日本ではゴールデンウィークでしたね。
ゴールデンウィークといえば・・・
そう。
私の住む集落のお祭りなんです。
なぜか毎年、5月の第一週日曜日に盛大に行われる・・・
コロナだ、台風だといろいろとあったけど、祭りはどうしたってやるらしい。
まぁ、以前のような狂気に満ちた騒音のディスコは、場所の確保が難しいらしくここ数年はやっていないんだけどさ。
ほんの数年前までは、国道沿いとはいえ、空き地がたくさんあり、1日だけの簡易場外ディスコなどの場所はどこにでもあったが、今では空き地なんてものはほとんどない。
私にとっては喜ばしいことなんだけどね。
隣の家だって、ほら、叔母さんが何らかの発作で記憶が飛んじゃってて、私のことはすっかり記憶から消されているのはもちろん、とても正気を保っていない状態だし・・・
昔は、どこにそんな金があるのか?と、首を傾げていたが、例え借金をしてまでも、ご馳走を振る舞っていたような家で、その招待客が飲んで騒いで、少なからず迷惑をこうむっていたんだよね。
けど、さすがに、不特定多数の人にご馳走を振る舞う余裕なんぞないでしょ。
と、以前ほどの恐怖はなく、私にとっては、ちょっと騒がしい日曜日って感じになるんだろうな、と思っていた・・・
が、祭りの朝に、奥の集落に住む親せきから、メッセージが届いた。
「今晩、お招きしますので、ぜひ来てください!」
うん・・・
いや、もうね。
いい加減、私がそういうの迷惑に思っていることを察してほしいな。
割とあからさまに態度にも出していると思うんだけどな。
一昔前ならば、そういうご招待を、
「は?行きたくないし。」
と、無視を決め込んでいたりしていたのだが・・・
時間になると、わざわざ呼びに来たりしてさ。
さすがの私も、面と向かって断ることもできないじゃん。
ま、去年までは、次男がいたし、次男にくっついて、渋々、行っていたんだけど、今年は一人だし?
わざわざ祭りの胸やけを約束されたご馳走を食べに、わざわざ出向きたくはないかな。
マジでさ、最近は、脂っこいもの食べると消化不良起こすんだよね。
えっと・・・
断りたい。
と、ふと思い出す。
そういえば・・・
日本人会のお祭りも確かやっていた・・・
数年ぶりに開催され、日本からも芸能人も呼んで、結構、盛大にやるという話・・・
日本人だけのお祭りというよりは、もう一つのイベントとして、フィリピン人たちにも認知されているようなやつでさ。
正直、あんまり興味はなかったんだけど。
Japan cool といえば、アニメ・漫画!
関連グッズの店も出る。
コロナ以降、すっかりオタクに目覚め、日本に一時帰国した際にはアニメイトまで行ってきた私・・・
ちょっと店を覗いてみたい。
と、招待をされた親戚には、
「あー、ごめんなさい、行きたいんだけど、ちょっと大事な用事があって。」
と、断り、午後からそっちの祭りに出かけてみた。
時間が早かったせいか、思ったほどの混雑もしていなくて、おかげでゆっくりアニメグッズの店を周り、推しの缶バッジやアクキーなどを手に入れた。
まだ時間もあるし・・・
飲食の店でも回ってみるか。
と、とりあえずぐるりと一回りしてみる。
たこやき、食べたい。
たこやきって複数の店が出しているんだけど、ローカルのたこやきってたこ入ってないしさ。
店選びは慎重に・・・
と、思ったが、やはり、日本人が一生懸命、汗まみれで作っているところは、長蛇の列でさ。
並ぶの苦手な私は、それなりの値段だし、ここなら大丈夫だろうと思ったところで買ったのだけど・・・
たこやきに似て非なるものだった。
あと、ねりきりとどら焼きの売っている店を発見。
あんこが苦手で、和菓子なんて日本にいるときには、わざわざ食べなかったんだけど、海外で暮らしていると、たまに誰かのお土産とかでもらうこともあって、実際、食べてみたら、意外と美味しくて、もしかしたら単なる食わず嫌いだったかも、と、ここ数年は思っている。
ので、購入。
夜までいて、アイドルだの、バンドの有名人だの、太鼓や花火まで見て行こうかとちらりと考えていたのだが・・・
絶賛、引きこもり中の私には、そんな体力はなかった。
まだ暗くなりかけの時間だったけど、まぁ、家に着くころには、それなりに暗くなっているだろうし、私のアリバイは十分に作られたよね、と、家路につく。
ところが、帰ってきたら、隣の家では、盛大なパーティーが開催されていて、隣の息子が私を見るなり、
「ご馳走、食べていって!」
と、言ってきたが、
「ごめん、食べてきちゃったから。ありがとう。」
と、なるべく感じよく応え、そそくさと家に逃げ込んだ。
どんな状況でもご馳走は振る舞うんだね。
やっぱ、花火まで見てくればよかったかな。
と、軽く後悔し、実際、日付が変わってもしばらくは静かにはならなかったけど、耳栓をして、私は眠りについた。
翌朝。
祭りのあとは、さすがに静かで、隣の家は、ご馳走が食い散らかされ、酒の瓶があちこちに転がっていた。
すると、隣の叔父さんが近づいてきて、
「昨日のご馳走、オレは食ってねー!ブタの丸焼きも!」
と、ブータレていた。
どうやらご馳走を振る舞ったのは、この家の息子で、その息子の客だけが招待され、親である叔父さんにはご馳走はまわってこなかったらしい。
やばい、この叔父さんに捕まると長いんだよね。
と、
「へぇ、そうなんだ、かわいそうに。」
と、軽く同調し、叔父さん、まだ何かブツブツと言っていたが、丸無視して家に入った。
気持ちはわからないことはないけど・・・
親にくらい、ブタの丸焼きの皮くらいあげてあげて・・・