呉式推手講習会 | 健康・護身のために太極拳を始めよう

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太極拳は、リラックスによるストレス解消、血行改善、膝・腰強化、病気予防などの健康促進効果以外に、小さな力で大きな力に勝つような護身効果もある。ここでは、中国の伝統太極拳の一種である呉式太極拳の誕生、発展およびその式(慢拳・快拳・剣・推手)を紹介する。


11月29日(日)の午後、堺市太極拳団体協議会の主催により 堺市立初芝体育館で呉式推手講習会が行われた。堺市のほかに大阪・神戸など他の地域からも約50名の太極拳愛好者が集まった。筆者は講師として招かれ約1時間程度講義をした後、参加者と推手の練習を2時間弱行った。この講習会は、①推手への正しい認識の共有 ②呉式推手の訓練内容の紹介 ③武術としての推手への体験ということを目的とし、講義内容は以下の通りだった。


1)推手とは何か

先ず 太極拳の練習目的を太極拳の誕生歴史から探り、武術の視点から太極拳の特徴を分析し、「小さな力で大きな力に勝つ」原理を実演しながら説明した。次に「後発制人」という太極拳の特徴から、敵の力を受けて接→走→粘→拿を経て敵を制し 最後に「發」で決着をつける推手の定義を引き出した。


2)推手の基本的な要領

太極拳の特徴・推手の定義に規定された不丟不頂(ブーデ゙ューブーディン)、沾粘連随(ズアンネンレンスイ)、舎己従人(スォージーツォンレン) といった推手ならではの要領を解説した。

3)推手と套路の関係

太極拳の内容は套路、推手、器械、内功からなることより、套路と推手のいずれも太極拳の重要な一部分だ。とはいえ、太極拳は推手の準備とも言える。太極拳の要領に「虚領頂勁」、「沈肩墜肘」、「含胸抜背」、「鬆腰垂臀」、「尾閭中正」などがあるが、これらはすべて推手にも同じく要求される。一方推手は套路練習の正しさやレベル段階を確かめる手段でもある。負荷のかからない套路で「鬆」ができても、相手から力を受けた際に「鬆」ができるとは限らないのだ。

4)推手のあり方について

推手の要領は套路を土台とし、規定動作を通じて身に着けるのだが、規定動作に縛られ形式的になってしまっては、何のために規定動作があるのかが分からなくなって言わば「形だけの推手」となる。一方、力を使って相手を押し倒すような「乱暴推手」は太極拳の基本に反するから注意を要する。

5)呉式太極推手の訓練内容の概要紹介

以下の内容を生徒数人と実演した。

定歩単推手(1種)、入門四手、十三の手法(上盤2種、中盤2種、下盤2種、短手3種、長手4種)、活歩推手(七星歩・連環歩、九宮歩の3種)

6)非規定動作

自由推手による聴勁の訓練及び師匠による喂勁の必要性について説明した。

できるだけ分かりやすく解説しようと思っていたが、やはり初心者には理解し難い部分があることと、上記2)3)6)の説明に実演の予定が抜けたこと、特に後者のほうが反省点でもある。

以下は会場風景の一部だ。



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