さっき、その辺をウロウロしていたら、近所のオネエサンに呼び止められた。

「ちょっと、聞きたいことがあるんですけど・・・」

と、改まって切り出すので、何事かと思って、思わず、身構えてしまった。


「何ですか?」

「あの・・・」

と、あくまでも、言いにくそうにしている。


金か?


フィリピン人の切り出しにくい話というのは、大抵、お金の話である。

が、この彼女は、近所でも、レベルは上の方で、それなりにプライドもありそうだし、いくらお金に困ってはいても、私には言わないだろう・・・と、思われる。


しばらく、てへへと、照れ笑いをして、ようやく意を決して切り出した。

「使っている化粧品を教えてください・・・」

「へ?」


化粧品・・・?

・・・なんて、使っていませんが?


「じゃあ、何を塗ったら、そんなに色が白くなるんですか?」


「・・・・・」

意味、分からん。


「だって、前は、すごい色が黒かったですよね?それなのに、今は、すごく白くて。使っている化粧品は、何なのか、教えて欲しいんです。」






確かに、私は、以前は黒かった。

それは、ダイビングガイドという仕事柄、日に焼けて、そうなっていただけの話で、日本人だからね、本当は、白いんですよ。


まさか、元から、あんなに黒かったと思ってらしたのでしょうか、この方は・・・







このオネエサンに限らず、フィリピンの人たちは、白くなりたいと思っている人が、多い。

それは、女性に限らず、男性も。

「色が黒いから・・・」

というのは、本人にしてみれば、かなりのコンプレックスであるようだ。


だから、私が見る見る、本来の肌の色になるのをみて、

「何か、秘訣があるにちがいない!」

と、思い、決死の覚悟で私に聞いてきた気持ちもわからなくはない。


しかし、彼女は大事なことを忘れてはいませんか?



そう、私は、日本人なんです・・・



しかし、フィリピンに来てから、ほとんど、黒かった私である。


だから、最近、久しぶりに会う人には、必ず、言われる。

「グアッパ(美人)になったねぇ。色が白くなった!」




フィリピン人にすれば、美人かもしれないけどさ・・・



今まで、色が黒くて、分からなかったシミ・そばかすが、浮き上がってきて、私は、鏡を見るのも嫌なんですけど。




ところで。

美白の秘訣を聞いてきたこのオネエサンに、私はなんと答えたか・・・?

当然、

「ハポネッサ(日本人女性)だからさ!」



感じ悪い・・・?