ある休日の朝のこと。
久しぶりに、スマホのアラームをかけずに、寝れるだけ寝ていようと思ったのだが、最近は、起きたら昼だった、みたいなことにはならない。
朝になれば、外の光も自然と入って来るし、近隣の生活音も凄まじいし、何より、お猫様が黙っちゃいない。
普段は5時には起き、餌をあげるのだが、いつまでたっても起きちゃーこないしって、6時を過ぎたあたりで、一番のボスが、私の頭を噛みつく・・・
仕方がないので、目を開けると、3匹のお猫様たちが、私の周りで、恨めしそうな視線を投げかけている・・・
はい、はい、わかりましたよ・・・
と、起きて、餌をあげる。
犬なんて、黙ってひたすら待ってるけどね・・・
もう一度、寝ようかと思ったが、何となくスマホをみると、夫からメッセージが入っていた。
「オハヨー、俺、墓、買ウ!」
・・・朝から、何の話だ?
何か、病気が見つかったか?
と、老眼鏡をかけ、よくよく見ると・・・
「オハヨー、アナタ、墓、買ウ?」
だった。
ああ、なんだ。
私に墓を買うか、と聞いているのか。
夫には話した覚えはないが、実は、ものすごく興味がある。
人生の折り返しはすでに過ぎていると思っている。
まぁ、どこにいようが、召される時は召されるんだけど、この国に住んでいると、「死」は、ものすごく身近に感じる。
いつポックリ逝っちゃっても、おかしくはない・・・
と、常々、覚悟はしている・・・つもりだ。
その時に、墓はどうするのか、というのは、残された人が考えればいいような気もするが、そこは、やっぱり典型的な日本人のA型だ。
備えておきたい衝動にかられていた。
・・・だって、残された人が日本人だったら、まぁ、そんなにすごいことにならずに何とかしてくれるだろうが、私の場合、夫にしても、息子たちにしても、ハナから信用なんざーできないし、もしかしたら、その辺のお墓のマンションみたいなコンクリ―トに、骨にもされずに入れられ、そのまんま・・・ってことが十分にあり得る。
とはいえ、墓なんぞ、どこで手に入れるのか?
目星をつけているところに、機会があれば、聞きに行ってみるか、とは思ってはいたが、その機会がなかなか訪れなかったのである。
ところが、先日、普段、通らない道を、車で通った際に、「メモリアルパーク」と書いてある、立派なゲートを発見した。
家から車なら5分くらいの距離だ。
「何、これ?こんなところに霊園ができるの?」
まだ完成していないようだが、これまた機会があれば、購入できるのか、聞きに行こう、と思っていたところだった・・・
夫からのメッセージに、
「買う!買う!いくらすんの?」
と、答える。
どうやら近所の人が、夫のところにも営業をかけたようだが、それが先日、見かけた近くの霊園だというので、これは、神様が、買いなさいって言っているんだ、と解釈し、早速、家に来てもらった。
聞けば、隣近所、主だった家はすでに購入済みだそうだ。
さて、気になるお値段だが・・・
2.5㎡の区画が、約35万円だそうだ。
ちなみにこれは、一括払いの場合。
私のところに来た営業さんは、毎月、2000ペソちょっと(約5千円)の7年払い前提で来ている。
一区画で、2体のフルボディ(こちらは基本的に埋葬だ。)と、4体の骨が入るそうだ。
しかし、2000ペソとはいえ、7年も払うとは・・・
ってか、そこまで生きてないかもしれないし。
書類には、2か月滞納すると、所有権を失う、みたいなことが書かれているし・・・
私が死んだ後、残された家族がローン払わなかったら、元も子もなくなるじゃん。
いろいろ考えた挙句、3分の1くらい頭金で払って、残りを2年のローンにすることにして、即、購入してきた。
長男も一緒に連れて行き、場所を選び、また私がローン支払い途中で死んだら、すぐに残金は支払うように、よくよく言い聞かせた。
ついでに、火葬できる場所も教えておいた。
イエ~イ!
墓を手に入れたってことで、こんなに気分が高揚するとは思わなかった。
ところで。
先にも書いたけど、この霊園、まだ完成しておらず、来年の6月から埋葬可能なんだそうで・・・
それまでは、何が何でも生き抜かなければ。