテレビしかないって感じよ?

 

 

「これ、買ったの?すごいね!」

 

「うん、長男が買った。ローンだけどね。」

 

嬉しそうに叔母さんが言う。

 

 

 

ご馳走はバイキング形式・・・

 

豚料理ばかりだと思ったが、鶏や野菜、エビななどもある。

 

 

そういえば、豚一頭を潰すと、豚料理ばかりになるけど、そんなに大層なご馳走をしない家は、こんな感じなのかもしれない。

 

昔は、祭りで、豚を何頭つぶした、とかいうのは、そのままその家の格みたいな感じだったしな。

 

 

最近、引きこもっているし、ローカルな食事も、そういえばしていないから、たまにはこういうのもいいかも、と、豚の血のスープだの、豚の角煮だのを少しずつ皿に盛る。

 

 

すると、この家の末っ子の息子が、飲み物を聞いてくるので、スプライトを頂く。

 

少量なので、すぐに食べ終わってしまい、すかさずおかわりを勧められたが、

 

「まだ隣にも行かないとならないので・・・」

 

と、断る。

 

 

すると、叔母さんが、フルーツカクテルやナタデココを、クリームと練乳であえたフルーツサラダを持ってきてくれる。

 

 

久しぶりに食べると、なかなか美味しいんだよな。

 

 

ここの家の娘には、高校と大学の学費を出してあげていた。

 

その娘も、29歳だと。

 

デパートの管理部門で働いているそうだが、すっかりオバサンになっていた・・・

 

 

 

そうそう、末っ子の息子の大学の交通費もあげていたっけね。

 

船乗りになり、たまに航海にでているらしい。

 

長男は、税関の仕事をしているらしく、この日は仕事でいなかった。

 

みんなまだこの家で暮らしているらしい。

 

恋人もそれぞれにいるらしいが、結婚はまだ、とか。

 

 

大型テレビ買ってる場合じゃないんじゃないかな・・・?

 

いや、親孝行なのか?

 

 

 

30分ほどで、お暇し、隣の家へ。

 

 

先日、金を返してもらったここの家の息子が、赤ちゃんを抱いていた。

 

そして、

 

「僕の奥さんです。」

 

と、女性を紹介してくれた。

 

 

が。

 

まだ婚姻届けは出していないとか。

 

 

で、抱いていた赤ちゃんは、この息子の子供とのこと。

 

 

あれ?

 

そういえば、お姉ちゃんも、確か赤ちゃん生まれたよね?

 

フェイスブックでちらりと見た情報で、ここの息子が赤ちゃんを抱いている写真を見たんだけど、姉の子だと思っていたが、自分の子だったのか。

 

聞けば、姉の子の数日後に産まれたそうな。

 

 

お姉ちゃんは、ウチの子供たちの家庭教師をしてくれていたが、すっかり肝っ玉母ちゃんになっている。

 

弟の方は、高校の学費と、大学に通う交通費を出したっけね。

 

 

「結婚式をするなら、知らせてちょうだい!(ちゃんとお祝いあげるから!)」

 

 

と、ご馳走を食べ、お暇する。

 

 

 

最後は、隣の叔父さんち。

 

 

さすがに、3軒目になると、キツイ・・・

 

どれも同じような料理だしなぁ・・・

 

 

春巻きを一本と、肉じゃかみたいなのをちょっと皿に盛り、食べ、早々に引き上げて帰って来た。

 

 

ふー

 

 

 

これで、義理も果たせたよね・・・?

 

 

 

 

 

それにしても。

 

我が家の風呂・トイレの壁の向こうに、なぜか木材がたくさん置いてあるのだが、あれは、こういうときの薪に使われるためにここに備蓄されているということがようやくわかった。

 

 

そして、隣の家は、客を迎えるために、テラス周辺のものを、すべて我が家の周りに移動してきて、そのまま。

 

ついでにいえば、料理した後もそのまま放置・・・

 

 

 

 

どこまでがウチの名義の土地なんだかはよくはわかっていないけど、アメリカの叔母さんとの諍いも、たぶんこんな感じだったのだなぁ、と今更ながらに納得する。

 

 

隣の家では、もうちょっとご馳走を食べるべきだったかな・・・