フィリピンのクリスマスは騒がしい。
24日から25日に替わる瞬間に、爆竹や花火が鳴り響く。
それだけではなく、バイクの空ふかし、それ専用に市場などで売られるプープーとなる笛なども・・・
厄除け的な意味があるとかないとか。
知らんけど。
そして、家族でご馳走を食べる。
これを食べなくてはならない、というものもあるらしいが、割とそのあたりは適当というか、人により捉え方がちがっていたりして、これまた何が正解なのかは、移住し20年以上経ってもよくわからない。
しかし、スパゲティーは外せないらしい・・・
長いものを食べて、長生きをする・・・
みたいなことを言われていて、クリスマスだけではなく、正月も、誕生日にも欠かせない。
甘いスパゲティ・・・
嫁いで間もない頃は、こういう風習(?)は、郷に入っては郷に従え、と、それなりにお付き合いをしていたが・・・
夜中に叩き起こされ、胃に負担しかない重いご馳走の数々を、強制的に食べなくなくてはならないというのは、なかなかに精神的な負担が大きかったので、いつの間にか、私はパスさせていただいていた。
「だって、私、ハポネッサ(日本人女性)だし。」
ほぼほぼカトリックであるこの辺りで、このセリフは、暗に、あなたたちと私の信じている神様がちがうのよ、という意味であり、大抵のことはこれを言うと、
「なら、しょうがないね。」
と、すんなり話が済むので、フィリピン人の度量は大きい。
一年に一度のことならば、場の空気を乱さずに、従うこともできる・・・
が、同じことを、12月31日から1月1日の日付が替わる瞬間にも行わなければならないのだ。
クリスマスの一週間後だよ?
間隔、狭くない?
とにかく、ある時期からは、こういう行事を一切、準備しなかったんだけど、それでも息子たちがいる頃は、あちこちからスパゲティやらフルーツサラダやらが届けられ、頬を引きつらせながらも笑顔で感謝の意を伝えていた。
そして、それらを消費してくれるであろう我が家のフィリピン人たちは、
「飽きた・・・」
と、放置し、冷蔵庫にパンパンに入っているそれらを、元来、食べ物を捨てられない私が、胃もたれしつつ、消費する・・・
といった嫌な記憶が、私の心に黒いシミとなり残っている。
しかし。
今年は、一人だ。
世の中はクリスマスでろうと、正月であろうと、引きこもっている私にとっては、ただの週末だ。
いや、週末も平日も関係ない私にとっては、もはや平日となんら変わりない。
起きて、運動して、水浴びをし、ご飯を食べ、動画を観て、昼寝して、漫画とラノベを読んで、ご飯を食べ、寝る・・・
という、いつもと変わらないただの一日だ。
そんな調子で、先週の24日も過ごしていた。
昼寝をしたにも関わらず、9時を過ぎると眠くなった。
近所では、それぞれの家でカラオケが始まり、いろんな歌が、いろんなところから聞こえてくるし、気の早いクソガキちゃんたちが、爆竹を鳴らし始めていた。
寝よう・・・
12時には、いろいろな騒音で起こされるんだろうな。
と、覚悟をしていたのだが・・・
気が付けば、朝になっていた。
いつものように、6時前に、お猫様たちの
「腹減った!餌、よこせ!」
のモーニングコールで起こされた。
あれ?
クリスマスだったよね?
ぜんぜん起きなかったんだけど。
そういえば、先日の地震も、まったく気が付かなかったし、私ってば、やるなぁ・・・
くらいに思っていたのだが・・・
もしかして、それほど騒がしくはなかった、とか?
粗悪な爆竹で手が吹っ飛ぶ事故が、毎年、起こっているにも関わらず、買ってくる強者が近所にいて、まるで戦禍にいるような体で家を爆破されないか、と、怯えるほどだったが、そういえば、ここ数年は、静かになっていたかも。
いや、昨年は、日本に一時帰国をしていて、いなかったし、その前の年は台風直後で、停電中だったし。
3年前はコロナ渦だったし。
次男に、
「ねぇ、フィリピンのクリスマスって、静かになったの?」
と、聞けば、
「みんな、金、ないんじゃない?」
確かに。
「去年もクリスマスは静かだったよ。正月はそれなりだったけど。」
そうなんだね。
マクタン島のスラム街の大火事のあった頃に、花火工場が爆発したというニュースもあったし、違法花火の取り締まりも、結構、厳しくなったとか、マニラではすでに一般家庭の花火すらも禁止になったとか、そういう話もチラホラあったりするし。
クリスマスは大騒ぎ
などというのは、今は昔なのかもね。
よいお年を。