先日、夫からビデオコールがかかってきた。

 

画面をよく見ずに出たら、夫と、知らないフィリピン人女性の画面が出てきた。

 

 

メッセンジャーのグループトークというやつ。

 

 

「え?誰?」

 

と、思ったが、夫はこの画面の女性が誰かを私に紹介もせずに、話を進める。

 

 

「〇〇さんが亡くなったんだって。」

 

 

いや、だから、誰よ?〇〇さんって。

 

と、私の頭の中は「???」で一杯・・・

 

「ほら、ちゃんと話して。」

 

と、夫は、もう一つの画面の、フィリピン女性に促す。

 

 

フィリピン人女性は、カタコトの日本語で、話し始めたが、まったく要領を得ない。

 

すると、夫が、

 

「ビサヤ語、わかるから。」

 

と、言い、フィリピン人女性は、ビサヤ語で話し始めた。

 

 

 

彼女の日本人夫が、死亡したそうだ。

 

日本で暮らしていたため、死亡届はすでに提出済みだそうだが、遺族年金を受給するために、手続きを進めていたところ、フィリピンで結婚した結婚証明書の原本と、その日本語訳が必要、と、役所で言われた。

 

その日本語訳をやってもらえないか、とのこと・・・

 

 

 

まぁ、それは可能だ。

 

しかし、まず、お前は誰だ?という話である・・・

 

 

どうやら、夫の知り合いであることは間違いないようだが・・・

 

 

それに、このフィリピン人女性は、戸籍謄本に、亡くなった日本人の妻として記載されているのに、なぜわざわざフィリピンの結婚証明書が必要なのかもいまいち理解できない。

 

そのことを問えば、

 

「よくわからないけど、役所でそれが必要と言われた。」

 

と。

 

 

 

そういえば・・・

 

一年前くらいに、子供たちの同級生の日本人父親が亡くなり、死亡届、遺族年金受給の関する手続きのお手伝いをしたときにも、フィリピンの結婚証明書の日本語訳をしたような気がしないでもない・・・

 

 

事情はまったく理解できないが、もうめんどくさいので、結婚証明書を日本語に訳せばいいんでしょ、と、原本の書類を写メで送ってもらい、すぐにデータにして送り返した。

 

 

 

で、結局、あの人、誰だったの?

 

と、後から夫に聞けば、近所に住む夫の知り合いの姪だとか・・・

 

 

亡くなった日本人も、昔、近所に住んでいた、と、さも「お前も知っているはずだ!」みたいに言われたが、まったく心当たりがない。

 

 

とはいえ・・・

 

ほら、私の記憶に曖昧さは、前回のネタでも明らかであるがゆえ・・・

 

 

ま、いっか。

 

と、流して、この件は、終わった。

 

 

 

 

その一週間くらい後。

 

前出の、私が死亡届やらを手伝った子供たちの同級生の母親から、連絡が入る。

 

 

「私の友人が、日本語が読めずに困っているので、助けてください。」

 

とのこと。

 

 

家に行ってもいいか、と言うので、承諾したのだが・・・

 

 

 

「夫の死亡届を提出しなくてはならない。」

 

とのこと。

 

 

 

こちらの病院で亡くなったというその日本人の死亡証明書を見たら、亡くなってから、すでに一年が経っていた。

 

「え?亡くなったの一年前じゃん?」

 

「そうなんです。届け出をしなくてならないこと、知らなくて・・・」

 

 

通常、死亡届は、死亡してから3カ月以内に届け出なくてはならない。

 

しかし、知らなかった、というか、知り合いには、5年以内に出せばいい、と、聞き、それをまるっと信じていたと。

 

 

「古いのでもいいけど、戸籍謄本ってある?」

 

死亡届には、戸籍謄本は必要ないが、本籍を記入しなくてはならない。

 

 

「わからないです。書類関係は、全部、夫がやっていたので・・・」

 

 

 

フィリピン人妻あるある、だ。

 

 

 

「とりあえず、家に戻ったら、探してみて。」

 

 

領事館に行き、届け出に必要なものが記載された紙を見ながら、説明し、私ができることと、自分でやってもらうことをできるだけ簡潔に説明した・・・

 

つもりなのだが、これまたフィリピン人あるあるで、何度も同じ質問を繰り返す。

 

 

「私に全部、やれって?」

 

と、思わず深読みしてしまうよ・・・

 

 

はぁ・・・

 

 

 

それでも、何とか納得してもらい、古い戸籍謄本があれば、すぐに写メで送って、と、伝え、帰ってもらった。

 

 

 

2日後、写メで、戸籍謄本が送られてきたので、死亡届を記入し、死亡証明書の日本語訳と、3カ月以内に届けられなかった理由書というのも作成した。

 

 

「あの・・・おいくらほどで?」

 

と、恐る恐る聞いてきた。

 

 

こういうことを生業にしている方もいらっしゃるが、私としては、これをビジネスにしているわけでもなく、たまたま知り合いだから、ということで、金銭は要求しませんよ、と、伝えたら、パーっと満面の笑顔になった。

 

 

で、思い出したよ・・・

 

 

 

この人を連れてきた子供たちの友達の母親。

 

日本人夫が亡くなった時に、いろいろ手伝った際にも、いくらですか?と聞かれたが、息子がお世話になったので、いいですよ、と、タダでやったんだった。

 

その時に、

 

「でも、これは、あなただからですよ。だからあなたの知り合いだからといって、安易に私のところに連れて来ないでね。これ、結構、めんどくさいし、私はあくまでも善意でやってあげたけど、これを商売にしている人だっているんだから。」

 

と、伝えてあったはずだ。

 

 

 

ああ、そういえば。

 

お世話になったダイビングショップのオーナーが亡くなった時も、同じような手続きをしてあげたっけ。

 

同じように、タダで。

 

 

この時も、同じことを伝えたが、その後、フィリピン人奥さんの友達というのを連れてきて、法的な相談を持ち掛けられた・・・

 

 

 

だからさ。

 

そうやって次から次へと、友達、連れて来ないほしいな。

 

 

 

 

今回、立て続けに2件の死亡証明書の翻訳をしたわけだが・・・

 

死亡した日本人夫の年齢が・・・

 

 

私と、変わらなくてさ。

 

 

 

以前は、70代とかが多かったけど・・・

 

 

同年代とは・・・

 

 

 

まぁ、若いってわけじゃーないかもだけど、いろいろと考えてしまったよ。

 

 

私もポックリ逝っちゃったら、夫や息子たちじゃー、何もできないんだろうな。

 

と、思ったら、やっぱりもっと具体的な終活を、今のうちにやっておこう、と、決意を新たにしたりして。

 

 

 

 

 

今回の、一年前に亡くなった日本人の死亡届を出すフィリピン人妻にも、無駄かな、とは思いつつも、

 

「今後、あなたの知り合いの相談事を、私に持ってこないでね。」

 

と、くぎを刺しておいたが・・・

 

 

いっそのこと、金を取った方がいいのかな?