【仕上げ編】ご自宅でスーツを水洗いクリーニング!HOW TOレポート | “Art de Vivre なお洋服を” 仕立屋日記

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注文紳士服の仕立屋と、スーツ仕立て品専門のクリーニング店を運営するセカンドハウス。

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TAILOR & CLEANING SECOND HOUSE 【 秋葉原駅駅・昭和通り口 徒歩3分 TEL : 03-5829-4557 】

こんにちは。

AQUA CLEANING SECOND HOUSE です。
 
 
昨日に引き続き、ホームウォッシュのノウハウをお届けします。
 
 
 
私たちが使うアイロンは、大阪アイロンです。(細幅で軽量のナオモトも使用しています)
 
重量はおよそ3kg。
 
クリーニング業界では、軽いアイロンが好まれますが、仕立ての業界では逆です。
 
軽いと肘を使い過ぎてしまい、悪い癖がついてしまいます。注文紳士服を仕立てる際に、地直し(じのし)やクセとりを行ううえでも、重さがある方が便利だからです。
 
 
 
 
そしてプレスを始める前にカッシミー君を使用します♪
 
化粧水みたいなもので、ウールにタンパク質を与えてボディの状態を整えておくのも大切な工程です。
 
アイロンの温度は140〜150℃で、当て布をしながら行なって下さい。
 
私たちはと言うと、ウールの表地には180℃前後。
裏地は少し下げて、160℃くらいにしています。
 
また必ずしも当て布を使用しておりません。
縫製上の凹凸など、直でかけづらいときに使用するイメージです。
 
 
 
【 水洗い後、仕上げ前 】
 
 

 
家庭用洗濯機だと、かなりシワが入ります。。
プレスが大変ですw
 
 
 
さて、アイロンワークを上手に行うには、理解しておくポイントがあります。
 
スーツが構造物だと言うことです。
 
 
 
 
一言で言われると、えっ?ってなりますよねw
 
今回の水洗いする目的ゴールは、リフレッシュと立体的な仕上がりです。
 
汚れを落としリフレッシュについては、昨日お伝えした通りです。
 
 
今日お伝えするのは、立体的な仕上げ方ですが、そもそもスーツを立体的に仕上げるには、2つの理屈があります。
 
 
 
1つ目。
 
スーツは構造物なので、各パーツが縫い合わされて立体になっています。
 
各パーツ自体は元々、平面で構成されている。と言うことを理解するのが最初の一歩です。
 
 
 

 
パーツの組み合わせがスーツとなりますので、縫い合わされている各パーツをそれぞれ丁寧にプレスをかければ、立体的な仕上がりになる!
 
というのが単純化した理屈です。
 
 
アイロンでプレスする際、まず最初は縫い目に沿って真っ直ぐ境界線を整え、そのパーツの範囲内を一つ一つアイロンがけして下さい。
 
 
基本かける方向は、地の目(じのめ)に沿ってアイロンを動かす。ストライプ柄に沿って動かすイメージです。
 
 
 
 
スーツ全体をアイロン台に置いても、立体的なスーツは平面に置きづらいはずです。
 
だからパーツごとにアイロンをかけるのが重要なのです。
 
 
 
 
2つ目!
 
理解するのに少し難易度が上がります。
 
 
たとえ1つ目を上手く行っても、それだけでは完璧な立体にはなりません。
 
 
イメージして下さい。
 
地球には重力がありますよね。
 
縫い合わされた布は、ただ重量に従って下に落ちるだけです。
 
立体にするには、重力に抗って(反して)落ちてくる布を支える "何か" が必要になります。
 
 
 
 
それが芯地です!
 
