ママが亡くなって、バタバタと葬式の準備に追われた。
夫は6月に帰ってきた時に、
「ママに会うのはこれが最後だな。葬式にはもう来ない。」
なんて言っていたのに、当たり前のように来るつもりになっていた。
日本人にしてみれば、親の葬式に出ないなんて、とんだ親不孝だと思うけど、海外出稼ぎが珍しくないこの国では、割と当たり前の話で、葬式には来ないと宣言していた夫を、そうなの、と、受け入れていた。
しかし、ちょうど時期的に、夫の仕事もあまりなく・・・
一週間くらいは、安めそうだと・・・
うん・・・
日本ではちょうどお盆だしね。
ってことは、航空券もめっちゃ高いよね。
しかも、間際で、そもそも空きがあるのかもわからないし、あったとしても、目の玉飛び出るような値段だよね。
折しも、我が家の家計は、絶賛ひっ迫中だけど・・・
親の葬式に出たい、という夫に、来るな、とは、さすがの私も言えないよ。
なので、ネットでいろいろと調べてみると、格安と言われる航空会社でも、往復20万円とか・・・
更に、驚いたことに、当たり前のように息子たち二人も連れて行こうとしていた。
それは各自自腹だよな?
と、一応、確認すると、すべて夫が負担すると豪語していると・・・
「それは、絶対に無理!」
と、突っぱねたが、どうしても自分が出すと言い張る。
しかし、長男は、とても冷静に、
「俺は無理。パスポート切れてるもん。」
ああ、よかった。
しかし、長男のパスポートは既に1年以上、期限切れの状態なんだよね。
私たちのような家族形態で、いつ、何があるかわからないので、散々、更新しとけ、と言っていたにも関わらず・・・
そういえば、私が年末年始に一時帰国をした際に、戸籍謄本まで渡していたよね。
って、ちょっと、待て。
戸籍謄本を渡したのが、1月。
で、もう8月なんですが?
すでに戸籍謄本の期限も切れてますが?
何、してんの、あんた。
さすが、長男。
そんなわけで、長男は諦めるとして、次男はどうしても連れて行くつもりのようだし、次男本人も、来る気満々なので、少しでも安い航空券をネットで探すと、手荷物4キロ(しかも、大きさ制限までされている)のみの、経由地で降りるという本来、航空会社のポリシーにも反しているような裏技系の航空券が見つかった。
それでも、一人、13万円。
もうこれでいいか、と、購入手続きを進めていたのだが・・・
当然、この手のサイトはネット上の決済のみ。
まずは、夫のクレカを試すが、却下・・・
夫のクレカって、普段、私がオタク活動する際、日本の漫画を買ったりするのには、何の問題なく使えるのに、なぜか航空券は絶対に使えない。
金額の問題なのか、海外のサイトだからなのか、よくわからないけど。
私の日本の銀行のデビットカードならたぶんイケるが、普段、使わないので、利用制限額を0としていて、変更はネットでできるが、時間差が発生してしまい、今、使いたいんだよ!って時に、いつも使えない。
ならば、私のフィリピンの銀行のデビットカードを使ってみたが・・・
最終段階に、私のスマホにPINコードが送られてきて、それを入力しないと決済できないんだけど・・・
これが、来ない。
いっつも。
どれもこれも使えねー!
夫が、借金を返してもらったという現金を、ビデオコールの前で、次男が見せびらかしながら、
「金はあるんだよ~!」
と、訴えているが、現金じゃどうにもならんのよ・・・
と、途方に暮れる。
日にちも迫っているので、今、決済しないと、空席が埋まってしまうかもしれない、とか、値段も更に上がってしまう、とか、気持ちばかりが焦るが、どうにもならない。
とりあえず、私の日本の銀行のデビットカードの利用制限額を変更し、待つしかない。
たぶん、2・3時間じゃダメなんだよな。
と、半日ほど待って、試してみたら・・・
無事に決済できた!!
そういえば、6月に帰ってきた時の航空券も、同じようなことになって、海外でも使えるちゃんとした夫のクレカを作ろうと思ったんだった。(すぐにやらぬのは、すっかりフィリピン人化しているから。)
そういえば、まだ、その時の金も、回収してないし。
結局、私の個人財産から、どんどん金が減る。
夫の動向次第で、葬式の日程が決まらず、と、いう状態であったが、これでママの葬式の日程がようやく決まる。
こちらは、棺に入れるときにエンバーミングという処置をされるので、こんなに暑い国だけど、割と日持ちがするのだ。
そして、叔母さんが、私が購入した墓の書類を取りに来て、
「葬式は土曜日だから。」
と、言った。
夫と次男は、木曜日の夜に着くので、てっきり金曜日に葬式だと思っていたが、カトリックは金曜日に葬式をしてはいけないとか。
引きこもり中ではあるが、唯一、外での仕事が毎週土曜日で。
でも、仮にも息子の嫁だし、何とか調整して休むしかないか・・・
と、あれこれ考えていたんだけど・・・
「あー!いいよ、出なくて。」
「へ?」
割と、食い気味に、言われたので、さすがに戸惑ったよね。
息子や夫に聞いても、
「別に出なくてもいいよ。」
え?
ママには嫌わているかも、という自覚はあったが、仮にも、私が日本に一時帰国するまで、割とがっつり介護していた嫁が、出なくてもいいの?
ってか、来てほしくないの?
と。
そういえばさ・・・
長男が生まれて数日後に、突然、夫の姑が亡くなったことがあった。
長男は生後数日で、2時間おきくらいに起きて、泣いてを繰り返していた時期で・・・
何となく、隣の家の様子がおかしいなぁ、と、思っていたら、夫が突然、帰宅したが、泣いている。
「え?どうしたの?」
と、驚いて聞くと、
「別に、何でもない。」
と、言う。
いやいや、思いきり、泣いてんじゃん?
って、思ったけど、
「何でもない!」
と、繰り返し、こちらも長男の面倒であまり余裕がなかったため、そのままにしておいたが、翌朝になって、夫の祖母が亡くなっていたことがようやく知らされた。
え?なぜ、隠される?
と、謎だらけだった。
妊娠中は、死者の近くに行ってはいけないと言われ、知人が亡くなった際には、棺が見える遠い場所からお別れをしたことはあるけど、その時は、いろいろ独特の風習みたいなもの?と、考えていたけどね。
今回の場合は、どうなんだろう?
意味のあることと考えると、グルグルといろんな想いが巡るが、結局のところ、真実など、明らかになった試しがない。
こういう時は・・・
言う通りにするがいい。
来なくていいなら、わざわざ仕事休んでまでは、行かねーさ。
ま、どうせ、時間だって、遅れるだろうし、仕事が終わってからでも、十分、間に合うよ・・・
と、思っていたのだが・・・
夫たちが帰って来た日の前日に食べたものにあたり、以降、本日朝まで寝たきり生活を送り・・・
結局、ママの葬式には参列できなかった。
とんだ鬼嫁です・・・