夜、部屋にひとりでいた時だった。
いつの間にか窓が開いていて……
窓を閉めようとした時!
「こんばんは、関カヲルさん」
「ひっ!」
カヲルの背後から声がして、慌てて振り返った。
そこには黒髪ロングヘアーのイケ女が、いつの間にか立っていて……!
こ、声が……
カヲルは声が出なかった。
「単刀直入に言うわ、わたし、魔女なの、だから今、あなたがしゃべらないように術をかけているのよ」
自称、魔女がそう言う。
カヲルは口をパクパクするしか出来ない。
「とりあえず、今は話を聞いてちょうだい、それが終わったら術を解くから心配しないで」と魔女。
そして、
「関カヲルさん、25歳独身、あなた、間地菜乃(マジ ナノ)と同級生よね? 同級生だったわよねの方が正しいかしら?」
そう聞かれて、え、カヲルとなる。
間地菜乃……間地……
あ! 確か、中学生の時の同級生だったことを思い出す。
「わたしね、菜乃の母親なの」
カヲルは目を見開く。
菜乃のお母さん……
菜乃とは……どうみても似ていないような気がした。
「信じられないって顔をしてるわね、似てなくても何でも、菜乃は私の娘なの。
あなたは知っているかしら? 菜乃は死んだわ」
カヲルは驚く。
でも、何とも思わない。
特に親しくもないし、つるむこともなく何もかもほぼ接点はなかったからだ。
「自分に何の関係もないって顔だわね。
でしょーね、娘は内向的でそれに視力が悪くてメガネをかけていて地味で、わたしとはダンチだったもの……」
そこまで言うかとなるカヲル……
「あなただってそう思っているでしょう?」
ギクッとするカヲル。
心を読まれてる?
「大体、顔を見れば判るもの」
魔女は何事もなく会話を成立させていた。
カヲルは心の中まで黙る。
「あ、そうそう本題ね、わたしがここに来たのはね、娘の……おとしまえの代理で来ているのよ」
おとしまえ……?
カヲルは首を傾げた。
「あなたは覚えていないけれど、菜乃に借りがあるのよ。
それを返して貰う為に来たわけ」
魔女は真顔で見つめた。
途端、
「借り? なんてないですよ! 何なんですか? 言い掛かりを言わないで下さい!」
カヲルから声が出た。
「あ、しゃべれた」
どうやら魔女が術を解いたらしい。
「……そういうと思ったわ、とにかく返して貰うから、なぜなら間地菜乃は魔女の娘だからよ」
尚、冷静に魔女は言い放つ。
「……そんなの知らないから」
カヲルは突っぱねる。
「そう言うと思った、それなら今からその時の記憶を見せてあげるわ」
魔女が指をまっすぐカヲルに向けた途端、部屋がグニャリと歪んで溶けていき……!
「え?」
その代わり、別の空間が現れ……
そこは、
「学校……?」
まさにカヲルの中学生の頃のクラスの中に自分はいた。
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