ここは福島県某所。
ホテル暮らしも以下略。
とある訪問先へ行ったときのこと。
応対してくれたのはその家の御主人で、古希をやや過ぎたくらいの御年配の方だった。
茶の間で仕事の話をしていた私に、御主人はお茶とお茶うけを出してくれた。
濃い目に淹れた緑茶と、小皿に乗ったやや小ぶりの梅干三つ。その脇には砂糖が盛られている。
『今日は冷えるでしょう。まずは一服してからにしましょう。ささ、まずはこの梅干をどうぞ』
『ご丁寧にどうも。では遠慮なく……美味しいですね。自家製ですか?』
『喜んでもらえてよかった。これは紀州小梅を自分で漬けたんです。ひと様に自慢できる数少ないもののひとつでしてなぁ…』
嬉しそうに笑う御主人。
実際、その梅干は美味しく、私の言葉はお世辞でもなんでもなく、本心から出たものであった。
世間話をしながら三つの梅干を食べ終えると、御主人はニコニコしながらもう三つ追加した。
やがて仕事の話になり、恙無くそれを終わらせた私に、御主人はまたしてもお茶と梅干三つを出してくれた。
合計九つの梅干を食べ、訪問先を後にした私は、後刻喉の渇きに苦しめられることになる。
まぁ、美味しかったからいいけど。
コンビニで買った500ミリペットボトルのお茶を飲み干しながら次の訪問先へと向かう変態オヤジであった。