ご訪問ありがとうございます。
心理カウンセラーの井上太一です。
心理学に家族療法(Family Therapy)という分野があるのですが、
この基本的な考え方に「家族システム論」というのがあります。
難解な専門用語をあまり使いたくないので、たいへんざっくり言うと、家族をひとつの生き物——(家族の)メンバー同士の相互関係で成立している、生きたシステムと考えるんですね。
たとえば長男に何か問題が生じた場合、その問題の根本的な原因は、長男個人ではなく、問題を維持してしまう家族のシステムにある可能性を考えます。
そして、問題が表面化した長男と、父親、母親、弟、祖母ら家族メンバーがお互いに及ぼし合っている関係性や相互作用に着目します。
実際にぼくも、長男の問題が解決したら、今度は次男に問題が出現した……なんていう事例に数多く関わったことがあります。
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ずいぶん以前、家族療法を勉強していたころは、正直なところ、あまりピンときませんでした。
ただ、精神医療の現場に関わるようになってからは、(家族療法の考え方を)学んでおいて良かったと、つくづく思いますね。
表層的な症状のみに焦点が当たり惑わされてしまうと、問題の根本原因を見誤ることがあります。
心理カウンセラーなど、心理職・相談援助職には、多面的な視座が必要だと考えます。
ぼくが以前カウンセリングをおこなった2つの事例で、少し見ていきましょう。
(なお、以下に記す2つの事例に登場する方にはいずれもご了解をいただき、かつ、状況から個人が特定できないように多少のデフォルメを加えた上で掲載しております。)
◾️事例①:発達障害をお持ちのA子さん
相談者さんは24歳、社会人3年目のA子さん。
発達障害のひとつ、ADHD(注意欠如多動症)と診断されており、この障害特有の対人コミュニケーションエラーをなんとかしたいというご希望で、カウンセリングが始まりました。
こうした場合、ついついA子さんの発達障害のみに焦点があたりがちです。
しかし家族の関係性に目を向けると、同居中の母親も発達障害をお持ちで、夫とのコミュニケーションがうまくいかずに1年前に離婚。そのストレスもあってうつ病を併発して治療中という状況でした。いわゆる二次障害というやつです。
母親はそのストレスを娘であるA子さんにぶつけることがあり、そのためにせっかく調子が上向いてきたA子さんの状態がまた下降気味に……。
A子さんの状態が落ちると、今度は母親の状態が良くなり、A子さんのことを献身的にサポートしたり…ということが繰り返されていることが分かってきました。
冷たい学術的な言い方をすると、A子さんの出生家族というシステムに、ホメオスタシス(恒常性:家族というひとつの生き物が変化を嫌い、無自覚的に問題を維持し続けようとする働き)が存在するように思いますね。
このケースでは、A子さんの発達障害傾向を踏まえた対人コミュニケーションスキルを上げていくことのほか、(A子さんに対して)母親の状況を正しく理解していただくことを意図し、うつ病に関するレクチャーや、母親に対応する際の注意点をお伝えし、
あとは、お互いの関係性をどのようにしていくか共通認識を持っていただく意図で、A子さんと母親のお二人でご一緒にお受けいただく「親子カウンセリング」の場を設けました。
◾️事例②:うつ病の治療中のB男さん
相談者さんは、31歳のB男さん。
新卒で就職した会社に7年勤めたのち、同業他社に転職。
しかし、前職とは異なる社風になかなか馴染めず、思うような成果も出せずに、動悸・不眠・希死念慮(死を願う気持ちがあるも、能動的な手段までは考えられていない状態)が出現するようになり、心療内科を受診。うつ病と診断され、ぼくが初めてお会いした時は休職中の状態でした。
このケースも、家族との関係性が強く影響していました。
転職の理由を尋ねると、B男さん自身は転職を望んでいなかったにも関わらず、同居中の父親の強い勧めがあったというのです。
聞けば、父親は「東大以外は大学じゃない」という考えをお持ちで、B男さんにも東大受験を求め、それにしたがってB男さんは東大を受験。しかし不合格となり、1年間の浪人生活を経て東大に入学した経緯があるとのこと。
転職にあたっても、「こっちの会社のほうがお前のキャリアには適している」と、父親が強く干渉してきたそうです。
父親の圧に屈して、自分の意図しない会社に就職・転職。
何かが違う…といった葛藤の末に心身の調子を崩してしまう——という、このB男さんのようなケースには、とても多く接します。
親が子どもを、自分の所有物ととらえている。
もしくは自分が実現できなかった「何か」を実現させる、自己満足のためのツールととらえているわけです。厳しい言い方ですが。
B男さんの父親は、先に述べたような考えの持ち主でしたが、それに加えて母親は、夫、つまりB男さんの父親に追従する態度を貫いてきたそうです。
こういったケースでは、(無意識的に)子どもを意のままに操縦しようとする親と、反発を感じながらもそれに従ってしまう子ども——という背景がありつつの、うつ病発症ということになるわけですが、B男さんは治療によって、当初の症状(動悸・不眠・希死念慮)は軽減していきました。
またカウンセリングを進めるなかで、B男さん自身は、自分の人生は自分で決めるということを次第に理解し出して、最終的にはうつ病は寛解しました。
ただし、カウンセリング期間中に何度も、B男さんを通じて父親との面談を求めたのですが、父親はこれに応じず、面談はかないませんでした。
☆
今日は、2つの事例をもとに見てきましたが、
実のところこういうケースに、本当に多く出会います。
問題が出現するには、なんらかの原因があるはずです。
その原因が、一見して分かりやすい表層的なところにある場合もあるでしょうし、
もっと深い階層にもひそんでいる場合もあるでしょうね。
不調を訴えるご本人もさることながら、その背後にいる家族メンバーたちも、お互いの関係性がなんらかの悪影響を及ぼしていることに、うすうす気づいている場合もあります。
でも、それを直視するのが嫌で、目をそむけてしまうケースも多々あります。
出現している問題の原因は、そんなに単純じゃないということですね。
なんにしても、人はオギャアと生まれて、多くの場合は最初に接する社会的な単位は「家族」です。
人はその家族に、良くも悪くも、影響を受けないわけがないんですよね。
心理カウンセラーの端くれとして、表層的な部分だけでなく、家族というシステムにまで気を配れる視点を持ち続けないとなあ…と思いますね。
家族の関係性に起因したお困りごとをお持ちで、ご自身と今後を変えて行きたいと望む方、カウンセリングでサポートいたします。
ご興味のある方は、この記事下にリンクを貼ってあるメールアドレス宛てにご連絡ください。
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この記事を書いているのは…
井上 太一(いのうえ たいち)/心理カウンセラー
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