子供たちも寝静まり、私も、そろそろ、寝ようかなぁ、と、思っていたら・・・

我が家の天井という名のベニア板の上で、いきなり、物音がした!


何かが、落ちて、ものすごい勢いで、走り回る音・・・

ドタドタドタ・・・と。



ネズミか?


いや、ドタドタドタ・・・だからね。

もし、これが、ネズミだったら、恐ろしくデカイ。

ネズミというより、プレーリードックくらいあるぜ、この足音は。


この辺にいるネズミは、せいぜい、ハツカネズミくらいの大きさで、足音さえさせずに、走り回る。

しかし、以前、セブ市内の裏道を、タクシーで、走っていたら、丸丸と太った、ネコかと思うくらいの大きなドブネズミを、目撃し、衝撃を受けたっけ・・・

まさか、そんな大物が、我が家の天井裏に???


すると、また、ドタドタドタ・・・と、聞こえてきた。


なにせ、天井という名のベニア板だから、足音で、今、この上にいる、というのが、わかってしまう。

さっきから、ヤツは、寝室、お父さんの部屋、台所を行ったり来たりしている。


ドタドタドタ・・・と行っては、しばらく、大人しくなり、また、ドタドタドタ・・・


そのうち、のっそのっそと歩き出した。


一歩一歩、歩くたびに、ミシッ、ミシッ、と、天井という名のベニア板が、しなる。


これは、ネズミじゃない。


四本足のナニカであることは、まちがいないけど、ネズミじゃないなぁ。


何でもいいけど、頼むから、落ちてこないでよ~!

と、思うほど、かなり、重量のあるナニカだった。




恐ろしいが、いつの間にか、寝てしまった・・・



朝になると、もう静かになっていて、何の音もしなかった。




あれは、一体、何だったんだろう?



朝食の時に、ママに、その話をした。

「ネズミじゃないの?」

「ネズミより、もっと重いものだよ。ちゃんと歩いているのが、わかるんだから。」

すると、ママってば、顔色を変えた。

「それって、幽霊じゃないの?」

「へ?」

「子供たちの部屋の上にも、いたの?!」

真剣な顔である。

「子供たちを狙っていたんじゃ・・・?」



あまり、真剣に心配しているので、笑うに笑えず・・・



「たぶん、ちがう・・・と、思うけど・・・」

ああ、ママに言うんじゃなかった・・・

と、後悔、先に立たず・・・



早速、近所の連中に、ふれまわっていた・・・



フィリピンでも、いろいろなオバケや霊の話はある。

特に、妊婦や、子供を襲う、などという言い伝えがあり、私も、妊娠中は、夜、出歩くのを、堅く禁じられていた。

しかし、私の聞いた、あの音は、幽霊の足跡なんかではなく、おそらく、大型のトカゲ(トッケーか、それより大きい現地で「ハウ」と呼ばれるオオトカゲ)だと思うよ。

まぁ、どっから入ったのかは、わからないけど、どこかの隙間から、入り込んじゃって、あせったヤツは、走り回った挙げ句、無事に、外へ出れた・・・

てな、ところではないか、と、勝手に考えているけど・・・


オバケとオオトカゲ、どっちが、怖いかなぁ・・・?