フィリピンでの一大イベントといえば、クリスマス・・・

 

 

 

「BER」のつく月は、クリスマス・・・

 

という冗談のような話もあるけど、それはまんざらネタというわけでもなく、そうなると9月から12月となり、一年の1/3はクリスマスだねってことになる。

 

 

 

そういうわけで、9月に入った途端、今年も終わるなぁ、というネタをアップしたが、マジであっという間に、明日はクリスマス・イヴだし、今年もあと一週間だし。

 

 

クリスマスといえば、ピナスコハン。

 

クリスマスプレゼントととらえる人も多いけど、個人的にはお歳暮とか、義理チョコのような感じ?と、思っている。

 

 

以前は、この時期になると、誰かれなく、ピナスコハンを要求され、要求されると、あげなくちゃいけないんじゃないかとか思ってしまう、典型的ないい人「日本人」であったため、何に対しての罪悪感なのかもわからぬままに、勝手にモヤモヤし、外に出るのがめんどくさかったけど、ある時期からはそれも笑顔でかわせるようになった。

 

今じゃー、完全なる引きこもり生活だし、たまに外を歩いていても、誰も私にピナスコハンなど要求してこなくなったよ。

 

 

しかし、親戚連中には、義理もあり、毎年、ドーナツ1ダースを、各家庭に配っていた。

 

 

 

これがなかなかにたいへんな作業で、クリスマス・イヴの日に、ドーナツ屋に行き、15箱くらい買ってこなくてはならない。

 

クリスマスの時期のショッピングセンターなど、それはそれはすごい人で・・・

 

普段、たいして混んでもいないくせに、軽く数十分は待たされるレジなのに、クリスマス時期は、それはそれは恐ろしいほどの長蛇の列で、とても買える気がしないよ?

 

 

クリスマス時期なんて毎年混んでいるのに、学習もせずに、文句も言わず、ただひたすらに列に加わっているフィリピン人はある意味、とてもすごいと、尊敬すらしてしまう。

 

 

それでも、こちらも義理を果たせねばならぬ故・・・

 

 

荷物持ち(息子)を引き連れ、開店と同時に、あまり混んでいないミスドに行くのが、ここ数年のお約束であった。

 

 

 

しかし、今年は一人だ。

 

 

 

どうしよう・・・

 

 

と、考えた。

 

 

 

25日0時に、家族そろって盛大にお祝いをし、ご馳走を食べる、という風習(?)があるらしく、それに合わせ、24日に差し入れるということを頑なに今まで守ってきたのだが・・・

 

 

よくよく考えれば、別にわざわざ24日じゃなくてもよくね?

 

 

義理を果たせばいいんだから、クリスマス時期に、要は何かをあげればいいわけだよ・・・

 

 

と、一応、夫にお伺いを立てたら、

 

「いいんじゃない?」

 

と。

 

 

 

ちくしょー、早う言え。

 

 

 

そこで、今年は、早めにピナスコハンを配ることにした。

 

 

昔は、親戚連中の家も、子供が中心で、とにかく質より量、という感じだったため、比較的、お値段も安く、ボリュームのあるドーナツ1ダースというセレクトだったけど、これまた冷静に考えれば、時間の経過により、昔、子供だった人も、今は立派に成人している。

 

そこで、値段的にはあまり変わらないけど、量は少な目、だけど美味しいスイーツにし、クリスマス当日には、到底、買えないであろうが、時期的にずらせば、並ばずとも購入できるだろうという店に一人で出向き、親戚連中に配った。

 

 

 

しかし。

 

ある一軒だけは、特別に用意をしなくてはならない。

 

 

その家族は、未だに夫とどういう関係なのかはよくわからないのだが、昔から付き合いがある。

 

年老いた母と二人の息子と、一人の娘で住んでいて、私が嫁いだ当時に、既に結構な年齢であったと思われるが、まだ誰も結婚をしていなかった。

 

数年前に、その家の母親は90歳くらいで亡くなったが、子供たちは相変わらず、誰一人所帯ももたず、3人で暮らしている。

 

 

娘が外に働きに行っていたようだけど、二人の息子に定職があるようには見えず、一体、何をして生計を立てているのかは謎・・・

 