これがとっても重要な役割を果たします。
 
 
 
 
私が知る限り90%以上のクリーニング店の洗い場では、ドライクリーニングでも水洗いクリーニングでも、マシーンプレスで仕上げています。
 
 
人体型のトルソーに着せて、大量のスチームでふかしてシワを飛ばし、同時にプレスします。
 
 
 
これはこれはで、一次的には便利で活用と研究のしがいある機材ではあります。
 
 
 
現実問題としては、クリーニング店で手仕事を謳っていても、マシーンプレスで残ってしまったシワを整えたり、スラックスにクリース(折れ目)入れる程度です。
 
そんな現場を何度も見てきました。
 
 
これが駄目とは思いません。
何故ならば、それなりの価格だから当然です。
 
少なからず、どんなクリーニングでも沢山の人が介在しています。
 
コストには、所用時間と人工(にんく)単価が大きな割合を占めていることをご理解頂けると幸いです。
 
 
それでも、ここは駄目だなぁと思うことは、クリーニングを受け付ける現場と洗いを行う現場で、情報や知識に乖離があり、結果お客様にお伝えしきれていない点です。
 
お客様もクリーニング店に持っていけば綺麗になると盲信しているのならば、それも駄目です。
 
 
こんな現状には残念な気持ちになります。
 
 
 
マシーンプレスで大量のスチームを与えても、芯地を立体的にはすることは出来ません。
 
物理的に圧と熱、そして水分を加えなければなりません。
 
 
 
昨日お話したウールがタンパク質という理屈がここでも絡みます。
 
髪の毛にアイロン(コテ)でカールを作ると、カタチが決まりますよね!
 
または、卵をフライパンに落として焼くと、目玉焼きが出来ると思います!
 
これは、タンパク質に熱を加えると凝固する性質があるためであり、この理論はクリーニングや注文紳士服の仕立てにも応用されています。
 
 
 
 
大切なお洋服をクリーニングにお預けになるなら、手仕事のお店なり、どんな方法で仕上げているのか確認してみることをお勧めします。
 
 
 
では、結論!
 
水洗い後のアイロンワークで、立体的な仕上がりにするには…
 
 
① パーツごとにアイロンをかけるべし
 
② ゆっくり丁寧に表地から芯地に熱を加えて、表地に馴染ませ、重力に反発する土台をつくるべし
 
 
以上2点が、仕上げ編のテクニックです!
 
 
 
 
 【 整型プレス、仕上がり 】
 
 
 
 
所用時間は、ジャケット単品で25分くらいです。
切り込み部分のしつけ(躾)を外して仕上がりになります。
 
今回の服地は、CANONICO(伊)のウール&モヘアです。
恐らく、モヘア30%混と思われます。
 
ウール100%よりモヘア素材のアイロンワークは大変です。
今は違いますが、AQUA CLEANING SECOND HOUSE オープン当初は、追加料金対象素材に指定していた程です。
 
 
 
 
最後に注意点を。
 
先程、単純化すると平面でプレスが◎とお伝えしましたが、細かく言うならば × です。。
 (ごめんなさい!)
 
 
ご理解頂くには、かなり難しい理論なのですが、、
 
織物かつ、布は鉄ではないので、アイロンで曲げたり、一部だけを縮める(殺す)ことが出来ます。
 
これを "クセとり" と言います。
 
特にフルオーダーのお品は、ほぼ間違いなくクセがはいっています。
 
これを平面にプレスするのは、プロならば御法度です。
 
 
ジャケットならば、胸・肩周り・背中。
スラックスならば、ふくらはぎなどに、クセとりが施されていますので、ただ平面にアイロンをかけるのはご注意下さい。
 
 
個人的には、それでもやってみる事が重要と考えています。
 
何事も経験ですからね♪
 
 
 
ホームウォッシュは自己責任だから・・
とっても不安です!!
 
そんな方は、ぜひ当店へご依頼下さい。
お客様の大切なお洋服ですので、愛情もってご対応致します。
 
 
 
 
それでは、何かと大変な日々と存じますが、皆様と力を合わせてこの国難を乗り越え、笑顔溢れる社会になることを切に願っております。
 
 
当面、当店は店舗営業を休止しておりますが、再開が決まりましたら、改めて投稿致します。
 
今後ともセカンドハウスを何卒宜しくお願い申し上げます。
 
スタッフ一同、皆様とお会い出来る日を楽しみにしております。
 
 
 
TAILOR & CLEANING SECOND HOUSE
代表 中野 俊
 
 
 
 
 

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