フィリピンではチップの文化があるとされている。

 

 

こちらに来て間もなくの頃は、それがよくわからなかった。

 

 

例えば、アイランドホッピングに行って、頼んでもいないのに、何かを手助けしてくれる人・・・

 

BBQを焼いてくれたり、調理したものを運んでくれたり・・・

 

 

別にこちらは頼んでもいないし、人手も足りていないわけでもなかったりするので、特にお礼をすることもないかな、と、思ったりもしたが、それじゃー、あんまりかな、と、思って、BBQの残りをあげたりしていたのだが、最後の最後になり、

 

「マム、キモチダケ。」

 

と、あからさまにチップを要求してくる。

 

 

チップに慣れていない日本人としては、

 

「は?」

 

と、思うが、そこはなにがしかあげておかないとスマートではないのか、と思って、小銭をあげると、いかにも不服そうにする。

 

「え?いくらほしいの?」

 

と、聞けば、

 

「キモチダケ」

 

と、繰り返す。

 

 

 

だからさ。

 

頼んでもいないんだよ?

 

それを、ほとんど押し売りのようにやってきて、おまけに食事もさせてるわけじゃん。

 

それでも、金がほしいというならば、せめて金額を言えよって思うけど、あくまでもこちらの「キモチ」を金で表せと・・・

 

 

で、それが自分が思っていたほどでもなくて、文句言うって・・・

 

 

めんどくさいな、もう。

 

 

 

ってな感じよ。

 

 

 

しばらく暮らしてみると、そういうわけのわからん人というのは、実は、観光客慣れをしているお土産売りとか、離島の人とか、そういう人たちで、こちらに暮らしている日常では、意外と少なかったりする、ということに気付く。

 

 

実際、デリバリーの人に、多少のチップ(20ペソ、54円くらい?)渡すと、すごく喜んでくれたりする。

 

フードデリバリーなんかのアプリでは、半ば強制的にチップを決済するようになっていたりするけど、それならそれで、すっきりするってもんよ。

 

 

 

そうかと思えば・・・

 

 

先日、バイクが出先でパンクしてね。

 

近くにいたガードマンが、わざわざ私のバイクを、近所の修理屋に運んでくれたわけ。

 

まぁ、私としては、こういうことは慣れているし、私一人でもぜんぜん平気だったりするんだけど、向こうはせっかく親切でやってくれていることなので、

 

「ありがと。助かったよ。」

 

と、50ペソ(約135円)握らせようと思ったんだけど、頑なに拒否された。

 

 

いやいや、たいした額じゃないけど、これでおやつでも食べてよ、と、無理やり、渡そうとしたんだけど、断固拒否され、お礼の言葉だけでその場を後にした。

 

 

「キモチ」を金額で要求するような人ばかりを相手にした私としては驚くけど、意外と町の中ではこういう人はいらっしゃるのよ。

 

 

 

 

 

実際、チップとひとことでいえど、長年、暮らしている私でも、未だに正解がわからなかったりする。

 

 

例えば、レストランなどで、会計に10%のサービス料が加算されていたら、基本的になしでOK・・・らしい。

 

でもサービス料がない場合は、いくらかを置いていくのがスマートだとか。

 

 

私の場合、このサービス料が加算されていない場合、お釣りの一部、またはすべてを置いていく。

 

 

しかし、よくよく気を付けてみていると、意外と現地の人は、何も置いて行かないことも少なくない。

 

 

かと思えば、某高級料理店では、いかにもお金持ちのフィリピン人が、わざわざスタッフを呼んで、2000ペソ(約5380円)渡していたのを目撃したこともある。

 

 

確かに2000ペソももらえば、スタッフは大喜びだし、次にこの店を訪れた時の待遇もぜんぜんちがいそうだ。

 

真のお金持ちは、その「特別な待遇」をされたくて、チップを渡している、とも聞いたことがある。

 

 

 

 

そういわれてみるとさ。

 

 

昔、ダイビングガイドをしていた時に、基本的にチップはなかったけど、たまに現金を渡されると、とても有難いと思ったし(当時は経済的に困窮していた)、やはりそのお客さんは特別になったよね。

 

そうそう、裏社会の方なんか、1000ペソ(約2690円)札を束にしてチラつけせ、

 

「踊れ~!」

 

と、言われたので、船の船首で、踊りまくり、3000ペソ(約8070円)をいただいた、なんて、黒歴史もあったよね。

 

 

 

 

 

最近、こちらで働く日本人も増えてきた。

 

数年前から、日本人の美容師さんにお世話になっている。

 

 

こういう時のチップってどうすればいいんだろうな?

 

ローカルの美容院では、50ペソ(約135円)くらいあげていたけど、さすがに日本人相手に50ペソじゃあなぁ。

 

と、100ペソあげていたけど、これも日本人に100ペソ(約269円)って、どうなの?

 

逆に失礼だったりする?

 

 

と、相手が日本人だけに、グルグルと考えてしまったりしていたが、他のお客さんが会計している時、何となく見ていたら、みんなあげていないんだよね。

 

 

それでも、今まであげていたものを、いきなりあげないのもなんだよね、と、変わらず100ペソ多く支払っている。

 

 

 

で、先日、日本人のやっている整体に行ってきたわけ。

 

 

日本人が施術してくれるんだけど、会計の時に、またまた一瞬悩んでしまったわけよ。

 

 

料金も、端数が出ない設定だったので、わざわざチップとして渡すのもためらい、そのまま請求された金額を払って帰ってきたんだけど・・・

 

 

 

相手がフィリピン人だったら、何と思われようと、別に知ったこっちゃないが、相手が日本人だと、どうしてもいろいろと考えてしまう・・・

 

 

こういうところが、日本で生きづらかった理由なんだよな。