 

 

そのうち、息子のうちの一人が糖尿病で、目が見えなくなった、というような話を、夫経由で聞いた。

 

 

 

糖尿病を患っている人がいる家に、スイーツはダメだろ。

 

 

 

と、どういうわけでそうなっているのか、わからないけど、クリスマスの時期だけ、市場に出る丸いハムを送っていた。

 

 

しかし・・・

 

なまじ一年にこの時期しか出回らないためか、去年に比べての値上がり率がハンパなく・・・

 

 

何も無理してハムにしなくても・・・

 

 

と、思ってしまった。

 

 

 

いやいや。

 

 

値段の話じゃーないんだよね。

 

 

別にこの家には、昔、本当にお世話になったからさ。

 

 

何ていうか・・・

 

ハム、もらって嬉しいんだろうか?

 

って、思っちゃったわけよ。

 

 

一番うれしいのは、やっぱ、現金じゃん?

 

 

なら、現金でいーじゃん?

 

 

と。

 

 

 

これまた、一応、夫に聞いてみたけど、

 

「いーよ、その方が喜ぶよ。」

 

と。

 

 

だから、それ、早う言えって。

 

 

 

で、封筒に1000ペソ入れ、渡しに行こうと思ったんだけどさ。

 

 

現金だけってどうなの?

 

と、思い立って、近所のサリサリ(雑貨屋)で、米5キロを買って出向いた・・・

 

 

のは、いいんだけど。

 

 

 

家が・・・

 

 

どこだっけ?

 

 

 

 

すでに奥の集落は、各家が勝手に塀を巡らし、以前、通れた道がなくなっているのに加え、新たな建造物が建ち、私が行き来をしていた頃とは、まったく違う様相で・・・

 

それでも、方向的に、たぶん、こっちらへん?というところに行ってみるが・・・

 

 

誰もいないのかな?

 

っていうか、この家だったよな?

 

 

と、家の前で、完全に不審者のようになっていたら・・・

 

 

どこからか、

 

「おーい!あんたん家に客だよー!」

 

と、叫ぶ声が聞こえてきた。

 

 

声の主は、私が立っている後ろの家から聞こえ、まさに私の訪ねた家に向かって叫んでいた。

 

 

「〇〇(夫の愛称)の奥さんが来てるよー!」

 

 

 

ピンポンとかもない家で、中はひっそりしていて、とても中に誰かいるとは思えなかったのだが・・・

 

 

ひょっこりと、顔を出した女性・・・

 

 

向こうは、私を見て、すぐに満面の笑みを浮かべたが、

 

「え?誰?」

 

と、思わず後ずさる・・・

 

 

老婆といっていいほどの身なりだが・・・

 

もしや、この家の娘か?

 

 

私の記憶にあるこの家の娘は、おそらく私と同じ年くらいで、割とほっそりしていたのだが・・・

 

 

私の記憶より軽く2倍の体積となって、白髪で、顔の皺も深く・・・

 

 

「たいまい~!久しぶり~!元気~?」

 

人懐っこい笑顔は、面影があるかも。

 

 

 

家に招き入れてもらい、糖尿病で目が見えなくなったという息子が出てきたが・・・

 

 

こちらは、昔から老けていたのか、あまり変わらず・・・

 

 

目が見えない、と聞いていたが、完全に見えなくなったわけではないらしく、眼鏡をしていたが、私としっかり目を合わせてきた。

 

 

米と、封筒を、

 

「これ、夫から。」

 

と、渡すと、二人とも喜んでくれ、夫や息子たちの近況を聞いてくる。

 

 

「みんな元気だよ。」

 

と、しばらく話をして、お暇させてもらった。

 

 

 

はぁ・・・

 

年末業務、無事に終了。

 

 

 

思い残すこともなく、新年を迎えられそう。

 

 

そういえば・・・

 

去年は、この時期、日本に一時帰国をしていて、数年ぶりの静かなクリスマス&正月だったが、今年もうるさいんだろうな。

 

 

なんせ、台風後の停電中も、ジェネレーターを使い、大騒ぎをしていた方々だもんな。

 

 

 

家が爆破されないことを祈ろう・・・